2007年7月20日(金)「しんぶん赤旗」

07年度版「母子家庭白書」を読む(下)

いくら働いても低賃金
児童扶養手当充実こそ


◆福祉が自立阻害!?

 「母子家庭白書」は今年度の施策に、初めて「基本的考え方」の項を設け、「成長力底上げ戦略」にそって母子家庭への就業支援をすすめると強調しています。同戦略は、公的扶助(福祉)が経済的自立を阻害するという考え方に立っています。

 しかし、日本の母子家庭は福祉に依存しているために「自立」できないわけではないことは、母の83%が働いていることからも明らかです。就業率は、イギリスやドイツの4割、スウェーデンの7割と比べても高率です。問題は、いくら働いても低賃金で、十分な収入が得られないことです。

 厚労省が所管する国立社会保障・人口問題研究所の研究報告書も、「日本では福祉と就労が二者択一の代替関係にあるのではなく、児童扶養手当と就労は補完関係にある」と指摘。全体的な雇用情勢が改善しない状況での給付削減は「『自立』促進につながらないばかりか、母子世帯の子どもの経済状況を悪化させる恐れがある」と警告しています。

◆責任問われる自公民

 日本共産党の志位委員長は衆院予算委員会(2月13日)で、この研究報告書を紹介しながら「重く受け止めるべき結果ではないか」と質問。「『ワーキングプア』の母と子の暮らしを引き上げることこそ本当の公平性だ」と迫りました。

 白書は、母子家庭の就業と生活は改善していないことを示しており、志位委員長の指摘の正しさを裏付けています。今後、「成長力底上げ戦略」による福祉切り捨ての立場からの施策を続けるのでは、母子家庭は困窮するばかりでしょう。

 労働法制の相次ぐ改悪で非正規雇用を大幅に増やしながら、わずかばかりの「就業支援」と引き換えに、児童扶養手当の大幅削減を決めた自民・公明・民主の各党の責任が、改めて問われます。(日本共産党女性委員会 事務局 中村 万里)


日本共産党の各分野の政策

「母子家庭の生活と就労支援を強めます」から

 児童扶養手当制度の改悪を中止し、額の引き上げと対象の拡大をはかります。生活保護の母子加算の削減を中止し、支給年齢を18歳までに戻します。正規雇用の拡大や、資格取得・技能訓練のための経済的保障など国の援助額を引き上げます。

グラフ

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