2007年7月20日(金)「しんぶん赤旗」

「慰安婦」決議案

日本の参院選後に採決

米下院 自民苦戦に“配慮”


 【ワシントン=山崎伸治】「従軍慰安婦」問題で日本政府に公式な謝罪を求める決議案の米議会本会議での採決が、参院選で安倍政権与党の“苦戦に配慮”し、選挙後に行われる見通しとなりました。同決議案の提案者であるマイク・ホンダ議員が十八日付の米紙ワシントン・ポストで明らかにしました。


 同紙は「安倍氏の自民党が七月二十九日に投票がある参議院での主導権を失いかねないと示唆する世論調査もある」と指摘した上で、ホンダ氏の言明として「選挙前に安倍氏に恥ずかしい思いをさせたくないので、下院の指導部は慰安婦決議の採択を選挙後に延期することで合意している」と報じています。

 米議会は八月六日から約一カ月の夏季休会に入るため、採決は七月三十日から八月三日までの間に行われるものとみられます。ホンダ氏はロイター通信などに対し、三十日採決との見通しを示しています。

 決議案は六月二十六日、下院外交委員会で三九対二の圧倒的賛成多数で可決。賛同者は七月十六日までに百六十人(下院定数四百三十五人)にまで増えており、本会議での採択は確実とみられています。

 その採決を参院選後にしたことは、この問題が安倍政権にとって重大問題であることを米側が認識していることを改めて裏付けています。

 同紙は、日本の加藤良三駐米大使が六月二十二日付でペロシ下院議長ら五人の下院指導者にあてた書簡を紹介。その中で加藤氏は、決議案が採択されれば「永続的で有害な影響」があると述べたうえで、「日本はこのほどイラク復興への支出を二年間延長したばかりだ」と指摘。米国を応援する財政支出が危うくなりかねないと示唆しているといいます。

 同紙はこのことを、「日本は米国のイラク政策を忠実に支持してきた数少ない国の一つとしての役割を再考するかもしれない」と皮肉を込めて指摘しています。

 この書簡について、マイケル・グリーン前米国家安全保障会議アジア上級部長は同紙に「日本はブッシュ政権の説得に失敗し、下院指導者に対して強引な文言の書簡を書くよう決断したことは明らかだ」と述べています。また、ホンダ氏は「ロビー活動での空威張り」と一蹴(いっしゅう)しました。



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