2007年7月20日(金)「しんぶん赤旗」

主張

政治とカネ

金権腐敗の闇晴らす一票を


 安倍晋三首相は、架空の事務所経費を報告した疑いがある赤城徳彦農水相をかばいぬき、疑惑にフタで、参院選を乗り切ろうとしています。

 「疑惑をかけられた政治家はみずから国民に事実を明らかにしなければならない」という政治倫理の最低限の筋目さえ通さぬ安倍自公政権を、許すわけにはいきません。

自浄なき「すり替え」劇

 赤城氏は、実家を所在地にする政治団体が、十年間で九千万円もの事務所経費を使ったと報告しました。自殺した故松岡利勝前農水相と同じ構図です。言い訳まで前任者と同じ「法律に則(のっと)り適正に処理した」の一点張りで、領収書を示して説明責任を果たすことを拒否しています。

 「消えた年金」の被害にあった国民には何十年も前の保険料でも領収書などの提示を求めるのに、政治家は口で説明すれば済むというのは通用しません。赤城氏の説明は「明らかに不合理でなく、一応確からしい」という年金第三者委員会の判断基準すらみたさぬ不自然さで、世論調査でも国民の八割は納得していません。明らかに大臣失格であり、辞めさせないなら安倍首相も同罪です。

 昨年末の佐田玄一郎前行革担当相にはじまり、伊吹文明文科相、松岡前農水相と閣僚に相次ぐ事務所費問題で、安倍首相は真相解明を拒み、なんのけじめもつけませんでした。現職閣僚の自殺という前代未聞の事態に反省せず、幕引きを図った不誠実な対応のツケが、いまきています。

 政治資金収支報告書で領収書の添付が義務付けられていない事務所費・光熱水費に不明朗な支出を紛れ込ませて隠す「虚偽報告」はこれまでの政治資金規正法にも違反する行為です。自公両党は国会で、疑惑政治家の責任を不問にしたまま、規正法改定の法制度いじりに問題をすり替え、政治資金の透明化にはなんの役にもたたない「ザル法」を強行して批判をかわしたつもりでした。

 赤城氏の問題は、自公が強行した規正法改定では規制対象にならない資金管理団体以外の政治団体で起きました。自民党はあわてて党の内規で対応すると言い出しましたが、泥縄の「ザル法」づくりの矛盾がさっそく証明された形です。

 日本共産党は、政治家の事務所費疑惑を先駆的に追及し、疑惑の徹底解明と腐敗一掃を求める先頭に立ってきました。自公の「ザル改定」にも、政治資金の一円からの公開など徹底した透明化を求めて対決しました。

 民主党は疑惑解明に不誠実な態度です。小沢一郎代表の巨額不動産取得、松本剛明政調会長の事務所費問題、角田義一前参院副議長の違法献金疑惑など、自民党と同様の問題が相次ぎ「ブーメラン政党」と呼ばれた民主党は、自浄作用も説明責任も果たしていません。

清潔な政治つくる力を

 「政治とカネ」の問題がいつまでも繰り返されるのは、政治家が庶民には想像もつかない巨額の金を「政治資金」の名で扱い、政治が金まみれになっているからです。その大本にあるのは、財界が政治を丸ごと買収する企業献金であり、年間三百億円もの税金を政党が分け取りする憲法違反の政党助成金です。

 大企業に減税、庶民に大増税の逆立ち税制、財界に奉仕しながら国民には負担と痛みを強いる政治のゆがみと腐敗政治は同じ根を持ちます。

 日本共産党は企業献金も政党助成金も一切受け取らず、国民と固く結びついての活動を貫いている唯一の政党として、清潔な政治を実現する「たしかな力」になります。


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