2007年7月20日(金)「しんぶん赤旗」

時事通信が配信した
「CIA報告」なるものについて

不破前議長が談話


 時事通信社は十九日付で、「中ソが日本共産党に多額の資金援助 50―60年代、CIAが掌握」などという見出しをつけたワシントン発の記事を配信しました。これに対して、日本共産党の不破哲三前議長は、つぎの談話を発表しました。


 報道された日本共産党についての「CIA報告」なるものは、一九六四年の文書であり、「報告」そのもののなかで「情報は混乱している」とか「相矛盾する情報がある」とかの言葉が繰り返されているように、なんら客観的根拠をもたない無責任な文書である。

 日本共産党は、相手がどこであれ、外国の共産党などに資金を要請したこともないし、受け取ったこともない。

 一九九一年、ソ連共産党が崩壊した後の時期に、そこから流出した秘密の内部文書を根拠にして、一部のマスメディアからソ連資金うんぬんの攻撃をくわえられたことがあった。日本共産党は、そのとき、モスクワに調査団を派遣して、マスメディアが利用した文書を含む関連の内部文書を入手し、ソ連の秘密文書に記された記録をくまなく調査・分析した。そして、報道されたソ連資金なるものが、ソ連共産党が一九五〇年代から六〇年代にかけて日本共産党への干渉工作をおこなったさいに、干渉への協力者・内通者に送った資金であることを、ソ連自身の資料そのものによって証明し、日本共産党にこの種の疑惑が存在しないことを、全面的に明らかにした。

 そのときの調査と分析の内容は、当時党の責任者だった私自身が『日本共産党にたいする干渉と内通の記録――ソ連共産党秘密文書から』(「しんぶん赤旗」に一九九三年一月〜六月連載、同年九月上下二巻単行本として新日本出版社から刊行)で、干渉基金がどうしてつくられ、国際的にどう運用されたかの問題から、対日工作では干渉者から協力者・内通者への資金の流れまで、問題の全貌(ぜんぼう)を徹底的に解明している。私たちはこれによって、日本共産党にたいする外国資金疑惑なるものが完全に一掃されたことを確信している。

 それから十数年たったいま、国政の方向のかかった重大な参院選のさなかに、一九六〇年代のカビのはえたCIA文書がもちだされた。それも、取り扱っている情報の確度の低さを文書自体が告白している「報告」である。それを根拠にし、ソ連秘密文書で明らかにされた真相を調べることもしないで、一九五〇〜六〇年代の日本共産党の資金疑惑なるものをうんぬんする者があるとすれば、私たちは、そのうしろにCIAがらみの黒い謀略の影を強く感じざるをえない。そのような謀略は、政界においても、マスメディアにおいても、絶対に許されるべきものではない。


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