2007年7月10日(火)「しんぶん赤旗」

選挙の断面

日本療養病床協会

自民支援 病院に依頼

会員“病床削減の党 応援とは”


 高齢者医療に取り組む医療機関の団体として一九九二年に設立された日本療養病床協会(日療協、木下毅会長、会員数七百二十九)が、自民党の参議院選挙比例候補の後援会入会をファクスで会員病院に直接働きかけていたことが、九日までにわかりました。自民、公明与党の安倍内閣は、お年寄りが長期入院する療養病床を六割も削減しようとしており、自民候補を応援することに関係者から批判の声があがっています。


 日療協の木下会長名で、各会員病院にファクスされたのは、「第21回参議院議員通常選挙 たけみ敬三先生後援会 入会のお願い」。たけみ氏は、一九九五年の参院選で、日本医師連盟推薦で初当選、現在、厚生労働副大臣。三選をめざしています。

 木下会長名のファクスは、「慢性期医療は制度改正の荒波にもまれ、今後も厳しい状況が続く中、療養病床の在り方はたけみ先生の活動なしに議論していくことはできません」「慢性期医療を守るため、たけみ敬三先生が一票でも多くの票を獲得する必要があります」として、後援会への入会と「さらなるお声かけ」を呼びかけています。

 また、「支援活動は十一日までとなっておりますので、後援会ご入会は十一日までにお願いします」として、公示の十二日以降は「当協会としても全力で選挙活動を行います」と訴えています。

 日療協のホームページには、「たけみ敬三後援会入会申込書」を掲載、必要事項を記入して、後援会事務所にファクスするようになっています。また、たけみ敬三後援会のホームページも記載、ここから入会できるようにもなっています。

 ところが、たけみ氏が属する自民党は、公明党と一緒になって昨年六月、全国に三十八万床ある療養病床のうち、医療保険適用型二十五万床を十五万床に削減し、介護保険適用型十三万床を全廃する医療改悪法案を強行しました。これが実行されると、二〇一二年三月末までに現在の療養病床の約六割がなくなり、行き場のない患者が大量に生まれることになります。

 ある会員病院の事務課長は、「いまでも療養病床は足りないぐらいなのに、その削減の先頭に立ってきた人を応援するとは、どういうことか。しかも介護型はまったくなくなってしまう。憤りを覚えます。また、政治連盟とかではなく、協会本体が丸抱えで、特定の候補者の後援会活動をすすめることも重大です」と話しています。

 日本療養病床協会は、「任意団体なので、どういう活動をしても法的に問題はない。もちろん、個人の意思で、会として強制するものではない」としています。


共産党は病床削減に反対

 日本共産党は参院選政策で「療養病床の削減計画をストップさせ、安心して入院治療・療養ができるよう体制をととのえます」と訴えています。


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