2007年7月2日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPress

「茶髪」理由の解雇撤回させた

きっかけは母のアドバイス

個人組合に加入 仲間と団体交渉

16歳の福家菜津美さん


 母の歩んだ道を娘も歩み始めました。解雇撤回をめざし裁判闘争をつづける非常勤保育士の母。母のアドバイスを力に立ちあがったパート労働者の娘。「茶髪」を理由にした「解雇通告」は不当だと撤回させた16歳の少女を取材しました。(菅野尚夫)


 福家菜津美さん(16)は、全国展開しているファミリーレストラン「びっくりドンキー」の新店長から3月に「解雇通告」を受けました。理由は「茶髪」。黒髪じゃないと駄目だというのです。

 菜津美さんは、朝8時から午後5時まで牛丼チェーン店、夜6時から9時半まで「びっくりドンキー」と、二つのパートを掛け持ちで働いていました。「びっくりドンキー」では1年以上働き、当初800円だった時給が、働きぶりが認められ20円アップしたばかりでした。月収は約16万円。母と姉の3人暮らしにとって「解雇」されて一つの仕事を失うことは痛手です。

母子同じ立場に

 「ビジュアル系バンドや少女漫画が好き」という16歳。動物が好きで、高卒認定試験(旧大検)をとって大学に進み獣医になるのが夢。絶滅危ぐ種の保護活動をしたい。そのためにも貯金をしておきたいのです。

 新店長は、前店長のやり方を細々と変更して押しつけてきました。「髪の色が明るすぎる。もっと黒くしなさい」と、二人きりの時に言い渡されました。

 納得できなかった菜津美さん。「前の店長は何もいいませんでした。この髪の色で良かったんです。今日から駄目なんですか」。店長は「前の店長は間違っていた。ルールに従ってください」。「一週間考えさせてください」。威圧的な店長に反論できたのはやっと、それだけでした。

 「納得できない」。菜津美さんは、母親の久美子さん(48)に相談しました。「髪を染めていることが理由で解雇することは絶対にできないよ。納得できないなら労働組合に入ってたたかうことはできるよ」とアドバイスされました。

 久美子さんは、2004年3月、民間委託を理由に東京・中野区立保育園の非常勤保育士を解雇されました。解雇無効と未払い賃金の支払いを求めて東京地裁に提訴。東京地裁は昨年6月に、久美子さんたちの訴えを一部認めて、一人当たり40万円の慰謝料を払う判決を言い渡しました。しかし、職場復帰は認められなかったために東京高裁に控訴してたたかっています。

 久美子さんがたたかいを始めるとき、やはり迷いました。当時高校生の長女と中学生の菜津美さんに相談。「子どものせいでたたかうのをやめないで」「やるのなら、とことんたたかって」という子どもたちの返事で腹を固めました。

納得できなくて

 あれから3年。「自信をもってたたかいなさい」と、今度は菜津美さんが母親に励まされて、1週間後に店長にいいました。「やっぱり納得できません」。

 面接のときに就業規則の説明もありませんでした。店長が変わるたびに職場のルールが変更され、ただ従えって言われても納得できません。

 母親に教えられた個人でも加入できる首都圏青年ユニオンに入って16人の仲間と団体交渉しました。すると会社は、「解雇通告ではありません」と言い訳しました。「一緒に働けないといわれたらクビでしょう。『クビですか』と聞いたら『そういうことになる』といったでしょう」と怒りをぶつけました。

 交渉の結果、「解雇通告」は撤回させ、今まで通りで働くことができました。

 菜津美さんは「16歳の私でも労働組合を通じて団交をすれば解雇されないんだ。辞めるのは簡単だけれども納得いかないとはっきり言うことも大事だと思う」と、振り返ります。

 菜津美さんは、7月末日までの有期雇用のため、継続雇用を獲得できるようにひきつづき団体交渉を要求してたたかっています。


多くの人が励まされました

 日本民主青年同盟の姫井二郎委員長の話

 いまどき、茶髪は若者に限らずにファッションとして広く利用されています。時代錯誤です。解雇通告は、店長の横暴を貫くために茶髪を口実にしただけです。職場の民主主義を壊して、見せしめとして福家さんを解雇しようとしたものです。

 福家さんは5・20全国青年大集会でも訴えました。集会の記録ビデオを見た人たちは、「自分もがんばりたい」と、普通の子の勇気に励まされています。

 民主主義と人権が守られて、若者にとってやりがいと人間らしく働ける職場にする運動をさらにすすめていきます。


「一方的な解雇」は禁じられています

 労働者を会社の都合で一方的に解雇することはできません。労働基準法では、第3条「労働者の国籍、信条、社会的身分を理由に、賃金、労働時間、その他の労働条件について、差別的取扱いをしてはならない」、第18条2「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定めています。不況や業績の悪化などを理由にリストラする場合でも(1)整理解雇をしなければならないほどの経営状態にあることが証明されること(2)解雇を回避するためにあらゆる努力がつくされたこと(3)人選が客観的で合理的であること(4)労働者および労働組合と事前に協議をつくすなど、手続きに合理性・相当性があることの「整理解雇の四条件」(東京高裁、1979年10月)が欠けていれば解雇権の乱用にあたります。


お悩みHunter

多忙な外資系の企業 昇格決まったが不安

  外資系の企業で派遣社員から正社員になりました。残業も多くインフルエンザで熱があっても仕事が休めない状態です。このたび、マネジャーに昇格することが決まりましたが、ますます忙しくなるのでは、と不安です。(千葉県。27歳。女性)

この機に改善を訴えてみて

  あなたの不安な気持ち、とてもよくわかります。インフルエンザで熱があっても仕事が休めなかった時は、本当につらかったでしょうね。残業も多いようですし、よくここまでがんばって来ましたね。

 派遣社員から正社員、正社員からマネジャーに昇格されるということは、すごいことだと思います。あなたの仕事が会社から認められ、会社はあなたを必要としているということです。

 しかし、あなたの体や人生はあなたのもので、会社のものではありません。あなたが想像するように、マネジャーに昇格すればますます残業も増え、体調が悪くても仕事を休めない状態が増えるでしょう。そして、今度はあなたが周りのみんなにハードな労働条件を強要しなければならない立場に陥る可能性もあります。

 マネジャー昇格を機会に、あなたが改善してほしい労働条件を会社に訴えてもよいのではないでしょうか。

 会社に労働組合があれば、組合の力を借りることをお勧めします。労働組合がなければ、近くの地域労連に相談に行かれてはどうでしょう。こういう場合、ひとりより同じ思いを持つ団体の力が強力だと思います。

 そして、あなたがこのような悲痛な労働条件を強いられている一番の原因はどこにあるのか、考えてみてほしいのです。目前に迫る参議院選挙が私たちの生活の鍵をにぎる重要な選挙であると、私は思います。


舞台女優 有馬 理恵さん

 「肝っ玉お母とその子供達」など多くの作品に出演。水上勉作「釈迦内柩唄」はライフワーク。日本平和委員会理事。


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