2007年7月1日(日)「しんぶん赤旗」

選挙の断面

不人気 “安倍ポスター”

張り出し促進 党本部が緊急通知


 自民党が参院選向けに製作した安倍晋三総裁(首相)のポスターを張り出すのを敬遠する動きが同党候補陣営を中心に広がっています。自民党本部は中川秀直幹事長、二田孝治広報本部長の連名で六月二十九日、衆参国会議員、参院議員候補に張り出しを促す緊急通知を出しました。

 自民党の総裁ポスターは「広報の要となる政治活動用のポスター」という位置付けです。安倍総裁の顔を大きく映し出し、「成長を実感に!」「改革を貫き、美しい国へ」のキャッチコピーで、二十四万枚を用意。六月二十二日から全国で張り出される運びでした。

 ところが、街頭用に同党都道府県連や参院候補陣営へ送った総裁ポスターの張り出しがさっぱり。追加注文の声はほとんど党本部に届いていない状況といいます。

 自民党本部関係者は「年金、住民税増税、憲法改正論の突出などで支持率急落の安倍総裁(首相)のポスターを張り出して参院選に得策かどうか現場は考え込んでしまっているのだと思う。地方組織からの追加注文でポスター製作が間に合わなかった小泉首相のときとは様変わりだ」と解説します。

 中川幹事長も緊急通知のなかで「『安倍総裁ポスター』が十分に貼付(ちょうふ)されていない状況にあり、他党のポスターばかりが目立っているとの報告を受けております」と事態の深刻さを受けとめています。

 安倍首相は参院選向け地方遊説で、街頭演説にはあまり立たず、ほとんどが室内集会です。街頭遊説が中心だった小泉前首相とは、その点でも様変わり。自民党の参院選史上最悪の結果をもたらした一九八九年の参院選で、消費税増税、リクルート事件などで批判を浴びた宇野宗佑首相は、公示日に第一声を党本部前で行っただけで街頭遊説に一歩も出られない状況でした。

 「十八年前の悪夢の再現がまったくないといい切れない弱さがいまの自民党にはある」(自民党本部関係者)。参院選公示(十二日)まであと十一日、自民党内外に“安倍コール”は聞かれません。


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