2007年6月25日(月)「しんぶん赤旗」

参院選勝利 全国いっせい決起集会

志位委員長の報告

(大要)


 二十三日に開かれた「参議院選挙勝利全国いっせい決起集会」での志位和夫委員長の報告(大要)を紹介します。


集会の目的――全国が心を一つに大飛躍をつくる跳躍台に

写真

(写真)報告する志位和夫委員長=23日、党本部

 みなさんおはようございます。CS通信をご覧の全国のみなさん、おはようございます。私は、全国いっせい決起集会への報告をおこないます。

 与党が国会の会期延長を強行したため、参議院選挙の日程は、公示日が七月十二日、投票日が七月二十九日となりました。悪法を強行するために、会期を延長し、参議院選挙の日程まで延期した与党の党利党略に、わが党は強く抗議するものです。同時に、私たちが相手に攻め込み、広く国民に支持を訴える期間も延びたということになります。

 みなさん、それも最大限に活用して、公示日までの十九日間、投票日までの三十七日間、一日一日が勝負だと自覚して、日々支持の輪を広げに広げ、勝利をめざして頑張りぬく決意を、まず固めあおうではありませんか。(拍手)

 今日、CS通信で全国を結んで、この全国いっせい決起集会をもった目的はどこにあるか。一方で、情勢の大激動のなかで、私たちが頑張りぬけば前進できる客観的条件が大きく広がっている。同時に、選挙勝利に必要な課題の到達点は、全体としては、勝利を保障する規模とテンポから大きく遅れている。このギャップを、一気に前向きに打開し、全国が文字どおり心一つに大飛躍をつくることにあります。

 勝利のためには、いま活動の大飛躍が必要です。大飛躍をつくるために何が必要か。私は、端的に二つの点にしぼって報告します。

「頑張りぬけば前進できる」――情勢の特徴を全党員、後援会員のものに

 第一は、いま私たちが底力を出しきって頑張りぬけば、参議院選挙で前進・勝利する客観的条件が広がっている――この情勢の特徴を、すべての党員、後援会員に伝えて、みんなが明るく、元気いっぱい、国民のなかに打って出る状況をつくることであります。

 とくに四中総決定では、「たしかな野党」の議席を増やすことの意味を語りぬこうと訴えましたが、どの分野をとってみても、「たしかな野党」が「いまこそ必要」だということが、いよいよ浮き彫りになり、その値打ちが光っています。ここをみんながしっかりつかむことが大切です。いくつかの問題を報告します。

(1)「消えた年金」問題――具体的・建設的な提案で「たしかさ」を発揮

 まず、この間、一大政治問題となった「消えた年金」問題についてです。

 これはそもそもどういう性格の問題でしょうか。ここで問われているのは、いわば政治路線以前の問題であります。あまりにも年金の管理がずさんだった――政府の国政運営能力、管理能力が問われているのであります。国民から取り立てる「能力」は発達していますが、国民の財産を管理し、支給する能力がない。また、それを真剣におこなう姿勢がない。ここに国民の怒りが集中しているのであります。

 ですから日本共産党は、こういう問題の性格にふさわしい対応をしてきました。すなわち、こうした事態を招いた歴代政府、厚生労働大臣の政治責任を批判しつつ、「一人の被害者も残さない」、「一日も早く解決する」、この二つを原則にして、具体的で建設的な解決策を提案してきました。

 わが党は、六月十五日に発表した「12の重点政策」のなかで、国が責任をもって「五つの緊急対策」をおこなうことを求めています。とくにその第一項目――「現在国が把握している年金保険料の納付記録を、ただちにすべての受給者、加入者――一億人の国民に送れ」という要求については、首相への緊急申し入れもおこないました。

 わが党の提起というのは、やろうと思えば可能なものばかりですから、政府や世論を動かしつつあります。小池晃政策委員長が国会で、「すべての国民にただちに年金給付記録の通知を」と提起したのにたいして、首相は「まず『宙に浮いた』年金の突き合わせが優先」との態度をとりましたが、それでもわが党の提起を頭からは拒否できず、こう答弁しました。「小池議員も真剣にお考えのうえ、そうしたご発言をしていると重々承知しております」、「小池議員と同じように、できることはすべてやれと申し上げている」。やる気になればすぐにできるはずのことですから、政府もこういう答弁をせざるを得ないのです。

 メディアでも、みのもんた氏が司会をしている「サタデーずばッと」という番組がありますが、わが党の緊急提案がフリップにされて、みの氏は「共産党のはすごい」、「物証がなくても、会社の同僚の証言や状況証拠にもとづいて解決する。これ大事だと思う」、このようにのべました。

 国民の不安と怒りが大きいだけに、この問題で「選挙目当て」の党利党略をおこなうなら、国民から見放されます。その点で、自公と民主は、はじめは見苦しい「責任のなすりあい」をおこないました。それがひんしゅくをかいますと、いま与党は、現場の労働者にすべての責任をおしつけて、国の「責任逃れ」をはかるという態度をとっています。国の責任を認めなくては、国が責任をもって解決する道が閉ざされてしまうことになります。「選挙目当て」の党利党略は一番間違ったやり方です。

 ある新聞に、こういう投書が載っておりました。「選挙の方を向いているのか、国民の方を向いているのか、大きく目を開いて見定めなくてはならない」。国民は、どの党が、党利党略ではなく、この問題で真剣に国民の利益にたって行動する党かを見ています。

 日本共産党は、この問題にたいして、あくまで年金受給者の権利、国民の権利を守りぬくという立場をつらぬいて、対応してきました。「たしかな野党」の「たしかさ」、それはここで発揮されている、そのことに深く確信を持って、わが党の立場をおおいに訴えようではありませんか。

(2)貧困と格差――税制、社会保障、雇用政策の「3つの転換」が熱い争点に

 つぎに、貧困と格差の問題についてのべます。四中総決定では、税制、社会保障、雇用政策で「三つの転換」を求めてたたかうということを打ち出しました。いま、それぞれが熱い争点になっています。

庶民増税反対――この旗を掲げているのは日本共産党だけ

 とりわけこの六月、定率減税廃止による庶民増税が日本列島を襲い、国民の怒りが沸騰しています。役所への苦情が殺到し、インターネットの個人のホームページ(ブログ)でも大きな話題になっています。社会保険庁だけでなく、役所も、いま電話がつながりません。これをすすめた自民・公明に激しい怒りが集中するとともに、この問題を早くから一貫して追及してきた日本共産党の役割が光っています。

 日本共産党は、「12の重点政策」で、住民税増税はいまからでも中止せよ、すでに実施された分は「戻し税」で返せ、消費税増税を許さない、大企業・大資産家への減税ばらまきを見直せ、ということを掲げています。

 私が強調したいのは、これだけ国民のなかに重税への怒りが沸騰しているときに、庶民増税反対の旗を掲げているのは日本共産党だけだということであります。「大企業減税を見直せ」という党だからこそ、庶民増税反対の「たしかな」旗が立てられます。そして、財界・大企業が空前の利益をあげるもとで、大企業へのゆきすぎた減税を見直せという要求が、こんなに入りやすいときはありません。

 民主党はといいますと、この大問題で旗が立てられません。六月十三日に発表した「マニフェスト」――「民主党の政策10本柱」というのがありますが、そのなかには「庶民増税の中止」という柱はありません。「高齢者への増税を元へ戻す」という項目はありますが、現役世代も含めていま日本中の庶民の家計を直撃している庶民増税への反対の立場はありません。消費税の増税については、鳩山幹事長がのべたように、「税率アップの議論を最重要な議論としてやっていきたい」という立場であります。民主党は、自民党以上に大企業への減税の推進に熱心な立場をとってきました。この立場では、庶民増税反対の旗を立てられません。この党との対比でも、税金の問題でのわが党の「たしかさ」は、鮮やかではないでしょうか。

「緊急福祉1兆円プラン」――「たしかな野党」だからこその提案

 わが党が「12の重点政策」のなかで、「ストップ貧困、いのちを守る――『緊急福祉1兆円プラン』」を打ち出したことに、大きな反響がおこり、歓迎の声がよせられています。国保料を一万円引き下げる、介護保険料・利用料の減免制度をつくる、子どもの医療費無料化を国の制度にする、障害者自立支援法による定率負担を撤回する、生活保護や児童扶養手当の切り下げを中止する。この五つの緊急要求が、すべて合わせて一兆円でできるという提案であります。

 この提案が歓迎されているのは、みなさんが草の根での運動で掲げている要求そのものだからだと思います。ですから難しい問題ではありません。ふだん語っていることであり、誰でも語れることです。

 同時に、総額一兆円でできるという点でも、また自治体では部分的に実現しているという点でも、日本共産党を伸ばせば「これは実現できそうだ」と、リアリティーをもってうけとめていただける政策だからであります。

 ただここでも強調したいのは、ここで掲げた政策というのは、どれもみんな当たり前のことですが、こういう提案ができる政党は日本共産党以外にないということです。国保も、介護も、その制度改悪は、自民・公明・民主などの合作ですすめられてきました。滞納世帯から国保証を無慈悲にとりあげる法改悪には、自民・民主・社民が賛成しました。昨年から施行された介護保険法改悪には、自民・公明・民主が賛成しました。「緊急福祉1兆円プラン」は、こうした悪政に反対を貫いてきた「たしかな野党」だからこそできる提案であるというところに自信をもって、おおいに国民のなかに語り広げようではありませんか。

(3)憲法と平和――日本共産党の存在感に新たな注目

 つぎに、憲法改悪反対の論戦についてのべます。ここでも四中総で打ち出した内容の先駆性、その立場でたたかう日本共産党の存在感が注目される状況が進展しています。

改憲策動の中心にすわった「靖国」派――国内外でいよいよ孤立と破たんを深める

 四中総では、過去の侵略戦争を美化する「靖国」派が、改憲策動の中心にすわったことの危険性を、全面的に告発しました。その後の展開は、国際的にも、国内的にも、「靖国」派がいっそうの孤立と破たんを深める状況が進展しています。

 ここに写しを持ってまいりましたが、六月十四日付のワシントン・ポストに、「従軍慰安婦」の「強制連行はなかった」「慰安婦たちへの待遇は良かった」などと主張する、「ザ・ファクツ」――「事実」と題する意見広告が掲載されました。これには「靖国」派の面々が名を連ねていますが、政治評論家の屋山太郎氏、ジャーナリストの櫻井よしこ氏、元駐タイ大使の岡崎久彦氏などとともに、国会議員では自民党二十九人、民主党十三人、無所属二人が名を連ねています。

 この意見広告は、世界の良識ある人々の怒りをさらに増幅させる結果となりました。アメリカでも、韓国でも、オーストラリアでも、激しい怒りの声が噴き出しています。元「慰安婦」の女性からは、「広告を見て怒りで身が震える」という声がよせられました。報道によれば、アメリカのチェイニー副大統領も、「この広告は非常に不愉快な内容だ」と怒りをあらわにしました。米国下院外交委員会では、六月二十六日にも、「従軍慰安婦」問題で日本政府に反省と謝罪をもとめる決議が採択されようとしていますが、この意見広告が、この動きに拍車をかけたと報じられています。これは、「事実」ではなく、「虚偽」であり、「恥」そのものであります。「靖国」派は、世界で大破たんしつつある。このことを強調したいと思います。

 国内でも「靖国」派の破たんが起こっています。日本青年会議所が、靖国神社・遊就館と同様に侵略戦争を礼賛する「靖国DVD」を作製し、文部科学省に委託研究事業として指定させ、子どもたちに押しつけるという事態がおこりました。しかし、わが党の国会議員団がいち早く追及し、全国の地方議員団のみなさん、草の根の運動でたたかうみなさんと連携して、その中止を求めてきた結果、日本青年会議所は六月二十日、委託契約を辞退するという方針を明らかにしました。これは「靖国」派にとっての大きな痛手であり、草の根の運動と日本共産党の共同の大きな成果であります。(拍手)

 国内外において、「靖国」派による歴史逆行の動きを許さないという点で、日本共産党が果たしている役割は、文字どおり他に追随を許さない「たしかな」ものであります。わが党だけがこの仕事をしっかり果たしています。

 実はそのことは相手も言っています。安倍内閣は「靖国」派内閣だというわが党の批判に対して、一番敏感に反応したのは、ほかでもない「日本会議」でした。

 ここに持ってまいりましたが、「日本会議首都圏地方議員懇談会」のホームページがあります。そこでは「日本共産党の志位委員長が日本会議を名指しで批判」と題する記事を出しました。「国民投票において改憲を阻止しようとする日本共産党。それに対して、私どもは、自民党や民主党などの『新憲法制定派』議員と連携して、…新憲法を制定しようとしている」「この対立構図が今後、ますます鮮明になってくると思われます。日本共産党に対抗して、新憲法制定の草の根ネットワークを広げていきたい」。こう書かれています。

 憲法改定の真の「敵」は日本共産党であること、この問題での政党の「対立構図」は自民・民主の「靖国」派対日本共産党にあることを、「日本会議」自身がのべていることはたいへん重要であります。それだけ「期待」されているわけですから(笑い)、その「期待」に応えて、おおいに頑張りぬきたいと決意しているしだいであります。(拍手)

「戦争をする国」づくりと表裏一体の「憲兵政治」の再現を許さない党として

 六月六日に日本共産党が明らかにした、自衛隊による違憲・違法の国民監視の実態は、政府に大きな衝撃をあたえ、メディアも大きくとりあげました。

 テレビ、ラジオ、全国紙、多くの地方紙が詳しく報じ、自衛隊の行動をきびしく批判しました。メディアの中には扱いが小さかったものもありますが、自衛隊の行動を擁護したものは一つもなかったことが特徴であります。

 違憲・違法な監視活動の不当性とともに、その無法な活動について、政府・防衛省が「何が悪い」と居直ったことは、心ある人々の怒りの火に油を注ぐ結果となりました。

 この問題では全国で怒りの声がひろがっています。監視対象とされた団体は、意気軒高です。ひるむどころか、かえって元気になっています(笑い)。監視されなかった人たちから「なぜ、されなかったのか」という声が出るほど(笑い)、「こういうものに屈してなるものか」という力強い反応が起こっております。

 そして、この問題では、「こういう問題で頼りになるのは共産党」、「共産党の存在感の大きさを感じた」という声が、多くの国民からよせられています。

 かつて日本軍国主義が、外に侵略戦争の刃(やいば)を向けたときには、内に弾圧の刃を向けました。憲法を変えて「海外で戦争をする国」をつくるという動きと、軍による国民監視社会をつくるという動きは、表裏一体のものであります。侵略戦争と「憲兵政治」を再現させないことは、歴史の重い教訓であります。侵略戦争と専制政治に命がけで反対を貫いた、たしかな党の役割は、ここでも大きいことを強調したいと思うのであります。

 憲法問題は参議院選挙の大争点の一つです。安倍・自民党は、深刻な危機と行き詰まりのもとにあるとはいえ、六月十日に発表した参院選にむけた「マニフェスト」のトップに、「平成22(2010)年の国会において憲法改正案の発議を目指し、国民投票による承認を得るべく、新憲法制定推進に向けた国民運動を展開します」と掲げました。公明党も歩調をあわせて「マニフェスト」のなかに「三年後をめどに加憲案をまとめることをめざす」と掲げました。改憲を争点にするという与党の姿勢の危険性はいささかも変わりません。

 四中総では、安倍内閣のこの反動的挑戦に対して、「わが党は正面から受けてたち、改憲派を論戦で追い詰め、共産党の前進で改憲策動に痛打をあたえる選挙にしていく」という決意をのべました。四中総のこの立場は、いよいよ重要となっていることを強調したいと思います。

(4)「たしかな野党」の立場が、こんなに情勢とかみあうときはない

 このように参議院選挙を目前にして、国政のどの熱い問題でも、四中総が提起し、「12の重点政策」で打ち出した内容で、いま対話が弾み、話せば支持に結びつく。一言でいいますと「たしかな野党」の立場が、こんなに情勢とかみあうときはない。まさに「いまこそ必要」というキャッチフレーズがぴったりの情勢が展開しているのではないでしょうか。

 二〇〇五年の総選挙と比較しても、今度の選挙がどんなにたたかいやすい選挙か。二〇〇五年の総選挙では、私たちは「たしかな野党」をかかげてたたかいましたが、まず「郵政民営化」という、相手が押し出してきた問題で、わが党の立場を解明し、そのうえで消費税や憲法の問題を提起しました。「郵政民営化」の論戦というのは、金融問題というずいぶんややこしい、難しい問題もかかわっていますから、そこで押し返すこと自体が、かなり力のいる大仕事でした。

 しかし、この参議院選挙で私たちが訴えていることは、年金でも、増税でも、福祉でも、憲法でも、みんな身近なことばかりです。党員自身の暮らしや前途にもかかわる切実な問題ばかりです。難しい問題はありません。誰でも話せます。住民税増税の問題でも、私は東京の演説会で、私の母からかかってきた電話のエピソードを話しました。早朝に母から電話がかかってきまして、「住民税が何倍にもなった。一体どうなってるの。一体何してるの」(笑い)という怒りの電話です。住民税の問題についても、「私の住民税がこんなに増えた。あなたはどう」というふうに話せば、誰でもそこから対話がはじまると思います。そして、打って出たところでは、積極的な反応が返ってくることを、打って出た人はみんなが実感しているのではないでしょうか。

 他党はどうでしょうか。安倍・自公勢力にとっては、難しい問題ばかりが起こっています。大逆風のもとでの選挙となっています。「消えた年金」問題で真剣な対応をとってこなかったこと、庶民増税を強行していること、自衛隊による国民監視問題での居直り、そして数の暴走で悪法をつぎつぎに強行することへの批判が広がっています。内閣支持率は劇的に下落し、深刻な水準にまで達しました。自民党の支持基盤の崩れがいっそう進行し、これまで自民党を支持してきた人々もふくめて有権者の中に大きな流動化・模索・激動が起こっています。公明党にも、とりわけ「増税戦犯」の批判が、いよいよきびしく突き刺さっています。

 民主党は、貧困と格差、憲法改定という二つの大争点では語るものをもっていません。先ほどのべたように、この党は、庶民増税反対の旗が立てられません。国保でも、介護でも、福祉充実の旗が立てられません。派遣労働の自由化など労働のルール破壊にも手を貸してきましたから、雇用問題でも旗が立てられません。憲法問題では、自民・公明が暴走しようというときに、民主党の「マニフェスト」には憲法問題が一言もふれられていません。憲法改定ではもともと同じ旗だからであります。民主党には、安倍・自公政権の暴走を止める力はありません。政治を変える力にはなりません。

 投票日までの期間に、選挙戦の展開と政治の流れがどうなるか、これは、いま予断をもっていえません。いろいろな党派間の力関係の変動、あるいは大変動も起こりうることです。しかし、四中総の結語でのべたように、どういう流れがつくられようと、日本共産党の議席をのばすことが、この選挙の最大の焦点なのだという見地を、揺るがず、一貫して堅持して奮闘することが大切です。日本共産党が一議席、二議席、三議席と議席をのばすことこそ、日本の政治を前に動かす最大の力になります。ここに最大の争点がある。そのことに思いを定めて、頑張りぬくことが大切です。

 四中総決定の徹底の到達点は、現在読了で23%、討議支部で69%です。すべての党員と支部に四中総決定の内容を徹底する努力をいっそう強めましょう。そして私たちが底力を出しきって頑張りぬけば、参議院選挙で勝てるんだ、前進できるんだ、その客観的条件が広がっているんだ――この情勢の生きた特徴を、胸躍る特徴を、すべての党員、後援会員につたえる政治的指導と援助を抜本的に強めましょう。これが飛躍をつくる第一のカギであります。

「自らの選挙」としてたたかいぬくという構えを全支部、全党員のものに

 第二に、四中総は、この選挙を「比例を軸」に、一人ひとりの党員が候補者として、「自らの選挙」「おらが選挙」としてたたかうことを、強く呼びかけました。これを「支部が主役」で掛け値なしにやりきれるかどうか。ここに飛躍をつくる二つ目のカギがあります。

(1)参議院選挙にむかう運動の到達点をどうみるか

 四中総決定は、公示日までに勝利に必要な二つの課題――(1)得票目標の実現めざし、すべての有権者を対象に、宣伝活動と、支持拡大目標を突破する対話・支持拡大運動をすすめること、(2)党勢拡大の上げ潮のなかで選挙戦をたたかうこと――この二つをやりきることを提起しました。現在の到達点を報告したいと思います。

 第一に、選挙戦の諸課題についてです。党紹介パンフ『日本共産党はこんな政党です。』の配布率は54%です。ポスターの張り出し率は57%です。支持拡大の目標を決めた支部は58%であり、とりくんでいる支部は58%です。対話数の累計は百四十万、比例での支持拡大の累計は百十六万(目標比で7・4%)です。都道府県規模でおこなわれた演説会は、現在まで三十の都道府県で、累計参加者は約九万人です。支部主催の演説会・懇談会・小集会は、とりくみ支部が9%で、累計参加者は約五万人です。これらが選挙にかかわる諸課題の到達点です。

 第二に、党勢拡大についていいますと、五月度は、全国のみなさんの奮闘によって、党員拡大では前進しましたが、「しんぶん赤旗」読者の拡大では、六県と九十一地区で前進したものの、全国的には残念ながら後退しました。六月度は、五月度に比べて拡大のテンポはあがり、前進への展望を開きつつありますが、大きな上げ潮をつくって選挙をたたかうには一段の飛躍が必要です。

 「支部が主役」の選挙戦にしていくとりくみが遅れており、全体としてはようやく始まったというところが現状です。それは支部主催の演説会・懇談会・小集会の到達点が9%の支部にまだとどまっているところに端的に示されています。

 日本共産党にとっては、どんな時でも「風頼み」の勝利はありえません。「二大政党」づくりの動きは、自民党、民主党のそれぞれにどんな弱点があっても、わが党を締め出す強力な作用として働くことも、私たちは何度も体験してきました。

 こういう場ですから、現在の到達点の評価を率直に話したいと思います。それは、このままの運動の規模とテンポで推移するなら、参議院選挙で前進・勝利する保障はない。せっかくの絶好のチャンスを逃しかねません。現有議席から後退する危険すらあります。

 この到達点をリアルに見て、抜本的に打開し、飛躍をつくることがいま強く求められています。どんな展開になろうとも、四中総でのべた「二つの基準」――どの党にも負けないとりくみになっているか、得票目標を実現するとりくみになっているか――で到達点をはかり、自力で風をおこして勝ちぬくことが求められています。

(2)打開すべき一番の問題――「自らの選挙」としてたたかいぬく構えをつくる

 そのために、いま一番打開しなければならない、私たちの活動上の問題点はなにか。それは、すべての支部と党員、党機関、地方議員が、参議院選挙を「自らの選挙」「おらが選挙」としてたたかいぬくという構えをしっかり確立して、党の底力を出し切ることであります。

 この会議に先だって、全国の都道府県委員長に、現状をどうみているのか、どう打開するのかの報告をよせてもらいました。多くの同志から、つぎのような率直な自己分析、自己反省の声がよせられました。

 ある同志は、「情勢の発展に対して、また、先進支部の連日の奮闘に比べて県委員長の構えと活動が重大な遅れをとっている。これが最大の問題である。いっせい地方選挙では、いまの時期、徹底して県委員長を先頭に連日個別選対に入って、現状認識を鮮明にし、打開の手だてを必死にとっていた」――こうのべています。

 ある同志は、「打って出て党への期待の大きさを実感しても、『二つの課題』をやりきることを抜きに前進できないことをはっきりさせ、いっせい地方選挙のときのような真剣さと必死さで追求していないという弱点がある。長の私の構えが一番の問題だと反省して、この間、連日の結集体制も提起して体制を強めている」――こういう報告をよせました。

 ある同志は、「なぜ遅れているのか。何よりも選挙勝利の構えが、いまの情勢の激動にふさわしく党機関から支部にいたるまで十分につくりきれていないことである。いまの情勢の激動、有権者の政治的流動化について、党機関や議員団などの一部に『冷めた』見方も残しており、四中総決定の深い討議・徹底とむすんでの政治指導の強化がますます重要となっている」――こういう報告をよせました。

 私は、多くの都道府県委員長のみなさんから、率直な自己分析がよせられたことを、歓迎するものです。問題点の発見は、問題解決への大きな前進であり、おそらくはこうした報告をよせてくれた組織では、すでに打開のための手だてがとられていると思います。こうした見地での自己分析と現状打開のための思い切った手だてをただちにとることを、私は全党のみなさんによびかけるものです。

(3)国政選挙での前進・勝利を切実に願っていない党員はいない

 参議院選挙を全国すべての支部と党員が「自らの選挙」、「おらが選挙」としてたたかうようにしていくうえで重要なことは、国政選挙でのわが党の前進、勝利を願っていない党員はいないということです。

 この間の数回の国政選挙では、「自民か、民主か」という「二大政党」の動きがつくられ、この「共産党シフト」によって、私たちはかなり押し込まれ、これを押し返すたたかいにとりくんできました。このなかでは悔しい思いもしてきました。それだけに「今度こそ勝ちたい」という気持ちは、全国どの党員も同じだと思います。ここに私たちは、深く信頼をおいて、依拠して、心をこめて、「ともに立ち上がろう」と声を届けきることが大切であります。

 国政選挙では、ある意味では、地方選挙以上に身近で切実な問題が問われます。党員なら誰でも「勝ちたい」「前進したい」ということを、自分自身の生活とのかかわりのなかでも、あるいは自分の前途とのかかわりでも願っています。

 私自身、全国各地の演説会にうかがいましたが、そのことはどこでも参加者の熱気から実感させられました。各地の演説会では、事前に参加を約束してくれた方をこえて、初参加の方も含めて、多くの人々が集い、よせられた感想を見ても、「私も頑張りたい」という決意がたくさんつづられていることが特徴です。それから募金がたくさん集まっているなど、これまでにない特徴があります。たとえば静岡では三千八百人の集会でしたが、百四十万円近い募金が集まって、会場を借りるお金よりはるかに集まったということで(笑い)、話題を呼んでいました。これだけ募金をよせてくれるというのは、「勝ってほしい」という願いのあらわれです。そういう、これまでにない積極的な特徴がある。みんな「勝ってほしい」と願っています。

 ただみなさん、国政選挙、とくに全国一区の比例代表選挙というのは、地方選挙との違いがあります。それは選挙の地域、単位が広域で、一つひとつの支部の奮闘と選挙結果が目に見えるかたちでは直結しないということです。いっせい地方選挙でしたら、とくに市町村議選挙になりますと、「うちの支部が頑張らなかったら、候補者が落ちてしまう」と目に見えるかたちで直結するわけですが、大きな選挙になりますと、これは違った条件になってきます。そこから「うちの支部が少しぐらいとりくみが弱くても、ほかが頑張ってくれれば、何とかなるのではないか」ということに陥りがちになります。しかし、みんながそうなってしまったら、選挙は負けてしまいます。ですから、すべての支部と党員、機関、地方議員のみなさんが、みずから掲げた目標に、「全国は一つ」で、掛け値なしに責任を負ってやりきるかどうかが、勝敗を分けるということを強調したいと思います。

 これまでの参議院選挙の比例代表選挙の結果を見ますと、支部にするとわずかの差で当落が左右されています。たとえば前回、二〇〇四年の参議院選挙で、わが党が得た比例代表選挙での得票は四百三十六万票で、獲得議席は四議席でしたが、実は、十三万票足らなければ三議席になるところでした。支部になおせば、わずか五票です。それから参院選に比例代表制度が導入されて、最初の選挙になった一九八三年の参議院選挙では、わが党が得た比例代表選挙での得票は四百十六万票で、獲得議席の五議席目は最下位でしたけれども、この選挙ではあと五万票足らなければ四議席になるところでした。支部になおせば、わずか二票です。ですから一つひとつの支部で見たら小さくても、全国では何議席もの違いになってあらわれてくるのが比例代表選挙です。

 しかも、全国すべての支部で私たちは目標を実現するように奮闘するわけですが、どうしてもアンバランスというのが出てきます。その地域での他党との力関係、あるいは支部が主体的に抱えている問題などで、奮闘しても目標を達成することにいたらない支部も出てきます。ですから条件のあるところでは、とくに力持ちの支部や党員のみなさんは、みずから決めた目標を超えて、伸ばせるだけ伸ばしてこそ、全国的に目標を達成できるということも強調したいと思います。

 四中総決定では次のようにのべました。

 「私たちの綱領路線は、もとより国政選挙で民主連合勢力が多数をしめ、国政を改革しなければ実現できません。国政のたたかい、とりわけ比例代表選挙に、地方選挙で発揮した以上の情熱と力を傾けてとりくめるかどうか。これは日本革命をめざす日本共産党員の根本姿勢が問われる問題であります」

 日本共産党に入ったからには、民主連合政府の樹立を願わない党員はいないと思います。この参議院選挙を、民主的政権への新たな前進の一歩を刻む選挙とするために、地方選挙で発揮した以上の情熱と力をそそいで頑張りぬこうではありませんか。(拍手)

 さらに四中総決定ではこうものべました。

 「対話・支持拡大運動では、いっせい地方選挙にむけても大奮闘がありましたが、参議院選挙の目標達成のためには、その二倍、三倍という規模でのとりくみが全党的に必要となります。『全国は一つ』の立場にたち、あらゆるむすびつきを生かした対話・支持拡大運動を、史上空前の規模ですすめようではありませんか」

 二倍、三倍という、この提起を、掛け値なしにやりきってこそ、勝利への道は開かれます。

 みなさん、情勢の面白さを伝え、党の前進の可能性を語り、みんなが「自らの選挙」「おらが選挙」として、文字どおり「全国は一つ」「心一つ」に立ち上がる選挙にしていこうではありませんか。ともに力をつくしましょう。(拍手)

(4)積極的な奮闘を一気に全党に広げ、勝利にむけた大飛躍を

 全国からの報告を見ますと、全国各地で、参議院選挙勝利をめざし、勝利に必要なとりくみに地方選挙以上の知恵と力、情熱を傾けてたちむかう積極的な奮闘が始まっています。

 一つたいへん印象的な報告を紹介したいと思います。奈良県・沢田県委員長からの報告です。

 「なんとしても比例票八万八千の獲得、選挙区も議席に挑戦する構えを確立し、元気良く、意気高くたたかいぬく決意をこめて、日本共産党のタスキを五百本つくった。地方議員はもちろん、機関役員、党員もこのタスキをつかって、いまこそ日本共産党でたたかうことをよびかけている。党内の反響は思った以上で、『うちの支部にもタスキをくれ』と声がかかる。奈良地区の演説会でも、三十人ほどの議員が全員そろって日本共産党のタスキをかけて登壇し、会場から拍手・掛け声がかかり、盛りあがる演説会となった。三碓(みつがらす)支部は、系統的にハンドマイク宣伝にとりくんでいるけれど、先日五人がタスキをかけてやったら、注目が抜群で、『ガンバレ』などの声がかかり、タスキをかけてやると気持ちも引き締まり、反響も上々で元気になった」

 全国のそれぞれの党組織が創意をこらし、こうしたすばらしい活動にとりくみ、この流れを一気に全党に広げ、選挙勝利に向けた大飛躍をつくりだそうではありませんか。

やるべきことは明瞭――7月29日には党史に残る立派な結果をだそう

 選挙戦勝利に向けてやるべきことは明瞭(めいりょう)です。最後に七つの点を提起して報告をしめくくりたいと思います。

 第一は、日本共産党の元気いっぱいの姿をしめす街頭宣伝に打って出ようということです。すべての支部が、地方議員、県・地区役員といっしょに、署名、プラスター、ノボリ、横断幕などをもって、史上空前の規模のハンドマイク宣伝、宣伝カー宣伝に打って出ましょう。

 第二は、すべてのポスターを張りつくし、ポスター第一党になろう、ということであります。大好評の日本共産党紹介パンフ『日本共産党はこんな政党です。』、それから新たに作製した増税・年金・憲法問題の「しんぶん赤旗」号外を一気にまききりましょう。

 第三に、宣伝と一体に、対話・支持拡大の大飛躍をつくりだしましょう。「全国は一つ」であらゆるつながりを生かし、電話もフル稼働させ、公示までに支持拡大目標を突破して、本番のたたかいでさらに広げようではありませんか。

 第四に、支部主催の小集会・懇談会・演説会は、いっせい地方選挙で大きな力を発揮しました。このとりくみを、街角演説会などの多様な形もふくめて、すべての支部で気軽に繰り返し開き、いろいろな課題を総合的にすすめ、飛躍させる力にしていこうではありませんか。

 第五に、党と国民を結ぶ最良の媒体――「しんぶん赤旗」をおおいに増やしながら選挙戦をたたかいましょう。後援会員とともに選挙戦をたたかい、後援会員・読者・支持者に広く入党をよびかけ、新鮮な活力を迎え入れながら選挙戦をたたかいましょう。

 第六に、「支部が主役」の選挙戦にしていきましょう。すべての支部が支部会議を多くの支部員の参加で開き、得票目標と支持拡大目標を決め、それをやりきる計画をたて、草の根からのさまざまな創意が生き生きと発揮される選挙戦にしていこうではありませんか。そのためにも四中総決定をみんなが読み、討論し、これを力にたたかいましょう。また、「しんぶん赤旗」の日刊紙をよく読み、これを指針にたたかいましょう。

 第七に、残る三十七日間のたたかいは、一日一日が大切です。支部も機関も、いつでも集まれるたまり場をつくる、炊き出し体制をとるなど、臨戦態勢をすみやかに確立しようではありませんか。

 みなさん、すべての党員が本気でたちあがり、やるべきことをやりきれば、この選挙は必ず勝てます。このチャンス、逃してなるものか。この決意で頑張りぬこうではありませんか(拍手)。私たちも全国のみなさんと心一つに、知恵と力を出しつくして頑張りぬく決意であります。

 ただみなさん、暑い夏のたたかいです。ですから健康管理にはくれぐれも留意をして、お互いにその点は大切にしながら、この選挙を、元気いっぱいにたたかいぬきたいと思います。みなさん、七月二十九日には党史に残る立派な結果を出すために、ともに頑張りぬこうではありませんか。

 以上をもって報告といたします。(大きな拍手)


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