2007年6月18日(月)「しんぶん赤旗」

コムスン不正で再浮上

営利優先 企業介護の弊害

共産党、導入時から警告


 訪問介護最大手・コムスンの不正問題は、介護保険を営利企業まかせにすることの弊害を改めて浮き彫りにしました。日本共産党は介護保険制度の導入時から、営利企業の参入を促進して公的責任を投げ捨てることの問題点を指摘し続けてきました。(秋野幸子)

 介護保険制度が始まったのは二〇〇〇年四月。コムスンは最初から事業参入したものの、わずか二カ月で、全国約千二百カ所の介護拠点の四割を閉鎖、その後も事業所の廃止・撤退を繰り返してきました。もうからなければ一挙に撤退―営利企業まかせでは介護の現場が壊される危険は、早くから問題になっていました。

 日本共産党は、二〇〇〇年九月、政府への「緊急申し入れ」で、「サービス提供を営利企業にゆだねるという政府の政策も、地方都市では民間事業者が相次いで撤退するなど、そのゆきづまりが明白です」と指摘。サービスの提供を民間まかせにせず、国が責任をもつよう求めていました。

政府「参入を期待」

 保険料を払ってもサービスが利用できない「保険あって介護なし」という問題は、介護保険が始まる前から指摘されていました。しかし政府・自民党は「ホームヘルパーなどの分野において、これまでの数字には見られないような民間事業者の参入を期待していきたい」(一九九九年十一月、丹羽雄哉厚生相)と、民間頼みの姿勢を続けました。

 サービス不足は深刻なのに自治体がサービス提供から手を引き、民間事業者にまかせる動きが各地で進みました。日本共産党の小池晃参院議員は、大阪や名古屋など大都市で自治体が訪問介護事業から撤退した問題を取り上げ、国がサービス確保に責任をもつよう求めました(二〇〇〇年四月二十五日、参院予算委員会)。

 営利企業の参入で「お金のない人は敬遠され、事業者に“逆選択”されてサービスが利用しにくくなる」という問題も指摘していました。

自・公・民が広げる

 介護市場は“四兆円ビジネス”ともいわれ、民間参入が広がりました。

 〇二年十二月には、特定の地域で特別養護老人ホームへの株式会社の参入を認める「構造改革特区」法が、自民、公明、民主各党の賛成で成立しました。

 日本共産党は「老人福祉の分野は、老後を安心して過ごすための長期で安定したサービスが何より大切であり、目先の利益を優先する株式会社の活動にはなじまない」(衆院本会議、吉井英勝議員)と反対しました。

 一方、与党とともに賛成した民主党は、「関係省庁の省益や業界団体の圧力を徹底的に排除し…全国規模の規制緩和や撤廃、地方分権を強力に推進させるべき」(衆院本会議、木下厚議員)と述べ、よりいっそうの規制緩和を求めていました。



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