2007年6月17日(日)「しんぶん赤旗」

米海兵隊基地で飲料水汚染

30年で7万人以上影響

南部ノースカロライナ州 小児がんなど多発


 【ワシントン=山崎伸治】米南部ノースカロライナ州にある海兵隊基地キャンプ・レジューンの家族住宅で、有害物質に汚染された飲料水が三十年にわたって使用され、その影響とみられる先天的欠損症や小児がんが多発していた問題で、下院エネルギー・商業委員会の監督・調査小委員会が十二日、被害者を招いて公聴会を開きました。

発見後も放置

 これは、一九五七年から八七年までの間、基地内のタラワ・テラス家族住宅の飲料水が、ドライクリーニングの溶剤に使うテトラクロロエチレン(PCE)に汚染されていたというもの。米政府機関の有毒物質・疾病登録庁によると、地下の貯蔵タンクなどから漏れ出したPCEが水源の井戸に混入したものと見られています。PCEは発がん性が指摘されています。

 ところが、汚染が八二年五月に最初に発見されながら、水道の使用を中止したのは八七年三月。それまで住民は、基準値の平均十四倍のPCEを摂取し続けていました。米政府機関の疾病管理センターによると、三十年間に同家族住宅に住んでいた海兵隊員とその家族約七万五千人が影響を受けているといいます。

 この問題で家族住宅の元住民少なくとも八百五十人が総額四十億ドルの損害賠償を求めて提訴しています。

 公聴会で民主党のステューパク小委員長は、「海兵隊はいつ汚染に気づいていたのか」「なぜ汚染された井戸を使い続けたのか」「住民にはいつ、どのように知らせたのか」などの疑問を提示。国防総省や海軍、海兵隊の責任を追及する姿勢を強調しました。

対応遅れ批判

 証人として出席した三人はそれぞれ、PCE汚染の影響を訴えました。そのうち元海兵隊員のジェリー・エンズミンガー氏は、七六年にキャンプ・レジューンで生まれた娘のジェイニーちゃんが六歳の時に白血病を発症し、九歳で死んだことを涙ながらに紹介。海兵隊をはじめとする政府機関の対応の遅れを批判しました。

 委員会は今後も、この汚染問題を取り上げていくことにしています。



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