2007年6月5日(火)「しんぶん赤旗」

軍包囲下、水・食料欠乏

レバノン北部・難民キャンプ


 【カイロ=松本眞志】レバノン北部ナハルアルバレドのパレスチナ難民キャンプの住民が、レバノン政府軍の包囲のもとで、食料や水など必要物資が欠乏し、生活が極度な困難に陥っています。アラブ首長国連邦の衛星テレビ・アルアラビヤが二日、報じました。

 住民らは、五月二十日以降、レバノン政府軍と武装集団ファタハ・イスラムの戦闘の巻き添えとなり、これまでに六十五人以上が死亡し、数百人が負傷しました。二万人から二万五千人がキャンプから脱出し、三千人から五千人が、いまでも政府軍の包囲下にあるとされます。

 ナハルアルバレドの人々の避難先の一つがバダウィ・パレスチナ難民キャンプ。ここで活動するパレスチナ赤新月社のアサド医師は、戦闘で負傷した住民二百四十人の対応に追われています。アサド氏によれば、赤十字国際委員会とレバノン赤十字、パレスチナ赤新月社が共同で救援活動を行っているものの、住民に救援物資が十分に届けられていません。同氏は、「二日分の救援物資しかなく、特に水と食料が欠乏状態にある。取り残された負傷者もいる」と語り、住民が武装集団とはなんの関係もないにもかかわらず、政府軍が無差別に砲撃を行ったと非難しました。

 一万六千人の収容能力しかないバダウィ難民キャンプは、現在三万六千人に膨れ上がり限界に達しています(アラブ首長国連邦紙ガルフ・ニューズ一日付)。現地で活動する赤十字国際委員会のレバノン代表ファデル・ファフミ氏は「緊急支援が必要だ」と訴え、「政府軍と武装集団に対して救急車や救援物資の搬送車の活動を保証するよう交渉している」と話しました。

 パレスチナ赤新月社のムハンマド・オスマン事務局長は、同社のもとで七十人がボランティアで活動し、負傷者五百人の治療を申し出たと説明。「ナハルアルバレドにはいまでも二十人の遺体が放置されている」と述べました。

 レバノンのシニオラ首相は、武装集団側に降伏を勧告していますが、武装集団は拒否しています。政府軍は戦車による砲撃に加えヘリコプターの支援も受けて攻撃を続行しています。


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