2007年5月31日(木)「しんぶん赤旗」

'07参院選 いまこそ必要たしかな野党

“最悪コンビ”の暴走ストップする議席は

「靖国」派が占める安倍政権
「政教一体」の公明党


 日本の侵略戦争を「正しい戦争」とする「靖国」派で政権中枢を固めて、憲法改悪へとひた走る安倍政権。連立相手は、創価学会と「政教一体」で自民党の悪政にアクセルを踏み続ける公明党です。この“最悪コンビ”による憲法改悪などの暴走にストップをかけられるのは、どの党か、参院選でも重要な選択の基準です。


改憲路線と「悪政戦犯」

写真

(写真)仁比聡平議員(右端)の質問で発議者が一時答弁不能となり、協議する与党議員=19日、参院憲法調査特別委

 「為政者の都合で、再び庶民だけが犠牲を強いられる時代が来るという危惧(きぐ)がある」――一般紙の投書欄にも、最近、安倍内閣がつきすすむ改憲路線への懸念や不安の声が寄せられています。

 安倍首相は「戦後レジーム(体制)からの脱却」を掲げ、戦後初めて“任期中改憲”を公言。その第一歩として、昨年の臨時国会で教育基本法を改悪し、今国会では改憲手続き法成立を強行しました。海外での武力行使を可能とする集団的自衛権の行使に向け、歴代政府が積み重ねてきた憲法解釈の変更を狙って有識者懇談会を設置しました。

 政権中枢を占める「靖国」派は、「新憲法大綱案」で天皇中心の「国柄」を明記した国づくりをめざし、歴史教育や男女共同参画社会づくりまで敵視。「古来の美風としての家族の価値」を保護せよ、人権を制約せよなどと、戦前回帰の特異な価値観を持ち込もうとしています。

 連立を組む公明党は、定率減税廃止を真っ先に提案した「増税戦犯」です。教育基本法改悪と防衛省法制定では「公明党が先頭に」(公明新聞〇六年十二月二十六日付)と“推進役”を自任。改憲手続き法でも早期成立をリードした「悪政戦犯」です。

 かつて言論出版妨害事件(一九六九―七〇年)を起こした創価学会は、池田大作会長(当時)による「猛省講演」(七〇年五月)で、公明党との「政教分離」を約束しました。しかし、その後この事件を「仏敵」による「極悪な非難」から「正義の信仰」を守り抜いた闘争と描くようになりました。このことをきびしく指摘した日本共産党の批判には何の回答もないまま、「政教一体」と反共主義の道を暴走しています。今回のいっせい地方選では聖教新聞一面トップで、公明党議員の当選を「全国に創価完勝の旗が翻った!」(四月二十四日付)と誇るまでになっています。

「立場と勇気」もつ共産党

 「靖国」派と政教一体集団による暴走をストップするには、これに正面から立ち向かうたしかな立場と勇気が必要です。

 日本共産党は、憲法の全条項を守ると綱領に明記している唯一の政党です。将来の日本社会についても、憲法を生かした「国づくり」=日本改革を提案。一貫して、平和と民主主義、国民主権を守り通す立場をもっているからこそ、安倍・自公政権の反国民的な暴走にストップをかけることができるのです。

「共産党がいなければ」

 今国会で自公が強行した改憲手続き法でも、「九条改憲の条件づくり」との狙いをずばり指摘。不公正・反民主的な内容を告発し、自公民三党が最低投票率制度の検討など十八項目もの付帯決議をつけざるを得ないところまで追い込みました。自民党の中山太郎・衆院憲法調査特別委員長が「共産党がいなかったらもっと早くいったのに」と悔しがったこともありました。

 日本共産党のたしかな立場と勇気は、創立以来八十五年の歴史に裏打ちされたものです。

 天皇中心の国家体制(当時は「国体」と呼びました)が絶対の時代から、主権在民を主張。天皇制政府がすすめた侵略戦争にも命がけで反対しました。「最後の海軍大将」といわれた井上成美氏(故人)は「いまでも悔やまれるのは、共産党を治安維持法で押えつけたことだ。いまのように自由にしておくべきではなかったか。そうすれば戦争がおきなかったのではあるまいか」(『井上成美』伝記刊行会、一九八二年)とのべました。

 日本共産党の議席が、自公政権、改憲勢力の反動的暴走にストップをかける、かけがえのない値打ちをもっていることは、相手側の証言にも明らかです。

 たとえば、自民党の中川秀直幹事長は「憲法問題では自共対決」と語っています(別項1)。「靖国」派の日本会議首都圏地方議員懇談会も憲法記念日の集会での志位和夫委員長の講演を紹介し、“共産党対「新憲法制定」派議員”の「対決構図が今後、ますます鮮明になってくる」と宣言しています。(別項2

自民も「憲法問題は自共対決」

 (別項1)自民党・中川幹事長のホームページから

 「共産党も、憲法問題は信念の決戦と受け止めているのだろう。自共は信念対信念の一大論戦を展開することになるだろう」

 (別項2)日本会議首都圏地方議員懇談会ホームページから

 「国民投票において改憲を阻止しようとする日本共産党。それに対して、私どもは、自民党や民主党などの『新憲法制定派』議員と連携して、全国300支部を結成して…新憲法を制定しようとしているわけです。この対立構図が今後、ますます鮮明になってくると思われます。日本共産党に対抗して、新憲法制定の草の根のネットワークを広げていきたいと思います」


改憲競い合う民主党

 民主党は、自民党と同じ改憲政党で、立ち向かう立場がそもそもありません。「靖国」派の国家像を示した「新憲法大綱案」をつくった新憲法制定促進委員会準備会にも、民主党や国民新党の議員が加わっています。

 民主党は、党としても、〇五年十月にまとめた「憲法提言」で「未来志向の憲法構想を、勇気をもって打ち立てる」と改憲を宣言。国連のもとでの武力行使を認め、集団・個別の区別なく「自衛権」を明記し、海外での武力行使に道を開いています。

 改憲手続き法でも、自民・公明と「合作」を図りました。それが破たんすると「憲法改正を真摯(しんし)に考えているのではなく、遅らせても構わないと考えている」(枝野幸男衆院議員)と非難し、“真の改憲派はどちらか”と競い合いました。


憲法守り抜く共産党に期待

自由法曹団幹事長

田中 隆さん

 「戦後レジームからの脱却」を唱える安倍晋三内閣のもとで、改憲手続き法が成立しました。憲法にかかわる重要な法案を、参議院選挙に向けた政権の思惑でもてあそび、問題山積のまま強行した暴挙でした。

 この法案審議では、日本共産党議員団の論戦が大きな力となりました。鋭い追及で法案の矛盾を突いて提出者を立ち往生させたことが、「すべてはこれから検討する」というに等しい十八項目の付帯決議につながりました。また、地位利用や政治的行為を口実にした公務員や教育者の運動規制の企てを押し返すことができたのも、論戦の貴重な成果でした。

 改憲手続き法の強行で、改憲策動とのたたかいは新たな段階に入りました。この秋には憲法審査会が設置され、国会を舞台にした改憲準備を進めようとする動きもあります。憲法を守り、平和とくらしを守り抜くために、改憲策動と真っ向から対決する日本共産党議員団がもっと大きくなることを期待します。


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