2007年5月30日(水)「しんぶん赤旗」

通話記録盗み出し

創価学会幹部(当時)らに賠償命令

東京地裁 ドコモの責任も認定


 創価大学グループによる携帯電話通話記録盗み出し(不正アクセス)事件で東京地裁(永野厚郎裁判長)は二十九日、実行犯のドコモシステムズ社員だけでなく、創価学会全国青年部副部長の事件関与やNTTドコモの責任を認め、十万円の損害賠償を命ずる判決を言い渡しました。(肩書は事件当時)

 通話記録を盗まれたジャーナリスト乙骨正生氏が、実行犯で創価大出身の嘉村英二・同システムズ社員と、犯行を指示したとされる創価学会青年部の根津丈伸副部長(創価大副学生課長)、創価学会、創価大学、NTTドコモに損害賠償を求めていたもの。

 嘉村被告は二〇〇二年三月と四月、社内のコンピューターに不正アクセスして乙骨氏と元学会員の女性の通話記録を印刷。刑事裁判では嘉村被告だけが起訴され、東京地裁が〇四年十二月、「個人的犯行とは信用しがたい」としながら同被告に有罪判決を出しました。今回の民事裁判で原告側は、創価学会批判者に対する不正で組織的な情報収集と指摘。被告側は嘉村被告の個人的興味による行為であり、根津被告らは無関係だと主張しました。

 この日の判決は、嘉村被告と乙骨氏らの間にはあえて違法行為をしてまでしてアクセスする人間関係は認められず、個人的動機を欠くと指摘。不正アクセスの具体的態様や別件の事件の構図などから判断し「(嘉村被告は)根津被告の依頼又は指示に基づき本件不正アクセスを実行した」と認定しました。

 判決はNTTドコモの通信事業者の責任も認定しましたが、創価学会と創価大への賠償請求は退けました。判決後、乙骨氏は「『真相究明を求める会』などの支援のおかげで、究明の端緒は開いた。全容解明まで努力したい」と述べました。

 松井繁明弁護士(原告代理人)の話 学会幹部(根津被告)の関与や、NTTドコモの社会的責任を認めたことの意味は大きいが、根津被告がどのような利害で指示したのかの解明がされておらず、それが創価学会などの法的責任を疑わせる根拠になっている。


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