2007年5月28日(月)「しんぶん赤旗」

RCTVの放送免許更新せず

クーデター加担が理由

賛成・反対両派がデモ

ベネズエラ


 南米ベネズエラで、クーデターに加担した民間テレビ局RCTVの放送免許を政府が更新しなかった問題をめぐって、賛成派と反対派の対立が激しくなっています。免許の期限切れとなる二十七日には、首都カラカスで賛成派が集会を開催し、全国的キャンペーンの実施を確認。反対派は、「表現の自由」を掲げてデモ行進しました。(メキシコ市=松島良尚)


ねつ造報道で

 RCTVを含む民間テレビ四局は、反政府派による二〇〇二年四月のチャベス大統領追放クーデターの際、反チャベス派のデモへの参加を大々的に呼びかけ、チャベス派の狙撃兵による反チャベス派への銃撃事件を繰り返し報道しました。これはのちにねつ造と判明しました。

 RCTVのグラニエル最高責任者は、クーデター派のこの陰謀に直接、加担していました。同局は、クーデターが未遂に終わった後、同年末の「石油スト」でも政府転覆をねらったサボタージュ奨励のキャンペーンをはりました。一連の報道は「メディア・クーデター」と呼ばれ国際的にも批判を浴びました。

 こうした経緯を踏まえて政府は昨年末、今年期限切れになる同局の放送免許は更新しない方針を明らかにしていました。その後も、政府は、「RCTVの免許を更新するかどうかは政府の権限」だと強調。「政治的報復だというRCTV側の非難は同局がクーデターなどに加担してきた現実に照らして説得力がなく、現政権が歴代政権のようにメディアを弾圧したことはない」(ランヘル前副大統領)と主張してきました。

 二〇〇〇年に発効した通信組織法第一〇八条は、「国家の安全保障に関して重大な状況が生じ、大統領が不適切と判断する」場合、免許は授与されないと規定しています。ララ通信情報相は、RCTVがこの通信組織法とラジオ・テレビ社会責任法に違反していると強調しています。

 これに対しRCTVのグラニエル最高責任者は、「報道の自由への侵害だ」として法廷で争う構えです。

表現の自由は

 政府の措置についてマスコミ関係者や周辺国からはさまざまな議論が出ています。米州新聞協会「報道の自由委員会」のマロキン委員長は、「他のテレビ局も同様の問題を抱えるのではないか」と懸念を表明しました。米州機構(OAS)のインスルサ事務総長は声明で、今回のような措置は「民主主義のこの数十年のなかで前代未聞」と述べ、チャベス大統領に再考を促しました。

 表現の自由をうたう国際組織であるジャーナリスト保護委員会の代表団が調査のためにベネズエラを訪問し、政府やメディアの関係者と懇談しました。ラウリア報道担当者はその結論として、「政府の決定が法の厳密な適用に基づいて行われたということを確認できなかった」と述べています。

 一方、報道の民主主義化などを掲げる中南米ジャーナリスト連盟の元議長で、ベネズエラの中立系紙ウルティマス・ノティシアスのディアス編集長は、「政府の措置は法に基づいている。RCTVがクーデターや石油ストの際に行動に出ず、批判路線を持っているだけなら問題にならなかっただろう」との立場を示しています。


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