2007年5月20日(日)「しんぶん赤旗」

第四回中央委員会総会

志位委員長の結語


写真

(写真)結語をのべる志位和夫委員長=17日、党本部

 日本共産党が十七日開いた第四回中央委員会総会で志位和夫委員長がおこなった結語は次のとおりです。

どれだけのスピードで決定を徹底し、選挙勝利に踏み出すか―― 一日一日が勝負

 幹部会を代表して討論の結語をおこないます。

 この中央委員会総会の目的は、参議院選挙にむけた全党の総決起をはかることにありました。中央委員会総会では、二十四人の中央役員が発言し、全体として明るく充実した討論がおこなわれました。

 幹部会報告は、全国で、リアルタイムで七千八十五人のみなさんが視聴し、七百六十五人から感想が寄せられています。総会の発言でも、全国からの感想でも、幹部会報告は、たいへん積極的に受け止められました。

 この会議は、参議院選挙の勝利にむけて、全党が心を一つに奮闘する決意と展望が語られた総会として、重要な成果をおさめたことをまず確認したいと思います。

 発言では、参議院選挙はすでに激しいたたかいのただなかにあるということも語られました。街に出ますと、他党のポスターが、それこそ先を争うように張られています。すでに参議院選挙は、全国で熾烈(しれつ)にたたかわれております。そのなかで、わが党のたたかいは、率直に言ってこれからという党組織が多いのも現状だと思います。

 ですから、この総会で採択されるであろう四中総決定を、どれだけのスピードで全党員のものにし、どれだけのスピードで勝利をめざす活動に全党が踏み出すか、初動のスピードがたいへん重要になってきます。そして、これから投票日まで、二カ月あまり、一日一日が勝負だと、お互いに決意を固めてがんばりぬきたいと思います。

 そのうえで三点にしぼって結語をのべます。

総括は実践的姿勢が大切――参院選勝利に生かすべき教訓は何かという角度から

 第一は、いっせい地方選挙の総括は、あくまで参議院選挙に生かすべき教訓は何かという角度から明らかにする、この実践的な姿勢が大切だということです。今年は、いっせい地方選挙、参議院選挙と連続選挙になりますが、連続選挙をたたかうさいには、とくにそういう実践的な姿勢で教訓をひきだすための意識的な努力が必要であります。

 もちろん、選挙戦で残念な後退をした場合などは、選挙戦に責任を負った党機関の自己分析ということが必要になってきます。ただその場合にも、直面する参議院選挙に党組織が団結し、結束して立ち上がるうえで必要不可欠な問題について、きちんと明らかにする。すなわち、「あらゆる角度から総括して、そのうえで参議院選挙に」ということにはしないということです。

 選挙戦からどういう根本的な総括と教訓をひきだすかは、いっせい地方選挙と参議院選挙の「二大選挙」が終わった時点で、しっかりやるようにします。日常的な党活動や党建設のあり方、党の根本的な実力をどうつけていくかなど、総括すべき問題点や、教訓は多々あると思います。そういう問題を含めた総括と教訓は、「二大選挙」の全体をたたかったうえで、ひきだしたいと思います。

 いま何よりも大切なことは、「二大選挙」の総決算になるのは参議院選挙となるということを銘記してがんばる。いままさに、連続したたたかいの最中にあるわけですから、いっせい地方選挙で、よい結果のところも、残念な結果のところも、参議院選挙でよい結果を必ず出すという立場で結束し団結してがんばる。それがいま大切な姿勢だということを、まず強調したいと思います。

政策的には、日本共産党の値打ちをこんなに光らせやすい選挙はない

 第二は、参議院選挙にむけた政党状況とわが党の政治的構えの問題についてであります。

 私は、政策的には、こんなに日本共産党の値打ちを光らせやすい選挙はないと思います。そのことは討論でも多くのみなさんが語ったとおりであります。

 たとえば、いま一大社会問題となっている貧困と格差の問題でも、問題の根源を突いて打開の展望を示し、国民の生活苦を打開するために国民とともに行動している政党は、日本共産党だけです。

 憲法改定の問題でも、安倍内閣による憲法改定への暴走の危険性とともに、そのもとでどういう矛盾が広がり、どういうたたかいの新しい条件が広がっているのか、これを全面的にとらえ、国民の多数派結集の展望を大きくさししめしているのは、日本共産党だけであります。とりわけ、安倍「靖国」派内閣の危険と矛盾を、正面から突ける政党というのは、侵略戦争に命がけで反対した歴史を持つ日本共産党だけであります。

 政策的には、こんなに党の値打ちを光らせやすい選挙はないということに、おおいに確信を持ってたたかいにのぞむ必要があります。

過去3回にわたる「二大政党づくり」とのたたかいの教訓を、全面的に生かそう        

 同時に、幹部会報告でも強調したように、「二大政党づくり」の動きを本格的に押し返すというのは、新しい挑戦です。

 幹部会報告では、第二十三回党大会二中総の方針にそくしてたたかおうと提起しました。実は、この方針の本格的実践というのは、今度の参議院選挙が初めてといっていいと思います。もちろん私たちは、二〇〇五年の解散・総選挙にさいしても、二中総決定をふまえた訴えをおこなっています。日本共産党の議席の値打ちということを、あの選挙でも訴えました。しかしあの総選挙というのは、八月八日の衆院解散によって突然はじまり、投票日は九月十一日でしたから、たいへん短い期間のたたかいでした。しかも、郵政民営化の是非という問題がいやおうなしに持ち込まれ、この問題で全面的な政策的解明をおこない、わが党の道理ある立場を訴えるということに、まず当然、大きなエネルギーがそそがれました。ですから、この総選挙では、第二十三回党大会二中総決定の全面的な実践をおこなうには、時間がなかったというのが、率直なところだったのです。

 その意味で、本格的な二中総決定の実践というのは、今度の選挙が初めてになりますが、全党の英知でそういう確認をおこなったからには、思い切ってこの方針にたって実践してみようではないかというのが、幹部会報告の提起であります。

 幹部会報告でものべたように、「二大政党づくり」というのは、反動勢力にとって長期的戦略です。わが党は、この動きに正面から立ち向かい、その正体をあばき、苦い結果を何度も味わいながら、一歩一歩実践を通じて方針を鍛えあげてきました。これまで私たちは、「二大政党づくり」の動きとのたたかいを、国政選挙では、二〇〇三年の総選挙、二〇〇四年の参院選、二〇〇五年の総選挙と、大きくいって三回にわたってとりくんできました。これらのたたかいでえた教訓を、今度の選挙では全面的に生かして、今度こそ前進に転じようではないか。これが幹部会報告の提起であります。

「どういう流れがつくられようとも」、日本共産党の議席をのばすことが大切

 私は、幹部会報告の中で、「今後の選挙戦の展開のなかでどういう流れがつくられようとも、国民要求にもとづく政策を語りぬくとともに、『たしかな野党』――日本共産党の議席と得票をのばすことの意味を語りぬくことが重要です」と強調しました。

 ここで「どういう流れがつくられようとも」、という点が大事であります。この点を重ねて強調したいと思います。「どういう流れがつくられようとも」、日本共産党の議席と得票をのばすことの意味を語りぬくという方針を、ゆるがず選挙戦でつらぬくことが大切であるということです。

 選挙戦の展開というのは、予断をもっていえません。どういう流れになっても、要は日本共産党が前進すれば、政治に新しい展望が開けます。どういう情勢が展開しようと、日本共産党が議席を一つでも二つでも――多ければ多いほどよいわけですが――増やすことが肝心要のことであります。

 マスメディアは、選挙戦について、自公が過半数か、民主が過半数か、ということにのみ焦点をあてた報道をおこなうでしょう。そこに目を奪われるのではなく、それこそ「どういう流れがつくられようとも」、日本共産党が前進することに執念を燃やし、がんばりぬくという姿勢が大切であります。

 過去の選挙でもいろいろあります。たとえば一九九八年の参議院選挙では、当時の民主党も躍進しましたけれども、日本共産党が大躍進した選挙となりました。そういう組み合わせになることもあります。かりに民主党への流れがつくられたとしても、あるいは自公への流れがつくられたとしても、日本共産党が勝利すればよいのです。「どういう流れがつくられようとも」、日本共産党がやるべきことをやりきって勝つということが大事です。これを重ねて強調したいと思います。

 いっせい地方選挙の総括のなかで、議席を失った選挙区で、その要因を、「民主党が躍進の流れをつくるもとで、それに競り負けてしまい、打ち勝てなかった」というところに、もっぱら求める傾向が一部に見られます。これは問題を正確にとらえた見方だとはいえないと思います。もちろん、民主党への批判が的確だったのかどうかは、重要な問題です。しかし、問題をそこだけに狭く見たら、見間違えることになります。総括をおこなう尺度は、「二つの基準」にあります。民主党だけではなく、自民党、公明党もふくめて、他のあらゆる党に負けないだけのとりくみをやったのか、そして自ら決めた得票目標を実現するのにふさわしい宣伝・組織活動をやりぬいたのか、わが党が勝利のためにやるべき奮闘をやりきったのかどうか――この基準から教訓をひきだすことが肝要です。また、そういう立場で参院選にのぞもうというのが、幹部会報告の提起であります。

 実際、いっせい地方選挙でも、同じ選挙区で民主党も得票をのばし議席を増やしたが、日本共産党も得票をのばし議席を増やした選挙区もあります。民主党が新たに立候補してきたけれども、自民、公明、共産、民主の激しいつばぜりあいのなかで、わが党が勝利し、民主党が落選しているケースもあります。民主党との関係ではいろいろです。ですから相手をそこだけに見ない。いわば全方位で政治論戦をすすめるなかで、わが党の議席と得票の値打ちを押し出していくという見地が大切であります。

5人の比例代表候補の当選に、全国の党組織が共同して責任を負う

 第三は、「比例を軸に」という方針についてであります。今度の選挙で私たちは、比例代表選挙で、全国で六百五十万票以上、10%以上の得票を獲得し、五議席の絶対確保を目標にがんばる方針を確認しています。幹部会報告では、「比例を軸に」をつらぬくためには、特別の意識性と党派性が必要になるということものべました。

 発言を聞いて、幹部会報告を受け止めて、まさに「比例を軸に」がんばりぬくという意気高い発言が次々と続いたことは、ほんとうに心強いことでありました。

 ただ一言のべておきたいのは、それぞれの党組織が責任を負っているのは、その地域を担当地域としている候補者の当選だけではありません。五人の比例代表の予定候補者は、みんな素晴らしい力を持った政治家ですから、発言のなかでは、「候補者にほれ込んでしまい、夢にも出てくる」といった同志もいました。五人ともそれぞれが個性と魅力、実力をもった素晴らしいベストチームであります。ただ、比例候補者が、それぞれの地域を担当地域にしているということは、その地域のさまざまな住民要求を国政に届けるうえでそのかけ橋としての活動をおこない、選挙戦の場合には主に担当地域で日本共産党への支持の訴えをおこなうということであって、それぞれの党組織は、その担当地域の候補者の当選に責任を負っているだけではなくて、五人全員の当選に、全国すべての支部と地区と都道府県が共同して責任を負っているというのが比例代表選挙のたたかいです。この立場でがんばりぬくことが大切であります。

650万以上という目標を、それぞれの地域・職場で具体的な目標に

 幹部会報告では、「比例を軸に」の方針を全党が実践するうえで、比例代表選挙を「自らの選挙」にしていく、「おらが選挙」にしていくことが大事だということを提起しました。

 この点で、私は、長野県の今井委員長の戦闘的姿勢は、重要だと思って聞きました。いっせい地方選挙のたたかいは、激しくきびしいものがありましたから、党機関にも支部にも、どうしても一服気分が出てきます。そういう状況のなかで、どうやって参院選のたたかいにしていくか。今井さんは、参議院の比例代表で得票をのばす意味を、直接住民に語りかけたとのことでした。信濃町に出かけていってこう訴えた。

 「参議院の比例代表では、前回五議席を目標としたけれども一人を落としてしまった。笠井さんを落としてしまった。一議席足りないばかりに党首討論にも出られない。前回の参院選で、この信濃町では、日本共産党の比例代表の得票は五百三十四票だったけれども、五議席を当選させるためには、その一・五倍の八百票をとらせてほしい」。

 この八百票という数字が、具体的に信濃町で目標としている得票の数字だと訴えたところ、住民のみなさんから「よくわかった。がんばれ」との共感の拍手が起こったとのことでした。街の電器屋さんも出てきて、拍手してくれた。

 六百五十万票以上、10%以上という目標を、それぞれの支部が責任を負っている地域や職場、行政区ではどうなるのか。これをまさに具体的な目標にして、その目標を住民にも正面から訴えて、「日本共産党はこの地域で、どうしてもこれだけの得票が必要です。これだけの得票がえられれば、国会でも大きな様相の変化が起こります」ということを正面から訴えることが、大切であります。

 みなさん。そういう経験にも学んで、六百五十万票以上、10%以上という目標を、全国すべての支部で自覚的目標として具体化し、文字どおり全国津々浦々で、比例代表選挙を「自らの選挙」としてたたかい、その目標達成を全国共同の力でかちとる選挙にしていこうではありませんか。

 発言の中で、県単位でおこなわれる大演説会を節目に、選挙勝利の大きな前進の流れをつくり、さらに公示日に向けたとりくみを飛躍させていこうということが、たくさんのみなさんから語られました。これはたいへん大事であります。四十七のすべての都道府県で、中央から弁士がうかがっての演説会が計画されていますが、この演説会をこれまでにない広範な方々が参加するとりくみとして大きく成功させ、それを一つの跳躍台にしながら、選挙勝利の大きな流れをつくっていく、このことも最後に強調したいと思います。

 以上で討論の結語とします。ともにがんばりましょう。


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