2007年5月16日(水)「しんぶん赤旗」

沖縄に進出ラッシュ コールセンターとは?


 〈問い〉 沖縄に進出ラッシュがつづいているコールセンターとはどんなものですか?(青森・一読者)

 〈答え〉 「コールセンター」とは、顧客への電話対応業務を専門におこなう企業や部門のことをさします。電話番号の案内やパソコンなど家電製品に関する問い合わせへの応対、通信販売や保険、株、学習塾、墓地のセールスまで、さまざまな業種に進出しています。

 日本電信電話公社(NTTの前身)の104番号案内などの電話業務センターに端を発したものです。1990年代以降、多くの企業がそれまで正社員が担ってきた顧客への電話対応業務を「コールセンター」として専門化・分化してきました。

 センターでは、オペレーターが、電話やEメール、インターネットを通じた顧客への応対に追われています。人件費や地代の安い地方に進出する場合が多く、「東京からかけた電話が沖縄につながる」といったこともしばしばです。

 「コールセンター」の実態について、正確なデータは存在しませんが、近年急増しており、全国の就労者数は数十万人、その八割以上が非正規雇用労働者と言われています。低賃金と長時間の拘束、絶え間ない電話対応へのストレスなどにより、離職率は15%に上ります。

 国や地方自治体は、「コールセンター」の誘致を雇用対策の一つに位置づけ、さまざまな公的支援をおこなってきました。多くの「コールセンター」が、沖縄県や北海道をはじめ、雇用情勢の厳しい地域に進出しています。

 沖縄県では、沖縄振興特別措置法に基づき、国と県が、事業立ち上げへの公費負担や若年者雇用奨励金の支給、沖縄―東京・大阪間の専用回線の無償貸与などを実施しています。さらに名護市などでは、北部振興策として、普天間基地に代わる新基地建設と引きかえに、IT関連施設の整備に助成をおこなってきました。

 こうした支援策の結果、「コールセンター」の県内就労者数は、1万人をこえました。しかし、正規雇用は12%を占めるにすぎません。不安定で低賃金、厳しい労働条件に、「労働組合をつくろうとしたら、みせしめに解雇された」「上司とうまくいかなくなったら、強制的に移転配属させられた」などの労働相談が寄せられています。

 国や自治体が「コールセンター」誘致を「雇用創出」策と位置づけながら、こうした労働実態を放置することは許されません。手厚い公的支援を受け、労働者の切り捨てをすすめる企業の責任は重大です。

 行政による支援を正規雇用中心に切りかえさせていく必要があります。そのためにも、急速に拡大する「コールセンター」の実態把握は急務です。(准)

 〔2007・5・16(水)〕


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