2007年5月14日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPress

まともな 仕事を 5・20青年大集会

非正規58%が収月15万円未満

「お仕事実態調査」

神奈川で民青同盟など実施


 神奈川県の日本民主青年同盟(民青同盟)は「5・20全国青年大集会」にむけて、日本共産党や県労連とともに「お仕事実態調査」を行っています。アンケートに寄せられた青年の悲痛な声から、偽装請負、サービス残業、低賃金、長時間過密労働など深刻な実態が浮かび上がってきます。(伊藤悠希)


 駅前やネットカフェでの調査、青年の利用が多いマンションや駅前のコンビニエンスストア、レンタルビデオ店への訪問など多彩です。5・20集会の案内ポスターやビラも訪問先などに置かれるようになっています。

 三月にまとめた「青年お仕事実態黒書」(二百八十一人回答)では51%が非正規社員でした。仕事の満足度では三人に一人が不満を感じています。不満に思うことのトップは「給料・バイト料」で、次が「労働時間・休み」となっています(複数回答)。非正規の58%が月十五万円未満の月収です。

 「寝る時間もないし、もうむちゃくちゃ」(二十八歳女性)、「いつ解雇になるか不安。生活できない」(三十一歳男性)などの不満や不安が書きこまれています。

 「私たちの『働く意志』をもっと大切に考えて…やりがいある仕事をして、安心できる家庭生活を築いていけたらいいな」(二十四歳女性)、「不安定雇用をなくしてほしい。子どもが産める、結婚がちゃんとできる生活水準にして」(三十四歳男性)など、政治や社会に期待する声も。

 アンケート後、「権利を知り、職場の上司に訴えたら、月十六万だった給与が二十万に上がりました」などの声も寄せられています。アンケートは四月末までで約四百人に達しました。

参加を広げたい

 民青同盟県委員会は、実態調査をもとに、県知事や県議会各派への要請も行ってきました。三月には県議会で山田花県委員長が働くルールを明記した「労働手帳」の青年版を作成して配ってほしい、青年雇用の実態調査をしてほしい、と訴えました。5・20集会後に再び要請する予定です。

 山田県委員長は「5・20集会に向けて『調査』数を千人にしたい。集めながら参加を広げたいと思っています」と意気込みを語っています。

派遣も正社員になれるんだ

吉岡和幸さん(29)

 神奈川県藤沢市で「お仕事実態調査」にとりくむ吉岡和幸さん(29)は、青年から「残業代が出ない、昼休みが取れていない」などの声をよく聞くと言います。

 吉岡さん自身も、数年前、仕事に悩んでいたことがありました。

 車が好きで、高校のころから自動車関係の仕事がしたいと思い、専門学校を卒業後、念願かなって自動車整備士として販売店に入社しました。

 「やりたいことを仕事にしている」はずでした。でも、以前の店舗では、定時に帰れるのは月に1回。午後10時に帰れるのは早い方で、午前2時、3時になることも。家には寝に帰るだけ。それだけ働いても、残業代は20時間までしかつきませんでした。

 「あと1年働いていたら辞めていたと思う。体も疲れて、寝不足。やりたいこともできなかった。車も好きじゃなくなっていた」と、当時を振り返ります。

 その後、吉岡さんは他の店舗に移り、残業も午後7時半から8時くらいまでになりました。月給は残業代と交通費込みで手取りは約22万円。高給とはいえませんが、再び働きがいを感じるようになりました。

 昨年2月から、地域で毎月開かれている学習会「お仕事ネット」にはできるだけ参加するようにしています。アルバイトでも有給休暇が取れることや、派遣社員も正社員になれる道があることを知りました。青年同士で悩みを出し合うことも励みになっています。

 吉岡さんは、仕事のため5・20集会には参加できません。「集会を成功させ、労働時間や残業代など一つでも二つでも改善されていく契機にしてほしい」と期待しています。

使われて当然と思っていたけど

横山彩子さん(23)

 「5・20集会では一人ひとりが大事にされて当たり前という意識を広めたい」―。横浜の病院で看護助手をしていた横山彩子さん(23)は、友人を誘って参加するつもり。

 横山さんは、「お仕事実態調査」に参加したり、学習会に出席するなかで労働者の権利を知りました。それまでは、「給料をもらっているんだから使われて当然」という感覚でした。周りの人も同じ状況で、「しょうがないと思わされていた」と言います。

 横山さんは、将来に展望が見えず、認知症専門の病院を3月いっぱいで辞めました。食事介助、レクリエーション、排せつ介助、車いすの乗降介助など体力のいる仕事で、3交代勤務。夜勤は看護師と2人で、仮眠時間はあってもほとんど眠れません。昨年4月に職員が半減し、夜勤が7、8回の月が3カ月続くこともありました。病気で入院したときも、体調が戻るまで1年はかかると言われましたが、10日休んですぐ働きました。

 月給は手取り12万円。2年目の昇給が3000円で、10年間働き続けても3万円しか上がらないかもしれないと不安になりました。休日は起きると夕方という日も多く、何にも興味がわきませんでした。それでも、「20代に入り体質が変わったんだ」と、あきらめていたのです。

 横山さんは学習会で、「休日出勤」という言葉や自分が企業と対等の立場にあることを知りました。自分と同じような状況で残業代を払わせた実例も知りました。神奈川青年ユニオンにも加入。残業代を取り戻すたたかいを始めます。「たたかうことが自分たちの権利を実現させていくことにつながることを知らせていきたい」


お悩みHunter

コミュニケーション酒に頼ってしまう

  人とのコミュニケーションをとるのに、酒の力がないとうまくいきません。打ち解けて話ができないのです。大学に入学して東京にでてきたころは、友達がほしくて飲み会ばかりでていました。その影響か、酒なしでは友達付き合いができないような気がして…。(23歳、男性。東京都)

信頼芽生える きっかけなら

  お酒っていいですね。人に勇気を与え、心を和ませるだけでなく、その場まで盛り上げてくれます。みんなで集えば、人と人を打ち解けさせ、心を結び合わせてくれます。そのおかげで商談が成立したり、お酒の効果には計り知れない魅力があります。

 今春卒業した私のゼミ生などは、ほとんど毎月のように「飲み会」を楽しんでいました。やれ、就職が決まったの、卒論が仕上がったの、誰かが地方へ赴任することになったの、と。お茶でもするように、気軽に集まっていたものです。

 むろん、何も毎回お酒が入る必要はありません。時には焼き肉パーティーであったり、鍋物をつついたり―。

 会食するだけでも、人の心は穏やかになります。重要な国際会議だって、会食は必ず設定されています。ワイングラスを傾け、料理を口にしながら、心も体もほんのりとリラックス。お互いの信頼関係が築かれていきます。こうして、会議まで弾むのです。そういう意味では、昔から世界の政治家や文化人、友人たちは大いに「酒の力」を活用していたことがわかります。

 誰でも、すてきな「酒の力」は借りていいのです。それをきっかけに信頼が芽生え、友達ができるなら、すばらしいことではありませんか。うらやましい限りです。そんなあなたの対人スキルを見習いたい人もいると思いますよ。大いに自分に自信を持ってください。


教育評論家 尾木 直樹さん

 法政大学キャリアデザイン学部教授。中高二十二年間の教員経験を生かし、調査研究、全国での講演活動等に取り組む。著書多数。


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