2007年5月4日(金)「しんぶん赤旗」

NPT準備委

被団協が各国政府に勧告

核兵器廃絶へ行動を


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(写真)発言する日本被団協の田中煕巳事務局長=2日、ウィーン(中村美弥子撮影)

 【ウィーン=中村美弥子】ウィーンで開かれている二〇一〇年の核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けた第一回準備委員会は二日、非政府組織(NGO)が意見を表明し、核兵器のない世界を実現するために各国政府代表にNGOの勧告を行いました。日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中煕巳事務局長が被爆者を代表して発言し、再び被爆者をつくらないために「核兵器を直ちに廃止せよ」と訴えました。

 田中氏は、いまだに核兵器の危険が存在し増大している背景には、原爆の被害を覆い隠してきた米政府と日本政府の態度があると指摘。核保有国がNPTで定められた核軍縮の義務などの合意の履行を怠っていることが、新たな核保有国を生む要因となっていると強調しました。

 二〇一〇年の再検討会議に向けて、▽核保有国は核兵器廃絶に向けて作業に着手する▽核兵器完全禁止条約のすみやかな締結のためにすべての国が努力する▽すべての国の国民、とりわけ若い世代に核兵器の被害の実態を知らせる―ことを求めました。

 平和市長会議の議長を務める秋葉忠利広島市長は、「核兵器と人類は共存できない」という故伊藤一長前長崎市長の言葉を紹介しました。核軍縮に向けて実質的な討議を始めることが一歩だと指摘。それを、核兵器のない世界を実現し維持するための措置を定める枠組み合意の交渉へと速やかに発展させていく必要があると述べました。

 NGOは意見表明で、NPT加盟国は核兵器のない世界の実現に必要な法的、政治的、技術的な問題に取り組むことを要求。核保有国に対し、核兵器の研究、開発、生産を直ちにやめるよう訴えました。イランの核問題は外交交渉と信頼醸成措置で解決すべきだと主張しました。

 フロアとの質疑応答では、ニュージーランドとスウェーデンの政府代表がNGOの意見表明に支持を表明。ニュージーランド代表は、「被爆者と市長、若者の発言は、核兵器をめぐる問題の過去と現在、未来を象徴していて印象的だ」と感想を述べました。



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