2007年5月3日(木)「しんぶん赤旗」
野球特待制度 違反申告334校に
憲章の原点に返り討論を
解説
発表された学校名は甲子園大会の常連校が多く名を連ねていました。
野球の特待制度は、優秀な選手を集めて甲子園に出場し、学校名を広めるために欠かせない存在だった―。今回の調査は、このことを改めて浮き彫りにしました。
学生野球憲章第十三条は、野球部員であることを理由に、学費の免除や金品を受け取ることを禁止しています。特待生を野球だけ禁止するのはおかしいという意見もありますが、学生野球は、金銭問題が後をたたなかった歴史があります。十三条は、そのなかで生まれたということを、考慮することも大切でしょう。
この憲章は、学生野球が教育の一環であることや、フェアプレーの体得を目指すなどの目的を掲げています。今回の憲章違反は、こうした理念を置き去りにし、学校の利益を優先してきたことの表れです。学校側はルールを守ることはもちろん、野球部のあり方を、もう一度見直すべきです。
今後、特待制度の是非や、憲章が時代に合っているかなど、いろいろな議論が起きるでしょう。まずは憲章の精神ができた経緯や原点に立ち返り、よく話し合っていく必要があります。(栗原千鶴)