2007年5月1日(火)「しんぶん赤旗」

貧困人口3700万人 10年間で半減を

最賃引き上げが有効

シンクタンク提言

米国


 【ワシントン=鎌塚由美】米国のシンクタンク「センター・フォー・アメリカン・プログレス」はこのほど、三千七百万人にのぼる米国の貧困層を十年間で半減させるよう連邦政府に求める提言を発表しました。最低賃金の引き上げや労働組合の組織化が貧困削減に有効だと指摘しています。

 報告は、米国の貧困人口が「過去六年間で五百万人増加」し、他の先進国と比べても「はるかに多い」と指摘しています。

 政府が基準とする「貧困ライン」(家族人員によって異なりますが、四人家族の場合、年収一万九千九百七十一ドル=約二百四十万円)以下で暮らすのは12・6%(二〇〇五年)の三千七百万人。貧困ラインの二倍にあたる年収以下で生活するのは人口の31%で、九千万人以上にのぼるとしています。

 報告は、「偉大な富と同時に永続的な貧困を許容してはならない」とし、▽連邦最低賃金の引き上げ▽労働者の組織化▽低所得層の子どもたちへの教育援助▽貧困層が集中する都市部への住宅援助―など十二項目の提言をしています。

 連邦最低賃金(時給五・一五ドル=約六百十五円)については、「かつては平均賃金の50%だったが、今は30%となっている」とし、連邦最低賃金の低さを指摘。連邦議会が最低賃金を引き上げ、「平均賃金の50%」レベルを回復することで、「貧困層のうちの四百五十万人および九百万人近い低所得の労働者を支援することができる」と述べています。

 労働者の組織化に関しては、現在、連邦議会に提出されている「被雇用者自由選択法」案の推進の必要性を強調しています。同法案は、労働組合の結成に対する経営者の介入を防止することを目的としたもので、米労働運動が立法化を促進しています。

 提言は、労働者の組織化が進めば「労働者によりよい働き口と貧困削減をもたらす」と述べています。


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