2007年4月30日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPress

ハケンのたたかい

タイガー魔法瓶を相手に裁判

この仕事が好きやから

ポイ捨ては許せない!


 「派遣社員はモノではありません。不要になればポイ捨て。そんな会社は許せない」―。派遣先の大手家電メーカー「タイガー魔法瓶」(大阪府門真市)を相手に立ち上がった女性がいます。5年間、正社員と同じように仕事をしてきました。ある日出勤すると、突然職場に入ることを拒否されました。思いもよらない仕打ちでした。悩んだ末、「派遣社員を人間として扱ってほしい」とたたかう決意をしたのです。(伊藤悠希)


 「人生で一番悔しく、つらかった」。その日のことを思いだすたびに田所実花さん(30)=仮名=の目に涙が浮かびます。

 昨年十一月二十四日の朝、いつものように自転車を置いて門まで向かうと、そこにタイガー魔法瓶と派遣会社の社員が立っていました。知った顔ばかりで、昨日まで普通に話していた人たちです。門に近づくと、「契約が切れたのでお帰りください」。百八十度変わった彼らの態度に驚き、戸惑い、やっとの思いで、「この仕事が好きやから、この会社で働き続けたい」と言って、帰るしかありませんでした。

 以来、職場から排除されたまま。手元には入門許可書もロッカーの鍵もあります。私物も、仕事もすべてそのままになっています。

危険な仕事も

 田所さんがタイガー魔法瓶で働き始めたのは二〇〇一年のことです。派遣会社の募集広告の「料理好きの人」という項目を見て応募しました。派遣会社の社員に同行しタイガー魔法瓶の面接を受けて採用されました。

 初めは社員の補助的な仕事でした。次第に社員が減ると、社員が担当していた危険な仕事もするようになりました。年に一度、社員と同様の扱いで東京と大阪の出張にも同行しました。

 働き続けるうち、「好きな仕事だから社員になりたい」と思うようになりました。人間関係もよく、居心地のよい職場でした。しかし、そのころはまだ派遣では正社員になれないとあきらめていました。

 田所さんが変わったのは、労働法を学習するようになってからです。

 契約期間に不安を感じ、「何とかしたい」との思いから、大阪府主催の無料セミナーに参加し、初めて労働組合の存在を知りました。

 おおさか派遣・請負センター主催の学習会に出席したときです。自分の就労状況が違法であり、派遣期間をすぎているのだからタイガー魔法瓶の側に直接雇用の義務があることを知りました。

 田所さんは、一人でも入れる大阪労連北河内合同労組に加入しました。労組の支援をうけて昨年十月には、タイガー魔法瓶の正社員になれるよう大阪労働局に申告しました。

一方的に通告

 労働局は違法状態を認め、タイガー魔法瓶に是正指導をしました。

 ところが、タイガー魔法瓶は一週間後、派遣会社に「契約解除」を一方的に通告。田所さんに何の連絡もせず、門前で拒否したのです。北河内合同労組が団体交渉を申し入れても応じようとしません。タイガー魔法瓶は「雇用していないから一切関係ない」との態度を続けています。

 田所さんを支援する輪は広がっています。昨年十二月、タイガー魔法瓶への抗議宣伝には五十人も応援にかけつけてくれました。たたかうなかで、自分以外にも、たくさんの人がたたかっていることを知りました。「タイガー魔法瓶とのたたかいは一人だけど、多くの仲間が支援してくれている」と実感しました。

 田所さんは〇七年二月、タイガー魔法瓶を相手に裁判を起こしました。

 「派遣会社に押しつけて自分は何も悪くないという態度は許せません。私と同じような働き方をしている人はたくさんいます。法律を変えて人間らしく働ける社会になるよう、もっともっとたたかっていかないと」


多くの仲間励ます行動

 田所さんの裁判を担当している村田浩治弁護士の話 悩みながらも裁判を起こした彼女の行動は、多くの労働者を励ましています。

 裁判は、非正規で働く人たちの権利を守る大事なたたかいといえます。

 まず求められるのはタイガー魔法瓶の暴挙をただすことです。大阪労働局が労働者派遣法に違反している状態を認め、タイガー魔法瓶に是正指導しました。タイガー魔法瓶は、それを是正するどころか、告発した彼女を契約解除するなんて、断じて許されるものではありません。

 労働組合との団体交渉に応じない態度も問題です。これを許すわけにはいきません。労働者の権利を確立するためのたたかいともなります。

 さらに派遣法の不備を問う裁判にもなります。本来なら派遣期間の制限がすぎれば、企業側に直接雇用の申し込み義務が生じます。ところが、契約を解除すれば派遣法の義務がなくなるとなれば、派遣法の法的な価値がなくなるといってもいいでしょう。


来月20日 東京・明治公園

全国青年大集会

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 「まともに生活できる仕事を!人間らしく働きたい! 全国青年大集会2007」が5月20日(日)、東京・明治公園でおこなわれます。

 実行委員会は、「安心して働きつづけたい」「残業代を払ってほしい」「帰る時間が遅すぎる」など、青年の実態、願いや怒りを持ちより、社会にアピールしようとよびかけています。

 当日は正午から分野別交流会でスタートし、午後1時20分ころ本集会、3時ころには渋谷の街をアピールウオークします。

 詳細は実行委員会03(5395)5359まで。


お悩みHunter

毎年五月病になるがどうしたらいいのか

  学生です。五月が近づくと憂うつになってきます。じつは毎年、必ずといっていいほど、五月病になるんです。学校に行ってもボーっとして、授業にも身が入らない感じになります。どうしたらいいのでしょうか。なにか、いい方法があるでしょうか。(20歳、女性。東京都)

好きなことで気分転換を

  五月病、私も経験あります。

 四月は新年度の初めと言うこともあり、状況がめくるめく変化します。環境、人間関係、季節も変化する時期です。どんなにタフな人でも疲れがたまると思いますよ。それでフッと気が緩む時期が、四月下旬から五月上旬。あなたがボーっとして授業に身が入らないのも、心身の正常な表れだと思います。

 長い人生、たまにはボーっとする時期があっていいのではないでしょうか。一年に一度くらい、ボーっとする月があってもいいのではないでしょうか。だからこそ、ゴールデンウイークがあるのだと思いますよ。

 ゴールデンウイークで、しっかり休息を取り、心も体も頭も喜ぶような楽しいことをしたり、リフレッシュしましょう。ゴールデンウイークの一週間で足りなければ、時間の許す限り休めばいいのです。

 五月病は時期が来れば必ず治ります。今は、つらい時期だと思いますが、思いつめないでくださいね。多少なりとも、誰もが経験することです。気持ちをゆったり持って、好きなことをして気分転換してみてはどうでしょう。

 ちなみに私は、今年のゴールデンウイーク、「憲法ミュージカルinさんたま」に出演し楽しむ予定です。


舞台女優 有馬 理恵さん

 「肝っ玉お母とその子供達」など多くの作品に出演。水上勉作「釈迦内柩唄」はライフワーク。日本平和委員会理事。


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