2007年4月30日(月)「しんぶん赤旗」

母子加算廃止など生活保護制度改悪

厚労省は国民の命守れ

全生連が懇談


 政府は「二〇〇六骨太方針」にもとづいて、〇七年度から十六歳以上に続いて十五歳以下の母子加算も段階的に廃止する実施要領の改定を行いました。今後さらに、生活保護基準を引き下げようとしています。生活保護制度を利用する人たちは「これでは生きていけない」と悲鳴をあげています。

 全国生活と健康を守る会連合会は二十五日、政府のすすめる生活保護制度の基準や実施要領の「改定」について、厚生労働省と懇談し、制度を改悪しないよう求めました。

 全生連は、事前に厚労省に(1)母子加算を段階的に廃止する根拠(2)四月実施の自宅を担保にして生活資金を貸し付ける長期生活支援資金(リバースモーゲージ)制度の貸付基準額は、生活扶助の一・五倍で国保料を含む医療費、介護保険費用は自己負担になる。特別な事情のある場合は基準をどこまで考慮するのか(3)全国知事会、全国市長会が提案している「期限付き保護」「高齢者の生活保護制度からの分離」をどう考えているか―など十項目の質問を提出し、懇談にのぞみました。

 厚労省の担当者は、母子加算を削減する根拠にしたのは、総務省の行った全国消費実態調査をもとに、生活保護を受けている世帯と同程度の母子世帯の消費水準を比較した結果、生活保護世帯の方が消費水準が高かったからだと説明。対象にしたサンプルは「三十二世帯」と答えました。

 参加者は「サンプルが少なすぎる」と発言しました。

 同省の担当者は、リバースモーゲージの対象は「五千件程度」とし、おむつ代や病院への移送費など特別な場合は貸付基準額を上げることもありうるとのべました。

 「(生活保護を受けていたときは)扶養せず(亡くなってから)財産を相続するのは不公平」との厚労省のリバースモーゲージ導入理由をただすと、担当者は「生活保護制度の在り方に関する専門委員会報告のなかでそういう指摘があった」と語り、実態調査をしていないことが明らかになりました。

 参加者からは「借金をしているという不安を持つ。本人の希望で活用する制度ならいいかもしれないが、利用しないと保護を却下するのはおかしい」との発言が続きました。

 全国知事会・全国市長会が提案する生活保護に期限を持ち込む「期限付き保護」について、同省担当者は「今の段階ではやれないと思っている」と答えました。

 リバースモーゲージの導入は「命令」「処理基準」にあたり、行政手続き法では意見公募を行うことが義務づけられています。ところが、厚労省は意見公募をしませんでした。同省担当者は「予算措置をともなう改定であり意見公募はしていない」と回答しました。

 全生連の代表は「意見公募は実施してもらいたい。老齢加算、母子加算の廃止で、生活保護世帯の生活がどんどん苦しくなっている。国民の命を守るべき厚労省は、健康で文化的な最低限度の生活を国民に保障する先頭にたつべきだ」と要求しました。


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