2007年4月28日(土)「しんぶん赤旗」

個人の賠償請求認めず

中国人強制連行・「慰安婦」訴訟

最高裁初判断


 最高裁第一小法廷と第二小法廷は二十七日、中国人の「慰安婦」と強制連行・強制労働の被害者が日本国や企業に損害賠償を求めていた訴訟の上告審で、いずれも「日中共同声明で裁判上の個人請求権は放棄された」との初の判断を示し、原告の請求を棄却しました。

 第一小法廷(才口千晴裁判長)の判決は、第二次大戦中に旧日本軍に拉致され、「慰安婦」にされた女性二人が日本国に損害賠償などを求めた中国人「慰安婦」第二次訴訟の上告審。第二小法廷(中川了滋裁判長)の判決は、強制連行され広島県内で過酷な労働をさせられた中国人と遺族五人が西松建設に賠償を求めた訴訟の上告審。いずれも全員一致の判決です。

 両判決は、日本軍や企業の違法行為によって原告らが大きな被害を受けたことを認定しました。第一小法廷判決は、当時十三歳と十五歳だった原告が日本軍に拉致・監禁され、継続的に性的暴力を受けたとし、「慰安婦」が強制されたものであったことを認めました。

 しかし、いずれの判決も、「中国政府は…戦争賠償の請求を放棄する」とした日中共同声明(一九七二年)により中国国民個人の賠償請求権も放棄されたとしました。一方で「ここでいう請求権『放棄』は、裁判上の権能を失わせるにとどまる」とし、国や企業が自発的に賠償などに応じることはできるとしました。

 二つの判決は中国人被害者が訴えているほかの戦後補償裁判への影響が懸念されます。弁護団は「政府に要求はできるが、裁判はダメというのは司法の自殺行為」(「慰安婦」訴訟・小野寺利孝弁護士)、「後は(企業と)補償交渉をしてくださいという、司法の役割を放棄した判決」(西松訴訟・足立修一弁護士)と批判しました。「慰安婦」訴訟は二〇〇五年、東京高裁が原告の請求を棄却。西松訴訟は〇四年、広島高裁が西松建設に賠償を命じていました。

 中国人戦争被害賠償請求事件弁護団によると、最高裁は同日、中国人戦争被害者が賠償を求めている強制連行福岡訴訟、同劉連仁訴訟など三件についてそれぞれの代理人に決定通知を送付したと連絡しました。いずれも高裁では原告の請求が棄却されており、弁護団は上告を受理しない決定になった可能性が高いとみています。

元「従軍慰安婦」訴訟に対する最高裁判決について

市田書記局長がコメント

 日本共産党の市田忠義書記局長は二十七日、元「従軍慰安婦」訴訟にたいする最高裁判決について、マスメディアの求めに応じて次のコメントを出しました。

 中国人元「従軍慰安婦」が国に損害賠償などをもとめた訴訟にたいする最高裁判決は、個人請求権を認めず、上告を棄却する不当なものであるが、旧日本軍による強制、監禁、暴行の事実をあらためて認めた。

 安倍首相は、“強制連行の事実はなかった”などと、歴史の事実をいつわる言動に固執することなくすみやかに撤回すべきである。


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