2007年4月26日(木)「しんぶん赤旗」
中国人 戦争被害補償
請求権 どう判断
あす最高裁判決 企業側法解釈は誤り
中国人の戦争被害者による日本政府への補償を求める権利をめぐって二十七日、最高裁判決があります。三月十六日、最高裁が論点を「請求権放棄」に絞って弁論を開きました。判決は強制連行や「従軍慰安婦」事件など、日本の侵略戦争で傷つけられた中国人すべての戦後補償裁判に影響を及ぼすことになります。(本吉真希)
訴訟は強制連行被害者と遺族計五人が原告となり、西松建設を相手に提訴したものです。広島地裁で敗訴しましたが高裁で逆転勝訴。判決は個人の請求権を認めました。
日本政府は一九五一年のサンフランシスコ平和条約、五二年の日華平和条約、七二年の日中共同声明で、日本に対する中国国民の損害賠償請求権は放棄されたと主張しています。西松建設も同じ論調です。
これに対し、中国人強制連行強制労働弁護団全国連絡会事務局長の森田太三弁護士は「根拠薄弱な主張」といいます。
国や企業側の法解釈の誤りを見ると―。
―中国は、連合国とその国民の賠償請求権の放棄を明記したサンフランシスコ平和条約の当事国ではない
―日華平和条約は台湾と結んだもので、中国は当事国ではなく、適用範囲は台湾と一部の地域に限られている
―日中共同声明では、「日台条約(日華平和条約)は不法であって破棄されるべきこと」(復交三原則)を確認している
―日中共同声明第五項は「日本国に対する戦争賠償の請求を放棄する」と宣言しているが、主語は「中華人民共和国政府」であり、「国民」ではない
九二年四月七日の参院内閣委員会では、加藤紘一官房長官(当時)は中国国民が訴える権利について「訴権は存在する」とのべていました。
なぜ、政府は法廷で「請求権放棄」論を主張しはじめたのか。森田弁護士は、次のように指摘します。
「戦後補償裁判は原告が長年敗訴してきました。しかし、二〇〇一年に強制連行事件の劉連仁訴訟が東京地裁で勝って以降、原告勝訴の判決が続くようになった。これに危機感をもった国や企業は〇二年ごろから、新たに『請求権放棄』論を主張するようになったのです」
最高裁の弁論の前日、中国外務省の報道官は定例記者会見で次のように発言しました。
「日中共同声明は両国政府が署名した厳粛な政治外交文書であり、戦後中日関係の回復と発展を形作る政治的基礎となったものである。どちらの一方も司法解釈も含めて(その)文書に及ぶ重要な原則と事項について一方的に解釈してはならない」(三月十五日)
中国政府は強制連行、「慰安婦」、遺棄毒ガスなどは未解決の問題として「人民の正当な利益を擁護する立場から、日本側に真剣な対応と善処を要求」しています。
二十七日、最高裁は中国人「慰安婦」事件第二次訴訟の判決も出します。国や企業側が主張する誤った法解釈について、どのような判断をするのか問われます。

