2007年4月26日(木)「しんぶん赤旗」

電気こんろ火災620件

12年間 体触れただけで作動

20万台が未改修


 住人が気づかないまま電気こんろの電源が入ったことによる火災が続発しています。総務省消防庁が把握しているだけで十二年間で六百二十件にのぼっていることが明らかになりました(別表参照)。


 これは、ワンルームマンションなどに据え付けられる「小形キッチンユニット用電気こんろ」で、スイッチに体や物が触れただけで電源が入り、火災となっているものです。

 同型電気こんろは、日立アプライアンス、松下電器産業、サンウエーブ工業、富士工業など十二社が、約五十三万台を出荷。製品はおおむね一九七九年から八八年までの間に製造されたものです。火災が相次いだことから、メーカーは、スイッチ操作部の無償改修などをおこなってきました。しかし、改修台数は三十一万五千台余(二〇〇七年三月末現在)で、二十万台以上が未改修です。

 東京消防庁は八八年に、関係工業会にスイッチの構造改善を要望しています。しかし、「関連火災は今年に入っても一向に減少していない」として、昨年十一月、再度、マンションオーナーや管理者、居住者などに注意をよびかけています。

 経済産業省所管の独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)は、一連の事故を分析し、「電気こんろのスイッチが容易に入りやすい構造」になっていることを指摘し、「製品に起因する事故」だと区分。同種事故の再発防止を図るために、事故を起こした製品のメーカー名や型式名などを公表する措置をとり、経産省にも報告しています。メーカー側は、無償改修はしているものの、火災原因は、「使用者の誤使用・不注意」によるもので責任はないとしています。

 昨年十二月、所有するアパートが、電気こんろによる火災にあった山田滋雄さん(61)=東京都豊島区=は、「知らぬ間に電源が入るのが問題。使用者に出火の全責任を押し付けるのは許せないし、これは製品の欠陥ではないのか。いまだに改修されていない二十万台の電気こんろを大至急改修し、再び同じ火災事故が起きないようにしてほしい」と話しています。

表

電気こんろ火災

1週間に1件の割合

業界なお責任認めず

 「小形キッチンユニット用電気こんろ」で意図せずスイッチが入ったことによる火災は十二年間で六百二十件にのぼります。一週間に一件の割合で発生していることになります。

「製品に起因」

 どのようにして火災が発生しているのか。製品評価技術基盤機構(NITE)が公表している事例でみてみましょう。

 「被害者が外出の際、知らぬ間に衣服が電気こんろのスイッチに引っ掛かり電源が入り、電気こんろ上にあった台所用品が加熱されて焼損したものと推定される」(日立ハウステックの製品で昨年四月十四日に発生)

 日常使用していない電気こんろの場合も火災が発生しています。「被害者が外出の際、知らぬ間に荷物等が電気こんろのスイッチに触れ通電状態になり、電気こんろの上に置いていたプラスチック製の水切りが溶解し、焼損したものと推定される」(松下電工の製品で昨年七月八日に発生)

 NITE(ナイト)は、これら一連の火災事故が起きた原因について、製品自体に問題があり、使い方も事故発生に影響したとして「製品に起因する事故」(「B」)に分類。さらにくわしい事故原因区分は「設計不良で使い方も事故発生に影響」とする「B1」としています。

 NITEは、「製品事故の再発の可能性が高く早急に注意喚起を行う必要性がある場合」に発行する「事故情報特記ニュース」(二〇〇五年一月十三日)で、電気こんろにかかわる事故について注意喚起しています。そこでは、据え付け型の電気こんろで、つまみが飛び出している形態のスイッチを使用しているもので起きていること。日常使用されていなかったケースがほとんどで、電気こんろの上に、カセットこんろや可燃物などを置いていたところ、気付かないうちに飛び出したスイッチのつまみに身体やバッグなどが当たった程度で電源が入ってしまい被害にあっていることなど、問題点を指摘しています。

 NITE製品安全企画課によれば、「B1」と判定し始めたのは二〇〇〇年十一月に起きた同種事故からだといいます。それ以前は「消費者の誤使用・不注意」によるものとして「製品に起因しない事故」に分類していました。事故原因区分がなぜ変わったのか。同課は「事故が多発し、それはスイッチが簡単に回りやすい構造になっているということです。多発すると、製品に問題がありといわざるをえない」と話します。

 しかし、同型の電気こんろを出荷した十二社でつくる「小形キッチンユニット用電気こんろ連絡協議会」は、「事故原因は、使用者の誤使用・不注意によるもの」「製品の欠陥ではない」といいます。

 事故が多発するなかで経産省は一九九〇年に、スイッチ周辺にガードを設けたり、くぼませたりするなどして「不用意な操作ができない構造」にするように技術基準を改定。各メーカーも、八八年以前に販売した製品のスイッチ操作部の改修(有償)をすすめ、〇四年以降は業界として統一して、無償で改修してきました。

残る20万台は

 経産省製品安全課は、「改修前の電気こんろにおいて、消費者の知らぬ間にスイッチが入り、火災に至るケースが頻発」「未だ相当数の未改修製品を消費者が所有しており、不測の事故を招く可能性がある状況」(今年一月五日)などと、これまでも業界に対し、繰り返し対策を要請、指導してきたといいます。

 にもかかわらず、改修に着手して二十年近くたった今も、二十万台余が対策をとらないまま残されています。

 所有するアパートで火災被害を受けた山田滋雄さんは、「電気こんろの元電源は、ミニ冷蔵庫を引っ張りだした、キッチンユニットの奥まったところにある。一週間くらい使用しないときや、使うたびに、元電源を切るような使い方は一般的ではないのではないか」と話しています。

 しかし経産省は、「電気こんろはパロマ製のガス湯沸かし器のようなレベルとは考えていない。一連の火災では死亡事故は起きていない。いまのところ、強制法規を使うことは考えていない」(製品安全課)としています。

 この電気こんろの場合、ワンルームマンションやワンルームのアパートに主に用途が限定されているので効率的に改修対策をすすめることができるはずだという指摘があります。業界と行政が本腰で対策をとろうとしているのかどうかが問われています。(中東 久直)


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp