2007年4月14日(土)「しんぶん赤旗」

能登半島地震

輪島塗 大きな打撃

作業場の土蔵 崩れる


 能登半島地震で大きな被害をうけた石川県輪島市。伝統工芸、輪島塗が大きな打撃を受けています。観光と結んで同市の主要な地場産業ともいえる輪島塗。国の重要無形文化財にも指定されています。被災地復興の大きな柱として、思い切った支援が必要です。(阿曽隆)


 輪島塗の売上額はピークだった一九九一年の百八十億円から、昨年七十億円と減っているものの、同市の生産額の三分の一を占めます。

 震災で市内に約六百ある事業所の大半が被災、在庫製品や製造途中の漆器も破損するなど大きな被害がでました。

解体費用100万円

 深刻なのは、小規模事業所や職人が作業場所にしている土蔵などが倒壊、損壊したことで、営業再開の見通しが立っていないことです。

 同市で二代続く漆器製造販売店経営の男性(58)は、作業場にしていた土蔵が全壊の被害をうけました。

 「昨年あたりから不景気の底をやっと抜けたかと思った矢先の震災。作業場を建て直さなければならないが、なにより壊れた土蔵を撤去しないうちは何も考えられない」と肩を落とします。

 土蔵は一年を通して温度や湿度を保ちやすく漆器づくりに適しているとされ、輪島塗はこれを生かして伝統的に土蔵を作業場や倉庫としてきました。

 ところが、国の被災者生活再建支援制度では、住居でない土蔵などの作業所は支援の対象にならないという問題があります。

 別の塗師の男性は、「土蔵の解体撤去費用だけで百万円かかるといわれたが、市には土蔵は自己責任でといわれた。続けられるかどうか見通しがまったくない」。

 被災者の生活復興と、作業場を復旧し、事業再開の見通しをつけることとは一体です。「なんとか頑張って再建したい。せめて撤去費用だけでも公的支援を受けられないのか」という切実な声が被災地に渦巻いています。

公的支援求める

 さらに、多くの土蔵が構造上、住居の奥にあり、重機などが入れないために、どうしたら解体除去できるのか技術的に支援してほしいという声も深刻です。

 作業工程が多い輪島塗は木地職人、塗師、蒔(まき)絵師、箱職人など多くの職人の連携で生まれます。一つの土蔵には多くの人の生活がかかっています。

 輪島漆器商工業協同組合の隅堅正事務局長は、「事業再建のためには作業場の確保がまず必要です。間借りするなど、苦労して製造を再開している人もいます。国や県には制度を弾力的に運用して支援できるようにお願いしています」と話しています。

 輪島市議選(十三日告示)の日本共産党鐙(あぶみ)邦夫、川上清松両市議予定候補は、土蔵撤去の工法、解体費の両面で支援策を検討するよう市に要請。また井上哲士参院議員が四日、参院災害対策特別委員会で「特別の支援の枠組みが必要だ」と質問、溝手顕正防災担当相は「輪島塗産業の復興に誠心誠意頑張る」と答弁しています。



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