2007年4月14日(土)「しんぶん赤旗」

議会でのテロに衝撃

イラク 議員ら8人死亡

米の武力優先策に批判


 【カイロ=松本眞志】イラクの首都バグダッドで十二日に起きた国民議会の建物内での自爆テロによる爆発事件は、ブッシュ米政権の武力優先のイラク「安定化」政策に衝撃を与え、イラク政権の政治運営にも大きな打撃を与えています。


 事件は、特別議会を準備していた際に建物内の二階の食堂で発生。当時、複数の閣僚も食事をしていたといわれています。議会議員でイラク合意戦線(イスラム教スンニ派)のモハメド・アワド氏とクルド・イスラム同盟のフセイン・ムハンマド氏の二人を含む八人が死亡し、職員を含む二十三人以上が負傷。現地の警察は、スンニ派議員の男性警護員による犯行だと判定しています。

 国民議会の建物は、グリーン・ゾーンと呼ばれる政府省庁や米英大使館の建物が集中するところにあり、バグダッドで警備が最も厳しいとされてきました。しかし、三月に国連の潘基文事務総長がイラクを訪問した際にも、付近に迫撃砲弾が着弾するなど、これまでも同域内での治安悪化のエスカレートが指摘されていました。

 イラク合意戦線のヌーリ・ムラ報道官は、カタールテレビ・アルジャジーラのインタビューに答え、「治安担当の責任者の許可がなければ建物内にはだれも入れないはずだ」と語り、米・イラク軍共同の治安作戦を実施する前に、治安機構内に潜入している武装集団の一掃を優先すべきだったと主張。事件が「マリキ政権の政治運営と治安政策の失敗を示すものだ」と批判しました。事件を踏まえ、米議会内でも、「武力でイラクを改革できないことの証明だ」との声があがっています。

 サレー副首相は事件を重視し、ペトラウス駐イラク米軍司令官と面談し、民間警備会社に委任していた議会の警備をイラク内務省が直接管轄することを決定しました。



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