2007年4月4日(水)「しんぶん赤旗」

主張

民法の出生届

救済への一歩、今国会で必ず


 「現夫の子であるのに前夫の子としてしか出生届が受理されない」

 離婚・再婚の増加などにともなって、こうしたケースが増え、救済を求める声もひろがっています。

放置してきた政府の責任

 民法の規定で、結婚二百日後に誕生した場合は現夫の子、離婚後三百日以内に誕生した場合は前夫の子とされます。

 再婚した夫婦の子とするには、審判が必要です。二〇〇五年に家庭裁判所に起こされた調停・審判は三千件をこえると報道されています。また、この審判は、前夫の訴え、合意が必要であり、前夫の居所がわからない、前夫の暴力から逃げてきた場合などは審判も受けられず、子を無戸籍のままにせざるをえません。

 子どもがうまれによって差別される事態の解決が求められており、不合理の改善が急がれています。

 戸籍窓口担当関係者たちからも政府にたいして、改善要望がだされていました。無戸籍ではあっても子の住民票をつくり乳幼児健診の受診などを可能にするための措置をとる自治体もうまれています。

 長年、事態を放置してきた政府の責任は大きなものがあります。

 法律関係者から、救済方法の案もだされています。ひとつは、出生届に現在の夫の子であることが公的に証明できる医師の証明書の添付などの運用上の改善です。政府は、直ちに実行すべきです。

 民法の規定自体の改正も重要です。そのひとつが、女性の再婚禁止期間六カ月の規定の見直しです。

 再婚禁止期間について日本共産党は、医学や科学の進歩によって父親の推定は可能であり、男女平等の立場から、将来的には廃止を検討するという立場にたっています。世界では規定のない国や廃止する国も少なくありません。毎国会に他の野党と共同して提出してきた民法改正法案では一致点にたって百日への短縮をもりこんできました。

 今国会には、民法改正法案とは別に、再婚禁止期間短縮のみの法案の共同提出の準備がすすんでいます。

 自民党、公明党のプロジェクトチームも再婚禁止期間百日への短縮で合意したと報道されています。しかし、自民党内部には反対意見も根強いといわれています。政府みずからが今国会での実現にむけ、積極的な立場にたつ必要があります。

 大きな問題は、民法には、戦前の旧民法の規定をひきついだ不合理な条項が残されていることです。

 法務省法制審議会が、結婚・離婚に関する民法改正要綱を答申して十一年がたちました。政府・与党は国民の声に耳を傾けてきませんでした。

 答申には、再婚禁止期間の短縮をはじめ、選択的夫婦別姓、離婚後の財産分与の実現、婚外子相続差別廃止、結婚最低年齢改正などがもりこまれています。ここには、国連女性差別撤廃条約・子どもの権利条約の批准など、男女平等、子どもの権利の徹底をもとめる世界の流れと日本の女性たちの声と運動があります。

本格的改正の立場で

 これにたいして「家族を崩壊させる」などとして、国連の勧告も無視し反対し続けてきたのが自民党です。自民党の態度を容認してきたのが公明党です。今回の両党の動きを「選挙を控え急進展」と皮肉るマスメディアもあります。

 日本共産党は、人権の尊重、男女平等、子どもの権利の立場にたって、積年の課題である民法改正の実現のために、今国会で、一歩でも前進させるために奮闘します。


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