2007年4月3日(火)「しんぶん赤旗」

パート労働法改定案

きょうから国会審議

均等待遇の願いはどこへ


 安倍内閣が「再チャレンジ」政策の“目玉”の一つに掲げるパート労働法(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律)改定法案の国会審議が三日から衆院で始まります。パートなど非正規労働者が急増するなか、あまりに低い処遇のパート労働者の賃金や労働条件の改善など格差を是正していくことは、いまや国民的要求です。しかし、同法案は、そうした願いにかなうものになっているでしょうか。


 パート法は一九九三年に制定されましたが、「均等待遇」の原則が明示されないなど問題点を抱えていたため、劣悪な労働条件の改善につながってきませんでした。

運動の前に迫られ改正

 十四年ぶりとなる改正法案では、通常の労働者との「均衡ある待遇の確保」を掲げ、一部のパートについて、通常の労働者との差別禁止規定が初めて盛り込まれました。

 また、賃金や教育訓練、福利厚生施設利用について均衡のとれた待遇の確保措置を定めました。労働条件の明示を義務づけ、正社員への転換促進の措置や苦情・紛争解決の援助制度の整備についても盛り込まれました。

 「同じ仕事に同じ賃金を」と均等待遇を求めてきた国民運動の前に、手直しせざるをえなくなったものです。

対象を限定「4―5%」

 しかし、すべての差別的取り扱いが禁止されるのは、「通常の労働者と同視すべきパート労働者」としたことから、大臣答弁でも「4―5%」と極めて限定され、圧倒的多数のパート労働者の均等待遇とはほど遠い内容です。

 対象となるのは(1)職務の内容と責任の程度が同一である(2)雇用期間の定めがない(3)全雇用期間において、職務内容および配置の変更の範囲が同一と見込まれること―です。

 すなわち、“正社員とまったく同じ仕事に就き、残業を含めて同じ時間働き、決して雇い止めされず、人事異動や正社員と同じような遠隔地配転にも応じる”というパートだけです。

 「三要件を満たす労働者はほとんど考えられない」と日本労働弁護団の鴨田哲郎幹事長は、「パート改正案に対する意見」のなかで指摘しています。「業務内容や責任が同一でない」「有期契約である」「職務・配置の変更範囲の見込みが異なる」という場合は、差別が放置されることになりかねません。しかも違反しても罰則がありません。

パート区分格差の不安

 法案では、パート労働者をすべての差別が禁止される「通常の労働者と同視すべきパート労働者」と、「職務内容同一パート労働者」、「パート労働者」の三つに区分しています。

 賃金については、「職務内容同一パート労働者」の場合、条件(一定期間内に正規労働者と職務・配置の変更が同じようにおこなわれる場合)をつけて、正規労働者と同じ方法で賃金を決定するよう努力義務としています。それ以外の一般のパート労働者は、職務内容や「意欲」などを参考に賃金(通勤手当、退職手当などを除く)を決めるとして、事業主の裁量にまかせています。

 教育訓練については、「職務内容同一パート」には教育訓練を義務付けましたが、一般パートには努力義務にしています。福利厚生施設の利用機会を与えることについては、どちらも配慮義務にとどめました。

 これではかえってパート間の格差が拡大・固定化しかねないとの不安や疑念が広がっています。

正社員採用使用者任せ

 正社員への転換制度については、パート労働者に募集の周知をすることや機会の付与、一定の資格のあるパート労働者のために正社員になる試験制度を設けるなどいずれかを義務付けました。

 しかし、採用するかどうかは結局、使用者の自由にまかせていることなど実効性が疑わしい内容になっています。

 法案は全体として、パート労働者をはじめ国民の願いとはほど遠いものになっています。

全労働者の差別禁止を

 日本共産党は緊急提案「いまこそ人間らしく働けるルールを」のなかで、「同一労働同一賃金」の原則、不当な差別や格差の禁止、均等待遇を法律に明記すべきだと提案しています。

 全労連、連合は、すべてのパート労働者に対する差別を禁止するよう要求しています。「均等待遇」の原則を明記し、教育訓練の実施、正社員への転換推進を事業主の責務にすることを要求。全労連は、パート労働法を地方公務員に適用することや、雇い止めの制限なども法案に盛り込むべきだと主張しています。

 圧倒的多数のパート労働者の差別禁止が実現するような真に実効性ある法律になるよう国民の声を国会に届けていくことが焦点になっています。(内野健太郎)

パート法改定案の「均衡待遇」概要
賃金教育訓練福利厚
生施設
その他
正社員と同視
すべきパート
すべての差別的取り扱い禁止 労働条件の文書提示、待遇の説明義務
 正社員への転換機会の周知など(義務)
職務内容同一パート正社員と決定方式を合わせる(努力義務)(注)教育訓練を行う義務利用機会を与える配慮義務
一般パート職務に内容などを勘案し決定(努力義務)職務内容などに応じ訓練を実施(努力義務)
(注)正社員と同様の職務変更ある場合だけ。それ以外は一般パートと同じ扱い。

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