2007年3月31日(土)「しんぶん赤旗」

イラク特措法 2年延長

復興と無縁 米軍の「足」


 「イラク復興支援派遣輸送航空隊」(IRSAW)。C130輸送機三機と人員二百人で構成される航空自衛隊イラク派兵部隊の正式名称です。しかし、活動の実態が「復興支援」とは無縁の米軍支援であることは、空自が公表している「輸送活動実績」(グラフ)などからも明らかです。

 二〇〇四年三月に始まった空自部隊の活動は、活動区域をイラク南部のタリルなどに限定していた時期と、昨年六月の陸自撤退と同時に、活動区域をバグダッドとアルビルまで拡大した時期に大別できます。

 タリルなどに限定していた時期は、「サマワに駐留していた陸自関連の空輸が八割」(防衛省)とされていました。輸送回数、量は月ごとにばらつきがあります。多くは陸自部隊の交代に伴う人員・装備の移動や生活物資の補給のためです。

 これに対して、バグダッドへの空輸が始まった〇六年八月以降は、月ごとの輸送回数は十七―二十回と一定しています。防衛省は二月二十一日の衆院イラク特別委員会で「昨年九月以降の輸送実績は月あたり十七―二十回程度で、このうち四―五便が国連支援」であると報告。政府が「イラク復興支援」と宣伝するアルビルへの国連職員輸送はごく一部で、七―八割は米兵輸送であることを認めました。

 一方、輸送重量は激減しています。一回平均三百キロ未満で、昨年七月十七日―今年二月中旬までの合計でも約三十三トンにすぎません。事実上、乗員の持ち物しか運んでおらず、米兵輸送に特化した活動になっていることを証明しています。

 現在、バグダッドには米陸軍を中心とする二万人以上の兵力が展開。ブッシュ米大統領は最大で一万七千人以上の増派を表明しており、最大規模の武装勢力「掃討」作戦を行っています。空自の活動は、これに直接的に加担するものです。

 しかし、作戦を強化しても泥沼のイラク情勢改善の見通しは立っていません。イラク派兵国は米国を含む当初の三十八カ国から半減。十六カ国が完全撤退し、韓国を含め五カ国が撤退・縮小を計画しており、兵力を削減せず駐留を継続している国は十七カ国になっています。米国とともにイラクに侵攻した英国も兵力を大幅に削減します。米議会でも〇八年のイラク撤退法が上下両院で可決されました。

 インド洋で米艦船などへの給油活動を行っている海上自衛隊は、「海上の無料ガソリンスタンド」とやゆされています。一方、イラクの空自部隊は米兵から、「タクシー」(「東京」二十八日付)と呼ばれています。それでも米兵の「足」代わりを続ける日本政府の、ブッシュ政権への追随ぶりは世界の動きのなかでも異常です。(竹下 岳)

グラフ


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