2007年3月28日(水)「しんぶん赤旗」

民主出身知事 福祉切り捨て 大企業応援

「逆立ち」政治 自民顔負け


 民主党は、大半の地方議会で自民、公明両党とともに暮らし・福祉を切り捨て、開発優先・大企業優遇の「逆立ち」政治をすすめてきた「オール与党」仲間です。ところが、今回のいっせい地方選挙ではどこでも「野党」ポーズをとり、自民党政治を批判しています。しかし、それがいかに住民を欺く無責任な態度であるかは、民主党国会議員出身の知事がいる神奈川、埼玉などで進められている自民党顔負けの悪政の実態を見れば明らかです。


18社に658億円の補助金

神奈川

 民主党衆院議員から転進した松沢成文・現知事と自民党県連が支援する候補と、「オール与党」が二つに割れた神奈川県。しかし、松沢知事は東京都知事選で自民支援の石原慎太郎知事を応援し、石原氏が松沢氏を神奈川で応援する“ねじれ現象”まで出て、自民党と民主党が地方政治では一体であることを示しました。

 その神奈川で実際にやられてきたのは、自公民「オール与党」体制で進められた、県民いじめと税金の無駄遣いの大企業誘致です。

 松沢県政は、生活保護世帯への県独自の支援制度を廃止しました。夏と冬の慰問金(年二回、各四千円)、小中学校入学祝い品(一万円分の図書券と文具)、小中学校修学旅行支度金(小学生五千円、中学生六千円)、中学卒業生就職祝い金(中卒で就職する子どもに一万円)の四つです。

 また、乳幼児、ひとり親家庭、重度障害者の三つの医療費無料制度に一部負担金(一回五百円)や所得制限を導入する計画です。少子化を理由に県立高校の統廃合が進められ、これまで十四校がつぶされました。

 一方では税金の無駄遣い、大企業甘やかしの政策を進めています。県は「企業誘致」のために「インベスト神奈川」という制度を創設しました。県内に本社や工場を建設すれば五十億円、研究所には八十億円まで補助金を出す仕組みです。日産自動車一社に県と市の補助金と減税で百八十五億円(うち県は百十六億円)を援助。大企業十八社に県だけで六百五十八億円を交付します。しかし、多額の補助金をもらった十八社のうち日産、富士フイルム、味の素、リコー、ソニーの五社はのきなみ県内で雇用を減らしてきたのが実態です。十五年間に合計九千二百四十二人も減らしてきました。

独自の福祉施策やめる

埼玉

 八月に知事選が予定されている埼玉県の上田清司知事も元民主党の衆院議員です。知事就任後、「埼玉県行財政改革プログラム」をつくり、「県単独上乗せ補助金の見直し」「負担能力に応じた補助対象の見直し」として独自の福祉施策をやめてきました。六十八―六十九歳の老人医療費助成制度の廃止、県立高校授業料の減免制度の改悪、全国トップクラスだった私学助成は、全国最低水準まで後退しました。在宅の重度障害者に月五千円を支給する重度心身障害者手当には所得制限を設け、約二万人が制度から締め出されました。

 一方で日産系の自動車部品メーカー「カルソニックカンセイ」の、さいたま市への移転計画に、県は限度額十億円の「企業立地助成制度」をつくり、さいたま市の十億円と合わせて二十億円が同社に交付されます。また、八ツ場(やんば)ダムの巨大開発を進め、県負担は七百億円に膨れ上がっています。

 上田知事は、日本の侵略戦争を正しかったとする「新しい歴史教科書をつくる会」の高橋史朗元副会長を県教育委員に選任する議案を提出し、県議会の自民・民主系が賛成。自民・民主系と二人三脚で教育右旋回を進めました。


民主がいち早く推薦の三重 国保証取り上げ19%

 民主党が自民党よりいち早く推薦したことを誇っている三重県の野呂昭彦知事はどうでしょう。野呂知事は元は自民党の衆院議員でしたが、新進党に移り、四年前の知事選では民主党と社民党が推薦、今回の選挙では民主党と自民党の相乗り候補となっています。

 三重県では国保料が高くなりすぎて滞納世帯が六万世帯を超え、そのうち、一万一千六百十六世帯から保険証をとりあげました。全国で多くの県が市町村に国保財政への援助をする中で、三重県は援助せず、取り上げ率は19・1%と全国でも飛びぬけて高いのが特徴です。

 あまりの増税のために、地方税を払えない滞納者からも県は容赦なく税金をとりたてるため、「三重県地方税管理回収機構」をつくり、一方的な財産差し押さえや生命保険を解約させて強制的にとりたてをしています。母子家庭向けの母子寡婦福祉資金貸付金では、返済がとどこおった家庭からのとりたてを民間の「ニッテレ債権回収株式会社」に委託。サラ金顔負けの県政となっています。

 一方、大企業にはシャープ亀山工場に九十億円、亀山市と合わせると百三十五億円も補助金を出しています。同工場では、地元の亀山市からの雇用はわずか三十人。多くの労働者が派遣・請負の非正規雇用で働かされ、格差を拡大させています。石原産業の産業廃棄物をリサイクル製品と偽装し、大量の不法投棄の手助けもしました。

 民主党の岡田克也元代表の三重県第三支部には、石原産業がリサイクル製品と認定された年から毎年、二十四万円を献金しています。


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