2007年3月28日(水)「しんぶん赤旗」

働けど… ―若者たちは(4)

非常勤職員

正職員と同じ仕事なのに


 京都府の保育園で栄養士として働く鴨下希代美さん(24)=仮名=は、数年間の非常勤職員が終わりになります。今年四月から正職員になります。

 栄養士になる専門学校を卒業。「子どもが大好きだった」という希代美さんは、正職員ではなかったものの保育園で働くことにしました。

 朝八時から午後五時までの八時間労働。子どもたちの昼食とおやつをつくり、食育指導に携わり、食器洗いなど食後の片付けと、息つく暇もなく働きます。

 中腰の姿勢を長く維持しながらの作業が大半で腰痛に悩まされている同僚が多くいます。

×……×

 調理員の中には、正職員と非常勤職員がいますが、仕事は同じ仕事を一緒にします。しかし、非常勤職員は時給で、ボーナスもありません。月収も正規職員とは五万円以上格差があります。

 一時間八百円、専門職手当が五十円付いて計八百五十円。正月やお盆、五月のゴールデンウイークなど休みの多い月だと月収は少なく、九万七千円、多い月で十二万円です。仕事に必要な三角きんやエプロンは自前です。

 八畳一間に風呂と台所の部屋に一人住まいの希代美さん。家賃は四万三千円。洗濯機は共同使用。「順番待ちで不便。気分的には不衛生感があるんですが、我慢しています」。食費を一日七百円から千円。朝と夜は自炊です。

 そうした努力をしても貯金することは無理。「せめて月一度は映画を見るゆとりがほしい」と希代美さん。映画を見るのは一年に一回程度です。

×……×

 四月から正職員になる希代美さん。「当面私自身は改善されますが、非常勤職員で働く仲間のことを考えるとつらいです」といいます。

 希代美さんの友人の男性保育士(23)は非常勤です。保育園の仕事が始まる前の朝五時から七時までの約二時間コンビニでアルバイトのダブルワークをしています。

 「四年制大学を出ても高校生のアルバイト並みの時給。正職員と同じ労働をこなしているし、私たちは能力はある。夢をあきらめて辞めていく人もいるけど、格差を助長する社会の方が間違っているわけで自信をもっていい」。男性保育士は、希代美さんに、こう話してくれました。

 希代美さんはいいます。

 「企業で働く友人が『時給九百円では自立した生活を続けていくのが困難だ』といったら、経営者が『それはそうだ』と、共感してくれて時給千円にしてくれたそうです。最低賃金の時給千円は絶対に必要です。そうでなければ働く意欲さえも失われます。このゆがみの原因は今の政治にあると思います。声を上げていきましょう」(つづく)


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