2007年3月21日(水)「しんぶん赤旗」

原爆症不認定は違法

四度断罪 機械的行政を批判

仙台地裁


 原爆症に苦しむ宮城県の二人の被爆者が、国が原爆症申請を却下したのは不法だと訴えた裁判の判決が二十日、仙台地方裁判所でありました。潮見直之裁判長は、国が認定を却下したのは違法であると却下処分の取り消しを命じました。

 大阪、広島、名古屋地裁判決に続いて国の被爆者認定行政を断罪する集団訴訟の四度目の判決です。

 原告の波多野明美さん(68)、新沼弎雄(みつお)さん(83)の二人は判決後、支援者から花束を手渡され、「本当にうれしい。国は被爆者に謝罪してほしい」と語りました。

 判決は、原爆症認定について、国がとっている原因確率などを機械的に適用し、放射線との起因性を否定することはさけなければならないとのべ、個々の被爆者の被爆状況や被爆後の行動、直後の身体症状など総合的に判断すべきであるとしました。

 その上で、原告の波多野さんの胃がん切除による後障害についても放射線に起因すると認め、新沼さんのぼうこうがんの再発予防のための検査などについて治療の必要性を認めました。

 判決後の記者会見で庄司捷彦原告弁護団長は、声明を発表。同判決が、原因確率を機械的に適用する国の認定行政を厳しく断罪し、放射線による胃がんの切除後障害の放射線起因性や、再発予防の医療措置の要医療性を認める踏み込んだ判決だと評価しました。認定行政を批判する司法判決が定着している事実を踏まえ、高齢化している被爆者を一日も早く救済するよう国に控訴の断念を求めました。


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