2007年3月9日(金)「しんぶん赤旗」

女性雇用増えても賃金は依然15%低い

国際女性デー 欧州委が年次報告


 【ベルリン=中村美弥子】女性の雇用が拡大しているにもかかわらず、女性の賃金は男性よりも15%低く、女性は仕事と家庭の両立に悩んでいる―。欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は七日、男女平等に関する年次報告でこう指摘し、社会に広く存在する男女間格差の解消に向け緊急に対策を講じるよう加盟国政府に呼びかけました。報告は、国際女性デーに当たる八日にブリュッセルで開かれるEU首脳会議に提出されました。

 報告は、「男女平等は経済成長、繁栄、競争力にとって不可欠な手段だ」と強調。欧州の生産力を高めるためには、女性が労働市場に長期間参加することと、あらゆる分野で男女間の不均衡を解消することが欠かせないとしています。

 報告によると、二〇〇〇年からこれまでに創出された八百万人分の新規雇用のうち、四分の三に女性が就業しました。〇五年の女性の就職率は56・3%で、二〇〇〇年比で2・7ポイント増加。就職率における男女の差は15ポイントとなり、五年前と比べて2・6ポイント縮小しました。同時期、女性の失業率は低下しました。

 一方で報告は、女性は依然として仕事と家庭の両立に悩んでいると指摘。このことは、過去五年間、二十―四十九歳の男性の就職率が6ポイント増加した一方で、女性の就職率は15ポイント減少したことに端的に表れているとしています。仕事と家庭の両立を困難にしている要因として、保育所の不足、職業能力喪失の不安、職場復帰の困難などを挙げています。

 さらに、労働市場の柔軟性が強まっていることは、特に女性に影響を与えていると警告。〇六年、男性労働者のうちパートタイム労働者は7・7%だった一方で、女性はパートタイム労働者が30%を占めました。報告は、柔軟性のある働き方は個人の選択によるとしながらも、「著しい男女差は、時間の使い方をめぐって男女間に不均衡があることを明らかにしている」と述べています。

 政財界での意思決定レベルで女性の進出が遅れているとも指摘。欧州の大企業五十社の取締役会の中で女性は一割しかいません。女性国会議員の割合はEU平均で24%にとどまっています。

 こうした労働市場での男女の差は、賃金格差にもつながっています。報告は、女性の賃金は男性よりも15%低いとの数字を示しています。

 格差解消策として、報告は、低賃金の職場では女性が占める割合が高いことから、この分野で対策強化が必要だと指摘。男女ともに育児・介護休業の取得を促すことが必要だと述べています。さらに、固定化された男女の規範とのたたかいを強めなければならないとし、特に男性と企業に求めていく必要性を強調しています。


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