2007年3月6日(火)「しんぶん赤旗」

人命の問題を党略に悪用

公明党による共産党と民医連攻撃


 公明新聞が二日付の「編集メモ」で、東京高裁の川崎協同病院筋弛緩(しかん)剤投与事件判決にかこつけて「患者軽視の背景に共産支援」などと、民医連と川崎協同病院、日本共産党を中傷しています。

 この事件は、一九九八年、心肺停止状態で、川崎協同病院に緊急入院していた喘息(ぜんそく)患者に対し、医師が気管内チューブを抜き、最終的には筋弛緩剤を投与し、死亡させた安楽死にかかわる医療事件でした。三年後、同病院は、職員の訴えによって事件の事実を認知した新しい院長のもとで、公表を前提にして、診療内容を再調査し、遺族への謝罪とともに、医師には非を認めて自首することをすすめ、二〇〇二年四月、病院自らの手で事件を公表しました。その後、病院は、再発防止策((1)外部専門家参加の医療倫理委員会の確立(2)チーム医療の強化(3)患者・家族への説明と同意など)をうちだし、「終末期医療に関する指針」をもうけるなど「一人で決めない。一度で決めない」という原則にもとづく医療安全のための組織整備をすすめてきています。

 今回の高裁判決もマスメディアも、医師が「治療中止を独断で決めたことは、患者軽視」と批判しつつも、延命治療中止の基準を国民合意のもとにつくるべきだと強調していますが、病院が二〇〇二年四月の公表以来、努力してきた方向は、こうした見識とも合致するものです。

 ところが、公明新聞は、安楽死がからむ医療事件を「殺人事件」と切って捨てるばかりか、病院が自主的に公表した事件なのに「3年半もの間、事実を隠ぺいしてきた同病院の体質」などとあべこべにえがいて病院を性急に攻撃するだけです。その一方で、この病院は共産党と「“政医一体”の選挙活動」をやってきただの、病院内の不在者投票では「看護師」が投票干渉したという事実無根の“証言”までならべて、共産党への「支援」が医療事故や事件の「背景」にあるかのようにねじまげるありさまです。ここには、人の命にかかわる問題を党略的攻撃材料にもてあそんで恥じない公明党の非人間的な体質が露骨に出ています。

 事件と共産党が何の関係もなかったことは、神奈川県議会で公明党の県議が、川崎協同病院は「共産党系」の病院だと報道されていることを把握しているかと質問したのに対して、警察が「川崎協同病院が特定の政党と関係があるか否かという点につきましては、今回の捜査とかかわりはないということでありますので、お答えは控えさせていただきます」(〇二年七月四日、防災警察常任委員会)と答弁したことでも明らかです。公明党の県議も「そこは分かりました」といっていたではありませんか。

 不在者投票の「干渉」問題についても、公明新聞があげている“証言”なるものは、四年前の反共パンフレットから引き写しただけのもので、〇二年に市議会で公明党議員がいくら質問しても、現場調査を行った市の選管や警察当局もそのような事実は認めていません。

 実際、日本共産党は、民医連であれ、他の団体であれ、共産党への支持を求めたことは一度もありません。同時に、だれもが安心、安全な医療をうけられるよう、医療制度や社会保障制度の改悪に反対し、その改善をめざして運動するという一致点で共同をすすめています。それは、公約に反して医療費三割負担をおしつけたり、高い税金や国保料で住民を苦しめている自公政治をまるごと推進・支援する創価学会と公明党の政教一体の関係とはまったくちがうのです。

 医療事故をなくすことは国民の願いです。しかし、残念なことに、昨年一年間に国立病院や大学病院など二百七十三施設(全国の病院数は約九千)が報告した医療事故は、前年と比べ百八十二件増の千二百九十六件ありました(日本医療機能評価機構のまとめ)。うち死亡に至った事故は百五十二件にのぼります。医療事故をなくすためには、事故の原因分析をすすめ、教訓を生かしていくことこそ大切です。

 公明党の日本共産党と民医連にたいする攻撃がいかに恣意(しい)的なものかは明らかです。公明党が攻撃している民医連の病院は、医療事故・事件について、いずれも自主的に明らかにし、行政や外部の専門家の協力も得て、再発防止に努力しています。そして医療事故の原因を分析、教訓を普及する公正・中立な第三者機関の設置と被害者救済制度の確立をめざして多くの医療関係者、患者団体と共同して運動をすすめています。

 政治と政党がやるべきことは医療事故・事件を他党攻撃に悪用することではなく、再発防止の努力を支援することではないでしょうか。(Y)


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp