2007年2月25日(日)「しんぶん赤旗」

パレスチナ 食料・財政が危機に


人口の46%「食料不安」

 【カイロ=松本眞志】国連専門機関の世界食糧計画(WFP)は二十二日、パレスチナのヨルダン川西岸地域とガザ地区で食料危機が深刻化し、食料援助への依存が増大していると報告しました。

 報告は、二〇〇六年のイスラム武装抵抗組織ハマス政権の成立に伴う欧米諸国の経済制裁によりパレスチナで貧困が増大したと主張。特に農民、漁民、小規模営業者の生活が極端に悪化しているとしています。

 WFPのキャンベル報道官は、「食料を買えない人々の多くは、土地などの資産の売却を強いられている。人口の46%が食料不安の状態にあり、二〇〇四年の35%を大きく上回っている」と述べています。

 WFPは、難民を除くガザ地区(推定人口約百四十万人)の二十六万人、ヨルダン川西岸(同二百四十万人)の四十万人を対象にした食料供給活動を強化するために、最近、職員を25%増員したとしています。パレスチナ難民への食料援助は、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が行っています。

 WFPのフェルケン・パレスチナ担当事務局長は、「最も貧困な家庭は電気や暖房もなく、汚れた水で料理した食事を食べている。これは彼らの健康を長期にわたりむしばんでいる」と訴えています。


イスラエル 徴収税渡さず

 【カイロ=松本眞志】パレスチナのアブアイシャ暫定財務相は二十一日、二〇〇六年度のパレスチナの財政赤字が六億五千五百万ドル(約八百億円)に達したと発表しました。同氏は「財政赤字の原因は、イスラエル政府がパレスチナ自治政府に代行して徴収している六億六千万ドルにのぼる消費税や関税などの引き渡しを凍結しているためだ」と説明しています。

 〇六年十二月にパレスチナのアッバス議長とイスラエルのオルメルト首相が直接会談し、代行徴収税の一部引き渡しが確認され、今年一月に一億ドルがパレスチナ側に返還されました。しかし財政赤字を解消するにはほど遠い状況です。昨年、パレスチナ自治政府が組んだ財政予算は十億ドルで、75%が外国の援助に依存しているとされています。

 同財務相は、アラブ諸国の政府や民間から三億七千百万ドルの資金援助があり、二億八千九百万ドルが予算の歳入にあてられ、歳出額十一億八千万ドルのごく一部が約十六万人の公務員給与として支払われたと説明しています。


西岸地区 入植地に3000戸建設

 【カイロ=松本眞志】イスラエルの平和団体ピースナウは二十一日、同国がパレスチナ・ヨルダン川西岸占領地のユダヤ人入植地に三千戸の入植者住宅を建設し、将来のパレスチナ国家建設を困難にしていると報告しました。

 報告は、二〇〇六年度に入植地は増加しなかったものの、入植者の人口が5%増えていると説明。住宅建設はマアレー・アドゥミム、アリエル、グシュ・エトシオンの大規模入植地で実施されているとしています。

 ピースナウのオッペンハイマー事務局長は、「入植地区域は拡大し、実質的にヨルダン川西岸地区を侵食している」と指摘。同団体の活動家のエトケス氏も、エルサレム東部の入植地の拡大が将来のパレスチナ国家樹立に否定的影響を与えると主張し、「イスラエルがこの計画を実施すれば、二国家共存のための政治解決はいっそう困難になる」と訴えました。

 イスラエルのオルメルト首相は入植地拡大について、人口の「自然増」を吸収するためだと正当化しています。しかし中東和平のロードマップ(行程表)は「“自然増”を含むすべての入植地活動の凍結」を求めており、国際司法裁判所も入植地が違法だと判断しています。

 イスラエルは、一九六七年の第三次中東戦争で奪った占領地に百二十一の入植地を建設しました。ヨルダン川西岸地区全体(東エルサレムを除く)では、ユダヤ人入植者二十六万八千人が居住し、入植地とは別の百二の前哨地(辺境入植地)には二千人が居住しているとされます。


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