2007年2月25日(日)「しんぶん赤旗」

最新鋭 米原子力空母レーガン

世界一危険な場所

西太平洋に“にらみ”

乗艦ルポ


 最新鋭の原子力空母ロナルド・レーガン。米海軍は長崎県佐世保入港の前日の二十三日、佐世保沖で日本の報道陣に初公開し、記者も同行しました。(竹下岳)

 「ここは世界一危険な場所だ」。ロナルド・レーガンの飛行甲板の上に立つと、説明にあたったパイロットの言葉にうなずけます。全長三百三十三メートルの甲板から、ほぼ一分おきに空中に飛び立つ数十機の艦載機。そのたびに爆音と熱風とジェット燃料のにおいが充満します。静止状態から時速数百キロに加速するまでは約五十メートル、五秒未満です。

着艦の衝撃

 報道陣は福岡空港から米軍輸送機で移動しました。機体に窓はありません。徐々に高度が下がり、乗組員が「さあ、来るぞ!」と叫んだと同時に、「ドーン」という強力な重力がかかって座席に押し付けられました。着艦の瞬間です。

 艦載機は機体後部のカギ状の着艦装置で、甲板上の三本のワイヤのどれかを引っ掛けて停止します。高度な技能を要するため、飛行士は事前の離着陸訓練による資格取得が義務付けられています。空母艦載機が常駐する米海軍厚木基地(神奈川県)の周辺住民は、この訓練の爆音に苦しめられているのです。

何のためか

 イラク軍事作戦などに参加し、昨年七月末に米本土に帰還した同空母は五カ月後の今年一月、日本など西太平洋地域への展開を命ぜられました。次の航海までの間隔は通常、六、七カ月。米海軍は今回の展開を「サージ・デプロイメント(急派)」と呼んでいます。ロナルド・レーガン空母打撃群のマートグリオ司令官は「部隊の柔軟性と即応性を示したものだ」と強調しました。

 「共同交戦能力」(CEC)と呼ばれる最新鋭の戦闘指揮システムも公開されました。クラフト艦長は「空母、空母艦載機、空母に随伴する護衛艦のそれぞれの情報を瞬時に共有できる」システムだと説明します。同艦長は、二〇〇八年に横須賀に配備が計画されている原子力空母ジョージ・ワシントンには、さらに改良されたCECが搭載されていることを明らかにしました。

 「最新鋭」ぶりを誇示するロナルド・レーガン。二十階建てビルの高さに匹敵する米空母の姿を目にするたび、「この巨大な力はいったい何のためなのか」と強い疑問をいだきます。

 ブッシュ政権の先制攻撃戦争で空母打撃群は決定的な役割を果たしました。イラクでもアフガニスタンでも情勢は泥沼化し、軍事力で「テロとのたたかい」に勝利できないことは明らかになっています。北朝鮮の核開発問題も六カ国協議での外交的解決の道が開かれつつあります。

 「西太平洋への展開は同盟国への米国の目に見える関与を示したものだ」と語るマートグリオ司令官。しかし今後も巨大な軍事力を展開し、日本国民が基地の負担を負わされつづける必要性は「目に見える形」では示されていません。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp