2007年2月16日(金)「しんぶん赤旗」

中国主席 アフリカ歴訪終了

貿易不均衡の是正を表明


 中国の胡錦濤国家主席は、アフリカ八カ国の公式訪問を終え、十一日に帰国しました。十二日間に八カ国を訪問する過密スケジュールのなかで、のべ五十三の協定に調印し、アフリカ諸国との「新型パートナーシップ」のいっそうの強化をはかりました。(北京=菊池敏也)


 訪問国はカメルーン、リベリア、スーダン、ザンビア、ナミビア、南アフリカ、モザンビーク、セーシェル。中国は従来からアフリカを重視し、胡主席は昨年四月にはナイジェリア、ケニア、モロッコの三カ国を訪問しています。また一九九一年以来毎年、年初に外相がアフリカを歴訪しています。

 訪問の主な目的は、昨年十一月に北京で開かれた「中国・アフリカ協力フォーラム首脳会議」で中国政府が公約したアフリカ支援策を実行に移すことにありました。

 訪問では、農業技術試験センター(モザンビーク)、マラリア予防・治療センター(リベリア)、婦人・小児科病院(カメルーン)など、多くの支援プロジェクトが具体化されました。

 中国がとくに重視したのは、アフリカの紛争問題に対する中国の立場を明らかにし、紛争の解決に向け積極的に主張することでした。

 胡主席はスーダン訪問の際、同国のダルフール紛争への対応について、(1)スーダンの主権・領土保全の尊重(2)対話・平等な協議を通じた平和解決(3)アフリカ連合(AU)や国連が建設的役割を果たす(4)地域情勢の安定促進と現地住民の生活条件の改善―の四原則を提起。当面の急務として、ダルフール地域での全面停戦の実現を訴えました。

 中国とアフリカとの経済・貿易関係も急速に発展。十年前(一九九七年)の中国・アフリカ貿易額は五十六億七千万ドルでしたが、昨年はその約十倍の五百五十四億六千万ドルにまで拡大しました。二〇一〇年には一千億ドル突破を目指しています。

 こうした経済・貿易関係の急速な拡大と同時に、貿易不均衡や中国企業と地元住民との摩擦も目立ってきました。また、中国のアフリカでの経済活動を「新植民地主義」などと批判する論調も、欧米メディアなどで盛んになっています。

 胡主席は、「中国企業が単に輸出量を増やすことで他国の市場を占有することを奨励しない」(ザンビアで)と貿易不均衡是正の意向を表明。また外交の基本理念として「中国は過去、現在、未来とも、自らの意思や不平等なやり方を他国に強いるようなことは決してしない」(南アフリカで)と強調しました。

 また、ナミビアでは中国系企業代表との座談会を開き、アフリカに進出した企業が現地社会との調和をめざし、企業の「社会的責任」を進んで担うよう求めました。


中国の主なアフリカ支援策

 (1)2009年の援助規模を06年比で倍加(2)50億ドル規模の中国・アフリカ発展基金を設立(3)アフリカ連合(AU)会議センター建設を援助(4)重債務国・最貧国に対し、05年に返済期限を迎えた政府無利子借款の債務を免除(6)最貧国の対中輸出商品に対するゼロ関税品目を190から440余へ拡大。

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