2007年2月10日(土)「しんぶん赤旗」

南米の脱IMF加速

エクアドルも債務完済へ


 【メキシコ市=松島良尚】エクアドルのパティニョ経済財政相が七日、「国際通貨基金(IMF)と『趣意書』を交わすことはもうないだろう」と述べ、二千二百万ドル残っていたIMF債務を近日中に繰り上げて完済すると発表しました。これにより、南米の脱IMFの流れが一段と強まることになります。

 「趣意書」はIMFに融資支援を求める場合に交わす経済政策に関する合意文書です。

 エクアドルの歴代政権はこの「趣意書」にそって、国民生活に直結する社会支出を徹底して切り詰める構造調整政策を押しつけられてきました。パティニョ経済財政相はこれまでの構造調整政策を振り返り、「IMFは融資による政策指針づくりで重大な過ちを犯してきた」と指摘。世界銀行などからの融資も減らす意向を示しています。

 新自由主義反対を明確に掲げ、今年一月に就任したコレア大統領は、国際金融機関などの融資に安易に依存してきたこれまでの経済運営を問題にしています。

 また、社会政策を推進するため、現在の公的対外債務約百二億ドルを低利融資への借り換えなどによって再編すると公約しています。

 再編にあたっては、アルゼンチンのキルチネル政権が二〇〇一年の経済危機後、交渉によって民間対外債務の約七割を削減した経験から学ぼうという構えです。一月下旬にはアルゼンチンのチョドス蔵相を代表とする経済チームがエクアドルの要請で同国を訪問。アルゼンチンも協力を惜しまない姿勢です。

 南米では、IMFの束縛を断ち切り、自主的な経済運営をめざす国が相次いでいます。ベネズエラ、ブラジル、アルゼンチンに続き、ウルグアイのバスケス政権も昨年十二月、IMF債務を繰り上げ完済したと発表しました。ベネズエラのIMF事務所はすでに閉鎖されています。


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