2007年2月9日(金)「しんぶん赤旗」

「イラク占領は幼稚」

外相発言 米“おとがめなし” 安倍政権安ど

支援強化の危険


 米国務省が七日、米国のイラク占領政策を「非常に幼稚」とした麻生太郎外相の発言に関して、表向き非難したり問題視したりすることはないとの姿勢を示したことに、政府は胸をなでおろしています。

 麻生発言とは、京都市内の講演(三日)で「ラムズフェルド(前国防長官)がぱっと(開戦を)やったけど、占領した後のオペレーション(作戦)としては全く非常に幼稚であって、これがなかなかうまくいかなかったから、今もめている」とのべたもの。イラク戦争を支持してきた小泉・安倍政権の姿勢と食い違うことから、政府は「(外相は)武力行使が誤りだったとは言っていない」(塩崎官房長官、五日)などと米政府への弁明に必死でした。

 麻生発言の前には、久間章生防衛相がイラク開戦について「(米大統領の)判断が間違っていた」(一月二十四日)と発言し、その後「政府としては米国などによる対イラク武力行使を支持しており、防衛相としてこの立場を踏襲している」(同二十九日)と撤回した経緯もあります。

 二十日には、イラク戦争を主導した一人であるチェイニー米副大統領が来日することになっており、政府は日米軍事・外交閣僚会議(2+2)の構成閣僚である外相、防衛相から相次いだ発言に神経をとがらせてきました。

 ただ、麻生氏はイラク戦争を積極的に支持してきただけでなく、日本が武力行使を含めた支援を可能にするため集団的自衛権の行使まで求めてきました。久間氏も「七月には参院選があるので、その前に法律をつくる場合はやんわりと通さなければならない」(一月二十七日)と、自衛隊派兵の根拠法であるイラク特措法延長を通しやすくするためという説明です。

 米国内でもブッシュ政権のイラク派兵政策への批判が噴出し、国際的にも孤立化するなか、安倍政権のイラク戦争支持の姿勢は突出しています。米側が矛をおさめた形にしたのも、「われわれは日本を対テロ戦における強力かつ密接なパートナーと考えている」(米国務省コメント)と位置付けているからです。逆に久間、麻生発言で“借り”をつくった格好の安倍政権はいっそうのイラク戦争支援をおしつけられる危険もあります。


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