2007年2月5日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPress

高校教育シンポ

高校生の力 ☆キラリ☆


 「高校生たちの力はすばらしい!」―そんな感嘆の声が、父母や教師からあがりました。一月末、神戸市で開かれた「高校教育シンポジウム」(日本高等学校教職員組合主催)。全国から集まった約三百人のなかに、十二道府県から参加した約四十人の高校生の姿も。高校生たちは、父母や教師と一緒になって学校づくりを進めている経験などを、生きいきとリポート。自分たちの手で高校生交流会も開きました。


カーディガン認めてよ

新潟

 分科会討論では、高校生から二つのリポート発表があり、二つとも参加者の大きな注目をあつめました。「カーディガン・セーターの制服化」の取り組みを報告したのは、新潟県立高校の三人の男子生徒です。

 ―昨年の文化祭企画「しゃべり場」(生徒・父母・学校が参加)の資料を作るため九月に全校アンケートを実施。生徒からの意見が多かったカーディガン・セーターの制服化を、生徒会執行部が取り上げることを決定。

 ―色は黒・紺・グレー・ベージュ、袖は手首が出る長さ、すそは腰からまたの間、着用は登下校中・授業中・休み時間、などの執行部案を作る。

 ―二回目の「しゃべり場」は、執行部案をもとに話し合い。「すぐには無理。他の問題があるのにカーディガンだけをとりあげるのはどうか」(校長)「生徒が声を出すことはうれしい。学校全体で考えていこう」(保護者)などと熱心に話し合う。話し合いをもとに執行部は原案を修正。まだ、結論はでていない。

 リポーターの男子生徒は、制服を脱いでグレーのカーディガンスタイルを参加者に披露。会場から「これならいいんじゃない」の声があがりました。

 男子生徒は「自分たちが声を出し、父母や学校と話し合うことはとても意味があります。学校のなかに、このような動きをつくることができました。次の生徒会にしっかり引き継いでいきたい」と報告。会場から温かい拍手が送られました。

「統廃合」に私たちの声も

長野

 長野県の女子高校生は、県の高校の統廃合計画に対して高校生の声を聞いてほしいと全県高校生集会(三回)を開いたとりくみを報告しました。

 高校の統廃合計画は一昨年の六月、県教育委員会から突然出されました。県立八十九校中、全日十四校、定時・通信制十校が対象。一方的な高校の統廃合案に住民の声を聞くべきだという運動が全県的に広がり、十六万の署名が集まりました。

 当事者である高校生たちの声も、まったく反映されていません。「高校生の声を聞いてほしい」の声は、第一回全県高校生集会(二〇〇五年十月)へとつながりました。県下から約百六十人の高校生が、県教委からは教育次長らが参加。高校生側から「高校生の声を聞く機会を改めて設ける気はないか」「質の高い教育をめざすなら、統廃合よりも三十人学級ではないか」などの質問や要望が次々に。三時間以上にわたる話し合いになりました。

 昨年七月、知事選立候補者へ、高校生の意見をどう反映させるか、高校生との意見交換会に参加する意向はあるか、など七項目の公開質問状を送りました。

 九月、新知事の下で招集された臨時県議会で、六件の統廃合計画が否決。県教委はそのうち五件を「凍結」しました。

 女子高校生は参加者からの質問にこたえ、きっぱりとのべました。「私たちは高校の統廃合すべてに反対というのではありません。県の財政が困難なことは知っています。意見を聞いてくれ、私たちが納得できるよう説明してほしいのです」


なぜ学校に通うの? 12道府県の高校生が交流

 「全国から高校生が集まるんだから、自由に発言できる場を設けよう」。シンポジウムに参加する高校生たちの要求から、高校生交流会が実現。地元の高校生が実行委員会をつくって、昨年十一月から自分たちの手ですすめてきました。

 七つのグループに分かれての話し合い。テーマは「なぜ高校に通うのか」です。「学校は自分のやりたいことを見つける場所」「生きていくための知識を得るところ」「集団生活を通じて社会に出る準備をする場所」

 多かった意見は「人間的なふれあいの場」「学校しか友だちをつくる場がない」など“友だちづきあい”です。「社会に出たら失敗はゆるされないけど、高校は許される場所だ」という意見もありました。

 討論の最後に、全体で感想を出し合いました。「楽しかった」「テーマが難しかったけど、みんな真剣で、いろいろな意見があるとわかった」…。愛知県の高校生からは、「全国の高校生の連合を作ろう」という提案も飛び出しました。


生徒参加の学校づくり広がっている

 高校生交流会に参加した埼玉・小川高校教諭、鈴木敏則さん(日高教中央執行委員)の話 生徒参加の学校づくりが全国で広がり、日本の高校生は育っている、と改めて感じました。今回のシンポジウムではしっかりとしたリポートを提出し、発表して質問にも的確に答える。すばらしいです。高校生たちが、全国的につながることができたらいいですね。


 高校教育シンポジウム 1月26日から28日まで開催。全体会シンポジウムのテーマは「貧困と格差の拡大の中での参加と共同の学校づくり、地域づくり」。修学・進路と学力、高校「多様化」再編と共同の学校づくり、地域づくりなど3つの分科会討論が行われました。


お悩みHunter

派遣社員の生活で先が見えない…

  高校中退後、専門学校へ行き、卒業後は転々と職をかえています。いまは派遣社員で月給は二十二万円。税金や家賃や布団代などを引かれ、手取り十万円ほど。派遣社員として一年働いたら直接雇用の声がかかる?

 会社はしないだろう。これからどうなるのだろう。別な「世界」があるわけでもない。真っ暗闇だ。(男性、26歳。静岡県)

目標を持ち、足元固めよう

  確かにこれではお先「真っ暗闇」ですね。今後も、これまでと同様に転職を繰り返し、家賃や布団代まで差し引かれる生活では、肝心の生活の基盤そのものが固まってきません。途中で、何らかの困難にぶつかると、もっと別の好条件の世界があるのではないかと、「転々」とする。しかし、あなたも二十六歳になり、どこかに「別世界」が待ち受けているわけではないことが見えてきたのだと思います。

 残念なことですが、高校中退の場合、社会的に認定された資格やスキルを持っていないと、転職のたびに給与、労働条件ともに悪くなる場合があります。

 現在の仕事では、専門学校時代の資格やスキルが生かされているのでしょうか。心配です。上手に資格を活用できれば、とりあえずなんとかなります。むしろ人物評価では、多様な職業経験はプラス効果を生みます。つまり、自分にとって有利に働く資格や技術を生かした仕事に就き、技術を磨くことが大切です。

 精神的な“自分づくり”と共に、生活を支える“自分づくり”に挑戦できるといいですね。それも大目標と目前の小目標を持って、まず足元を固めましょう。また、就職を目指す若者をサポートする「ジョブカフェ」や「ハローワーク」などに足を運んでみるのも一つです。きっと道は開けますよ。


教育評論家 尾木 直樹さん

 法政大学キャリアデザイン学部教授。中高二十二年間の教員経験を生かし、調査研究、全国での講演活動等に取り組む。著書多数。


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