2007年2月2日(金)「しんぶん赤旗」

「残留孤児」救済へ決断を

文化人ら34人が賛同 国賠訴訟判決で声明


 「祖国よ 中国『残留孤児』の苦難の人生に謝罪し、人間回復のための政治決断を」求めて、八人の文化人が一日、東京都内で記者会見を開き、「1・30東京地裁判決をうけての緊急アピール」を発表しました。中国からの引き揚げ体験のある作家や俳優、大学教授ら三十四人が賛同しています。


 同アピールは「国には、自国民を保護すべき基本的な義務があるという現憲法下における当然の条理を根本から否定した、歴史的にも、国際的にも、恥ずかしい限りの判決」だと厳しく指摘。

 戦後六十二年の今年、「国は『無慈悲な政策』を終わらせ、中国『残留孤児』の方々が心から祖国に帰ってきてよかったと思える解決が実ること」を望み、「それは、『孤児』の方々の人間としての尊厳を回復すると同時に、国策によって再び幼い子どもが棄(す)てられることがあってはならないという、国民の願いにつながるもの」だとのべています。

 作家の澤地久枝さんは「残念ですけれども、この反動的判決はある意味歴史の教科書になる」と指摘。「若い人たちにこの判決、裁判の意味を考えてほしい。国というものは(国民にとって)どういうものなのか。(『残留孤児』たちのように)救いの手が伸びない人生を自分のこととして考えてほしい」と訴えました。

 「判決のひどさはあるが裁判はやってよかった」と語った作家の林郁さんは「バラバラだった『孤児』たちが団結した。解決を求めた百万人署名も達成した。半分の五十万人分は当事者や家族が集めたのですから」と訴訟の意義を語りました。

 同訴訟の法廷で証言した遠藤誉筑波大学名誉教授は「なぜ、戦後処理をきちんとやってこれなかったのかという事実を見つめ、国民とともに議論していかなければ、私たちは子孫に負の遺産を永久的に残し続けることになる」と指摘しました。

 衛藤瀋吉東京大学名誉教授は、「残留孤児」や従軍「慰安婦」問題は「司法の解決しうるところではない」と語り、「国会議員に働きかけ、国会の手によって救済の仕組みをつくろう」と提起しました。


アピール賛同人

 記者会見には井出孫六(作家)、小川津根子(ジャーナリスト・女性史研究家)、山崎朋子(ノンフィクション作家)、渡辺一枝(作家)の各氏も出席しました。主な賛同人は池辺晋一郎(作曲家)、井上ひさし(作家・日本ペンクラブ会長)、佐野洋(作家)、新藤兼人(映画監督)、宝田明(俳優)、仲代達矢(同)、山田洋次(映画監督)の各氏ら。


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