2007年1月30日(火)「しんぶん赤旗」
NHK番組改変認定 東京高裁判決
現場の編集権の尊重求める
政治介入について、どこまで言及するか。これが最大の注目点でした。判決が出された一月二十九日は、くしくも六年前、NHK幹部が首相官邸に向かい、安倍晋三官房副長官(当時)に面会した日。判決は「政治家が一般論としてのべた以上に…具体的な話や示唆をしたことまでは、認めるに足りない」と直接的介入は認定しませんでした。しかし、安倍氏の言動が大きく影響していることを認めました。NHK上層部が政治からいかに自立できていないかを示したものといえます。
判決は政治家の発言を「忖度(そんたく)して…その結果、そのような形へすべく本件番組について直接指示、修正を繰り返して改編が行なわれたものと認められる」とNHKの「自律的改編」という主張は否定したのです。NHKは、昨年三月の新ガイドラインに自主自律の堅持を明記しました。ほんとうに自主自律というならこの判決の結果を重く受け止めるべきです。
また判決は、現場の意向を無視した上層部の編集権の行使の乱用は認められないとしています。現場での編集は「よりよい番組を作ろうとした純粋な姿勢に基づくものと評価され、この段階における編集の自由は尊重されるべきである」と現場での編集権を重んじた内容になっています。この点でも画期的でした。(板倉三枝)