2007年1月30日(火)「しんぶん赤旗」

女性たちの怒り広がる

柳沢発言 大臣辞めよ


 「女性は子どもを産む機械、装置」などと発言した柳沢厚生労働相――。ところが、安倍首相は二十九日、「不適切」と注意しただけ。「潔く、大臣を辞めなさい」という若い母親や厚労相の地元静岡県の女性らから怒りの声が広がっています。


 静岡市葵区在住で、新日本婦人の会静岡支部事務局長の植田誠子さん(46)は、「とても不愉快な気持ち。侮辱的で許せません」と怒ります。

 「私たちの感覚ではない。怒りでいっぱいですし、がっかりしました。戦前の“産めよ増やせよ”をほうふつとさせる発言だと思います。子どもを戦争に駆り立てる思想を感じる。時代錯誤な発想です。こんな発言をする人には大臣の資格なんてない。辞任してもらいたい」と話します。

 「厚生労働省という命にかかわるところの大臣がこういう発言をするのは本当に許せません」と話すのは、埼玉県所沢市の看護師(29)。一児の母親です。

 「周りの女性をどういう目線で見ていたのか疑問です。なぜ今、女性が子どもを産めないのかというと、産むだけではなく、子どもを産んでも産休、育休など現実的な問題があり、簡単に産める状況ではないからです。そういう中で『少子化』が進んでいるのだと思います。経済的に安定したらと考えているうちに不妊症になることもあります。医療とか、介護とかいろんな制度改悪で少子化を進めながら、こういう発言をするのはおかしい」

「人権否定だ」婦団連が抗議文

 日本婦人団体連合会(婦団連)は二十九日、柳沢厚労相発言にたいし、同相の辞任を求める堀江ゆり会長名の抗議文を同相と安倍首相に送付しました。

 抗議文では、同相発言は女性を出産のための道具におとしめる人権否定の発言であり、“産めよ・育てよ”の国策を強要されまさに「産む機械」とされた侵略戦争時代を想起させるとのべ、強い憤りを表明しています。

 また、「少子化の真の原因を探求し、その対策をすすめる決意も責任感も見られない」と指摘し辞職を求めています。

各団体が声明・談話

 柳沢厚労相の、女性は「(子どもを)産む機械・装置」との発言について、二十九日、各団体が怒りの声明や談話を発表しました。

 日本母親大会連絡会は「いのちを生み、はぐくむ母親・女性の尊厳にかけて、満身の怒りを持って抗議し、直ちに厚生労働大臣の職を辞任することを求める」との抗議声明を発表。発言は「人間として最低の品性をあらわしたもの」だとして、取り消しで許される軽い問題ではないとしています。

 全労連の柴田真佐子女性部長は、女性を出産のための道具におとしめる人権否定の発言で、「少子化」の原因を女性に転嫁する、厚労相としての資格にかかわる重大問題だと抗議し、撤回と大臣の辞任を求める談話を発表しました。

 婦人民主クラブ(一戸葉子会長)は、女性を人間としてではなく家畜と同じにみるもので「はなはだしい侮辱、はなはだしい人権侵害」だとして強い怒りをもって抗議するとの抗議文を同大臣あてに送りました。

 東京私大教連(東京地区私立大学教職員組合連合)は、「母性の保護、子育て支援などを通じた少子化対策、男女平等を推進する立場にある厚生労働大臣の公的な場での発言は重大」だと批判し、柳沢氏の即時辞任を要求する抗議声明を発表しました。


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