2007年1月29日(月)「しんぶん赤旗」
ゆうPress
仲間とつながる農業の魅力
地域・家族を大切に、“食”守りたい
「人の温かみあるつながり、心を癒やす自然との触れ合いこそが農村の魅力」。農業へ転職した青年がサラリーマン時代の経験を生かして農業経営に励んでいます。北海道岩見沢市のJAみねのぶ(峰延)青年部の部長、白石陽一さん(30)。この1月、JA主催の「青年の主張」の東北・北海道地区大会で代表に選ばれ、2月の全国大会に出場します。(伊藤悠希)
JA「青年の主張」全国大会出場者
白石 陽一さん(30)
北海道・みねのぶ青年部
岩手県盛岡市つなぎ温泉。雪化粧をした南部富士、岩手山が青空に映えています。会場いっぱいに集まった各道県の参加者を前に、東北・北海道の各道県の代表六人がそれぞれの活動や思いを発表しました。
白石さんは落ち着いた口調で堂々と話しました。大学卒業後、スーパーに勤務。子どものぜんそくがきっかけで農業に転職しました。スーパーでの経験を生かして工夫、研究を重ねて新しい農業スタイルを見つけました。仲間や地域のつながりから農業の魅力を再認識し、家族や地域を大切にしたいと思うようになったと語る白石さん。独自の農業づくりへの前向きの主張が評価されました。
農産の担当に
白石さんの実家は石狩平野に位置する水稲栽培が盛んな地域で、稲作中心の農業をしていました。いつかは農業を目指すだろうと大学に進学。農業経済学科を卒業します。「社会で経験をつもう」と、市内などの大手スーパーで働きました。
スーパーでは農産コーナーの担当になります。「自分で希望してずっと担当しました」。野菜・くだもの・花の発注、陳列が主な仕事でした。「農産物は鮮度が命」と新鮮な野菜を仕入れるため、地元の農家へ何度も足を運んで入荷。お客さんからも喜ばれ、仕事に楽しさを感じていました。
白石さんに転機が訪れます。三歳(当時)の長男がぜんそくになってしまったのです。子どものために仕事を辞めて環境のよい実家へ帰ることを決めました。
販売計画たて
「農家をやるからには農業収入だけで家族を養いたい」
自分に合った経営スタイルを考えます。米価下落により、米に代わる作物を探そうとミズナやコマツナなどさまざまな作物づくりに挑戦。経験者に話を聞きに行くなどしました。タマネギ、トマト、トウモロコシ、ホウレンソウが自分に合っていると判断しました。
なかでも、タマネギに力を入れました。父親が長年栽培し、栽培技術に自信があったからです。今は米が五・七ヘクタールでタマネギは七ヘクタールと比重は以前と逆転しています。
スーパー勤務の経験を生かし、価格や規格、販売期間、資材コスト、輸送コストを書いた販売計画書を作成、自分で各スーパーへ売り込みました。パートを雇い、自宅倉庫で袋詰めもしています。生産から販売までを一元化し、スーパーでの産直販売を実現しました。
白石さんとは高校の同級生で、空知中央農民組合・空知産直センターで働く石井学さん(31)は「営業熱心です。産直センターには毎年訪れ、話し合いを持ちます。作るだけでなく、売ることも考えている。これからの若い人に必要とされてること。期待される生産者です」。
顔写真も添付
安全な野菜を食べてほしいと思い、環境に配慮した農業に取り組んでいます。環境保全型農業を行うエコファーマーにも認定されました。安心して買ってもらえるように顔写真、品種や肥料の成分などを書いたものを袋に添付する工夫もしています。「お客さんにこんな人が作っているとわかってもらいたくて」
タマネギの生産を急いで拡大し、失敗したこともありました。排水性の悪い土地に整備をしないまま作付けをしたためにタマネギが腐ってしまいました。土の下に管を埋めて排水性を改良する手間を惜しんだためです。「自然の厳しさを痛感しました」
1人じゃない
農業を始めたころは「農家は“社長”だから、経営者として自分がしっかりしていれば問題ない」と思っていました。JA青年部の仲間と出会い、自分の悩みを打ち明けたり、さまざまな経営方法を聞き、意見をぶつけ合いながら朝まで語り明かしたり、入院した仲間のところへみんなで手伝いに行ったり…。そんな経験を通して、「自分は一人じゃない」と気付きました。
忙しくても一日一回は家族との時間を取り、農繁期は子どもたちと畑でお昼を食べるようにしました。子どもたちもトマトを採ったり、ホウレンソウの袋詰めをしたり、タマネギの種まきをしたりと手伝ってくれます。十歳の長男のぜんそくもすっかりよくなりました。
「将来の食と農と子どもたちを守るうえで地域や若い力が必要です。一人では自然一つとっても守れないから」
サラリーマン時代とは生活も考え方も変化しました。白石さんにとっての農業の魅力は自然や仲間、家族との触れ合いでもあります。
お悩みHunter
彼氏と結婚したいが式あげる資金がない
Q 彼氏と付き合って三年。結婚したいのですが式をあげる資金がありません。式には百万、二百万円はかかります。二人とも長男、長女で親は結婚式をするのが当然と思ってるようなのです。(女性、28歳。千葉県)
2人のため 無理ない形で
A 何のために、誰のために結婚式をするのでしょうか?
まず、そこをじっくり考えることが大切だと思います。私の考えですが、結婚式は二人のいまをそれぞれの心に刻みとめておくためにあるのだと思います。親がどうしてもと言うなら、資金面でも形式的にも無理をせず、いまの状態に一番ふさわしい形を取るのが良いと思います。
結婚式には会費制、身内だけのお食事会、手作りの立食パーティーなどいろいろな形態が考えられます。私の場合、友人がKOTOBUKI実行委員会を立ち上げ、手作りの結婚パーティーを開いてくれました。また、手作りで九条結婚式をあげた友人もいます。日ごろお世話になっている方がたに来ていただきたいという思いで数年かけて資金をため、やっとこの四月に結婚式をあげる友人もいます。
私は、結婚してまだ二年ですが、友人たちに手作りの結婚パーティーをしていただいて、本当に良かったと思っています。結婚生活っていろんなことが起こります。仕事が忙しく、おたがいに顔を会わす時間がなかったり、子育てで周りが見えなくなったり、家計が火の車だったり。そんな時、あの結婚パーティーを思い出すんです。そうすると、「よし、明日もがんばろっ」て思えるんです。私にとって結婚式は、結婚生活を支えるとても大切な基盤になっています。
二人の未来のために、どんな結婚式がふさわしいか、じっくりゆっくり話し合ってみてはどうでしょうか。
舞台女優 有馬 理恵さん
「肝っ玉お母とその子供達」など多くの作品に出演。水上勉作「釈迦内柩唄」はライフワーク。日本平和委員会理事。