いまこそ人間らしく働けるルールを
2、使い捨ての働かせ方をなくす――非正規で働く人たちの権利を守り、均等待遇と正社員化をすすめる
【違法な偽装請負を根絶するために、受け入れ企業の責任で直接雇用にする】
 労働者派遣事業法や職業安定法に違反する偽装請負が横行しています。違法行為を隠蔽するために、労働者派遣なのに業務請負の形式にしていることから偽装請負と呼ばれます。
 請負業者は、労働者の賃金をピンハネして利益を得ます。受け入れた企業は、正社員の半分以下の時給で働かせたうえに、労災事故が起きても、社会保険に未加入でも、いっさい責任を負おうとせず、「契約解除」の一言で好き勝手に解雇もしています。こうした無法な働かせ方を、キヤノンやソニー、松下など日本を代表する大企業やその系列企業が行っていたことも明らかになっています。
 日本共産党は、国会でも、偽装請負を繰り返し告発してきました。社会的な批判が高まる中で、厚生労働省も、業界最大手の請負事業者に業務停止命令を出しました。昨年9月には、偽装請負の是正を求める通達、今年3月には、偽装請負を是正する際に「派遣可能期間の制限を超えている」労働者は、派遣への転換は認めず、直接雇用などにするという通達を出しました。この厳格な実施を強く求めます。
 同時に、政府は、違法を承知で偽装請負を活用してきた大企業には、その企業名さえ明らかにしないなど、甘い姿勢をとり続けています。これをあらため、受け入れ企業に「法令遵守」を毅然と求めるべきです。
 違法な偽装請負を根絶し、安定した雇用に切り替えるために、行政指導にとどまらず、派遣法などを改正し、受け入れ企業の責任を厳しく問えるようにすべきです。自社で雇用すべき労働者を違法に「請負」で働かせてきたのですから、「派遣可能期間の制限」などの条件をつけずに、受け入れ企業の責任で直接雇用にするのが当然です。働き始めたときにさかのぼって、賃金など違法状態のもとで引き下げられてきた労働条件を補償させます。また、派遣法に偽装請負を受け入れた企業への罰則を設けるようにします。

【労働者派遣に新しいルールを――派遣労働者の地位向上と正社員への登用をすすめる】
 労働者派遣は、働かせている企業が、労働条件をはじめ雇用への責任を持たない間接雇用です。だからこそ派遣は、臨時的、一時的な場合に限定するというのが原則だったはずです。政府も、国会で「臨時的、一時的なものであり、常用雇用の代替にしてはならない」と繰り返し言明してきました。ところが実際には、たび重なる労働法制の規制緩和によって、正社員を派遣社員に置き換えるリストラが大規模にすすんでいます。しかも、日本経団連の御手洗会長は、政府の経済財政諮問会議などで、“派遣社員を3年間使ったら直接雇用の申し出をしなければならない”という、わずかに残された正社員への道すらなくし、派遣や請負をもっと自由にたくさん使える規制緩和をさらに行えと要求しています。
 労働者派遣は臨時的・一時的な場合に限定し、正規雇用の代替にしないという原則にたって、派遣労働者に正社員への道を開くべきです。派遣先企業は、1年以上経過したら、直接雇用を申し出る義務を負うように派遣法を改正します。また、交通費や社員食堂利用などでの派遣労働者への不当な差別や格差をなくします。
 複数の派遣会社に登録し、携帯にメールで仕事を紹介されて、短期間の就労を繰り返すという、新しい「日雇労働」が増えています。労働者派遣の規制緩和によって、登録型派遣が、低賃金で、短期就労を繰り返す事実上の「日雇労働」を供給する仕組みになっているからです。しかも「日雇健康保険、雇用保険」の対象にもなりません。健康保険や雇用保険などを、こうした労働実態にあわせて整備することは緊急の課題です。そして、登録型派遣による日雇型雇用をなくしていくべきです。
 当面、以上のような取り組みをすすめながら、労働者派遣事業法を派遣労働者保護法に抜本的に改正し、派遣労働を臨時的・一時的な場合に限定することを法律に明記するとともに、派遣先業種の制限、派遣先の正社員との均等待遇、劣悪で不安定な雇用となっている登録型派遣の解消などをすすめます。

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