二十一世紀がもう目の前ですが、いまの日本の現状はどうでしょうか。
過去最悪の失業率、激増する倒産、空前の財政危機、暮らしも経済もたいへんな状態です。さらに、はびこる政治腐敗や相次ぐ警察の犯罪と不祥事、凶悪な少年犯罪など、政治も、社会も大きくゆがんでいます。
ところが、こんなに日本がゆきづまっているのになにひとつ打開策も、あかるい展望も示すことができなくなっているのが、いまの自民党政治ではないでしょうか。こんどの選挙を、このゆきづまった自民党政治を切り替える選挙にしようではありませんか。
国民のみなさん
そのうえ森首相は、「日本の国は天皇中心の神の国であるぞということを、国民にしっかり承知していただく」といい放ち、侵略戦争・軍国主義の推進力となった「神国日本」思想をおおっぴらに賛美しました。国内はもちろん、海外からも「帝国主義の亡霊」「アジア侵略正当化の思想」と厳しい批判と抗議の声があがったのは当然です。森首相は、国民と野党の退陣要求を拒否し、「誤解だ」などといって居直っています。この森首相をかばいつづける自公保の与党三党も同罪です。戦後の政治をになう資格がおよそない森首相と、それをかばう与党にたいして、きびしい審判をくだそうではありませんか。
国民のみなさん
日本共産党は、自民党中心の悪政と対決してきただけではありません。自民党政治のどこを、どう切り替えれば、ゆきづまりを打開し、あかるい二十一世紀を切り開くことができるか、その答えを国民のみなさんに提案しています。それが次の「日本改革」の提案です。
第一に、経済の分野では、つぎの二つの改革をすすめます。
(1)国・地方あわせて毎年「ゼネコン型公共事業には五十兆円、社会保障にはたったの二十兆円」という世界とは逆立ちした予算の使い方をあらため、社会保障と国民の暮らしを予算の主役にすえること。
(2)“ルールなき資本主義”の現状をあらため、雇用や営業、環境など、国民の暮らしを守るルールのある国にすること。
第二に、外交と安全保障では、日米安保条約を廃棄し、外国の基地も、軍事同盟もない非同盟・中立の日本をめざすというのが大目標です。それ以前にも日本の主権を大事にして平和の外交をすすめ、米軍の横暴勝手をただし、核兵器をもちこませない日本にすることです。
第三に、憲法をしっかり守り、政治と社会のゆがみをただし、憲法の平和的、民主的原則が花開く日本にしていくことです。
この日本共産党の大きな躍進で、二十一世紀に向けて「国民と心が通う新しい政治」をおこす、たしかな一歩を切り開いていこうではありませんか。
政府は「景気が回復しつつある」といいますが、これほど国民の生活実態とかけ離れた言い分はありません。政府の調査でも、「世の中は暮らし良い方向に向かっていない」という訴えが八割と過去最悪になっています。史上最悪の失業率、社会保障の不安、老後不安がどれほど大きくなっているか、ここにもはっきりあらわれています。
経済の六割をしめる個人消費も大きく落ち込んでいます。家計消費は実質ベースで、九三年以降、七年連続で後退をつづけ、九〇年にくらべて四%以上も減っています。国民の所得が低下するとともに、将来の不安から財布のひもをきつく締めざるをえなくなっているからです。
どうしてこんなことになってしまったのでしょう。
自民党政治が、九〇年代を通して、「景気対策」としてやってきたのは、ゼネコン型公共事業へのお金のつぎ込みと、「金融システム安定」といっては大銀行支援にのめりこむことでした。その一方で、国民にたいしては、リストラ・首切りは野放しにする、消費税増税など大負担増を押しつける、社会保障は連続改悪するなど、家計を二重、三重に痛めつけてきました。自民党政治の経済政策の破たんはあきらかではないでしょうか。
こんどの選挙で、自民党流のゼネコン・大銀行応援の政治から、日本共産党の躍進で暮らしと家計を応援する政治に切り替えようではありませんか。
景気をよくし、日本経済を立て直すには、日本経済の六割をしめる個人消費をどう増やすか、そのために家計をどうあたためるか、これが決定的です。日本共産党は、そのために、さきにのべた二つの経済改革に取り組みます。
この二十年間、社会保障といえば“保険料引き上げ・負担増と給付削減”の連続で、まさに“社会保障受難の時代”でした。医療は、二十年前には健康保険本人は無料でしたが、いまでは二割負担に改悪され、老人医療も有料化されました。年金は、支給開始年齢が六十歳から六十五歳に繰り延べされたうえに給付額も削減され、四十歳以下の夫婦の場合、一千万〜一千二百万円も削られます。四月からはじまった介護保険でも、「利用料が高くなり、サービスを切り下げざるを得なくなった」との悲鳴があがっています。
これらの矛盾の根本原因は、社会保障からの国費の引き揚げ政策にあります。社会保障の財源にたいする国の負担は、二十年前、一九八〇年には二九・二%であったものが、九七年には一九・〇%と三分の一も削られてしまいました。
「税金の使い方」の逆立ちをただせば、社会保障は拡充できる…日本の税金の使い方は、世界とくらべてまったく異常です。欧米諸国は、社会保障に公共事業の三倍から六倍の予算をあてています。ところが、日本は国・地方で毎年、公共事業には五十兆円、社会保障には二十兆円と完全に逆立ちしています。
この逆立ちをただし、ゼネコン・大銀行に手厚い予算の使い方を、社会保障と国民の暮らしに手厚い方向に切り替えます。そうすれば、介護や医療、年金などを、ほんとうに安心できる制度に改革して、国民の将来不安をなくせます。将来不安をなくすことは、個人消費の拡大につながり、景気を回復させる大きな力にもなります。
介護、年金、医療をこう改革する…介護保険がスタートから大きくつまずいているのは、これだけの国民的大事業なのに、国が二千五百億円も予算を減らしてしまったからです。ただちに取り組むべき最小限の改善策として、低所得者への利用料軽減措置をすべての在宅サービスにひろげること、十月から実施予定の高齢者からの保険料徴収を見直すこと――を強くもとめます。
四十歳の夫婦で受け取る年金が一千万円も削られる、これでは老後の生活設計はずたずたです。年金問題を解決するには、基礎年金への国庫負担を三分の一から二分の一に引き上げ、百数十兆円にもなる積立金の有効活用とともに、少子化問題の解決に取り組むことが不可欠です。
医療費への国庫負担は、この十七年間に六%も減らされました。これを計画的に増額し、世界一高い薬価にメスを入れ、安心できる医療保険制度をつくります。
年来の自民党政治が、暮らしと経済をどれほどひどいものにしてきたか、高い失業率によくあらわれています。失業の過去最高は、九〇年代以前では、円高不況に見舞われた八七年の失業率二・八%、完全失業者百七十三万人でした。それがいま、失業率四・八%、完全失業者三百四十六万人と、この当時の二倍、日本の戦後資本主義史上最悪の事態をまねいています。
ところが自民党や公明党がやったことは、リストラ・首切りをすれば税金をまけてやるという法律=産業再生法までつくってリストラ・首切りを応援することでした。政府は、一昨年は「百万人」、昨年は「七十万人」と「雇用対策」をうちあげましたが、“失業者を雇用すれば助成金を出す”として千五百億円の予算をつけたものの、一年近くたっても一%も消化できないように、現実の雇用危機にはまったく無力でした。自公保三党は選挙前に、「五十万人雇用対策」を打ち出しましたが、大もとのリストラ野放しのままでは、ザルで水をすくうようなもので失敗は目にみえています。
失業を減らし、雇用不安の解消をはかることは、暮らしを守るうえでも、景気を回復させるうえでも、いま政治が取り組むべき最優先の課題です。雇用問題を解決するためには、なによりも労働時間の短縮をはかる、大企業の大量解雇や身勝手な首切りを規制するというのが世界の常識です。このあたり前のルールを日本でもつくります。
サービス残業を根絶し、労働者を保護するルールをつくる…労働時間短縮が、雇用拡大に有効であることは、フランスの「週三十五時間法」の制定でも証明ずみです。なかでも労働基準法違反の犯罪であるサービス残業=ただ働きをなくすことは焦眉(しょうび)の課題です。財界系のシンクタンク「社会経済生産性本部」も「サービス残業をなくせば九十万人、残業そのものをなくせば百七十万人、あわせて二百六十万人の雇用が増える」と試算しています。日本共産党は、国会に「サービス残業根絶法案」を提案してきましたが、この成立に全力をあげます。
EU(ヨーロッパ連合)では、大量解雇や企業の勝手な首切りを規制する法律をつくっています。「労使まかせ」でリストラ・首切りのやり放題を許している日本は異常です。「リストラ規制法」「解雇規制法」などの制定で、労働者の権利、暮らしを保護するルールをつくります。
中小企業を大切にする…全企業数の九九%、全雇用者数の七八%を占める中小企業は「日本経済の主役」です。ところが、大型店の出店野放しなど、自民党政府がすすめてきた“弱肉強食”の規制緩和によって、たとえば中小小売店は、この十年間に二十万店も減少しました。参入規制の緩和などで、酒屋や薬局、タクシー会社などが深刻な営業難にみまわれています。
日産にみられるように大企業の身勝手なリストラによって、下請け中小企業の切り捨て、単価の切り下げなど無法がまかり通っています。
大型店の出店規制を強化し、下請関係法の厳正な適用と改正強化、業界ごとのルールを充実させるなど、地域経済を発展させ、中小業者の営業を守るための公正なルールをつくります。
こんどの選挙は、国と地方の財政をここまで破局的にした自民党政治の責任を問い、その打開の道をあきらかにする選挙でもあります。森自公保政権も、前内閣と同様、“景気対策優先”を口実に、財政再建の計画と展望を示そうとさえしません。そもそも景気対策と財政再建は、対立させるべきものではなく、両立させることこそ政治の責任です。
自民党の放漫財政のもとで、国と地方の借金は、二十年前より約五百三十兆円、十年前より約三百八十兆円もふくらみ、今年度末には六百四十五兆円、国民一人あたり五百十万円にもなるという、世界にも例のない破たんぶりです。それなのに自公保政権は、“あとは野となれ山となれ”で、ひたすらゼネコン型公共事業の浪費を重ね、借金増の道を突っ走っています。
“いざとなったら消費税増税がある”、これが自公保の本音です。加藤政府税制調査会会長は、総選挙後にだす中期答申に、「消費税の一五%以上への引き上げ」を盛り込むと明言しています。こんなことを許せば国民の暮らしも、日本経済もどん底につき落とされます。無駄づかいはやり放題、そのツケは国民に押しつける、こんな自公保の政治をこれ以上はびこらせておくわけにはゆきません。
日本共産党は、次の歳出、歳入の改革を計画的・段階的にすすめることにより、財政を再建の軌道にのせていきます。
税金の無駄づかいと浪費をなくす…財政危機をつくりだした大もと、ゼネコンや大銀行へのばらまきをきっぱりやめる歳出の改革に取り組みます。
この十年間で借金は三百八十兆円もふくらみましたが、このうち約三百兆円は公共事業によるものです。借金増の最大の要因である公共事業費を、段階的に半分に減らします。
公共事業の無駄、浪費の大もとに、総額六百三十兆円という「公共投資基本計画」があります。はじめに総額を決め、ともかく使い切るという“総額使い切り方式”をやめ、ほんとうに必要な事業を積み上げ、優先順位をつけてすすめます。また、大型開発優先から暮らし・福祉優先に切り替えます。半分に減らしても、GDP(国内総生産)比では、なお欧米の二〜三倍ですから、必要な社会資本整備は十分にすすめられます。
大型開発は、雇用を増やすどころか減らし、中小企業への発注も極端に少ないことは各種のデータでもあきらかになっています。福祉・暮らし優先に切り替えるなら、公共事業の総額は減らしても、雇用を拡大し、中小企業への発注を増やせます。
「銀行の不始末は銀行業界の自己責任で解決する」というあたり前のルールを確立して、七十兆円の大銀行支援策を廃止します。また、軍事費の半減にも取り組みます。
不公平税制の是正が中心。消費税など庶民増税には反対です…もう一つが歳入面の改革です。法人税の実質税負担率は、大企業ほど軽くなっています。各種の税金逃れの優遇制度があるからです。このため大手銀行十七行を例にとると、本来なら約一兆二千億円の税金を納めるところを、千九百六億円ですませています。こうした大企業・高額所得者優遇の不公平税制の是正を中心にした歳入の改革に取り組みます。いま日本は、貧富の格差が急速に拡大していますが、不公平税制の是正は公正な社会への一歩ともなります。
いま自公保の与党だけでなく、民主党や自由党など野党からも、「福祉目的」という名目で消費税引き上げの声があがっています。民主党は、所得税の課税最低限の引き下げも主張しています。しかし、これまで消費税が導入されたときも、五%に引き上げられたときも「福祉のため」「高齢化社会のため」が口実にされましたが、福祉が拡充されたことは、ただの一度もありません。低所得者ほど重い負担になる消費税ほど、福祉に反する税金はありません。
日本共産党は、消費税増税や課税最低限引き下げなど、財政破たんのツケを庶民に押しつける庶民増税に断固反対します。
以上のべた歳出、歳入の改革を計画的・段階的な見通しをもっておこなえば、庶民増税に頼ることなく財政を再建の軌道にのせることができ、消費税を三%に引き下げる道も開けます。
「戦争はしない、軍隊はもたない」――自民党政権は、この憲法第九条をずたずたにする政治をすすめてきました。「軍隊をもたない」は、自衛隊創設によって破られましたが、こんどはアメリカがアジアでおこなう干渉戦争に日本も参戦するガイドライン法=戦争法がつくられ、「戦争はしない」の原則まで踏みにじられようとしています。日本に米軍基地がいすわり、戦争参加まで押しつけられるのは、日米安保条約があるからです。
日本共産党は、国民多数の合意で日米安保条約を廃棄することを大目標にしています。しかし、それ以前にもまったなしの課題があります。その解決に全力をあげます。
戦争法の発動阻止。道理ある平和外交でアジアと世界に働きかける…日米安保条約にしがみつく自民党政治は、アメリカが世界でどんな無法をしても、国連の場で一度も「ノー」といったことがなく、アメリカいいなりの「軍事対応一本やり」の姿勢をとってきました。「平和の戦略」をもっていないのが自民党外交です。
自民党政府は、戦争法を発動する準備として、有事立法の策定をねらっていますが、日本共産党はこのようなたくらみに反対します。
昨年、日本共産党が東南アジア諸国を歴訪したさい、どこでも意見が一致したのは、紛争問題の話し合いによる平和解決でした。アジアの平和の流れを促進すれば、朝鮮半島や台湾問題での発動をねらう戦争法を無力化できます。
日本共産党は、日本がアジアに生きる国として、また、憲法第九条をもっている国として、軍事優先でなく平和優先の外交、アジア重視の外交、アメリカ追従でなく独立・自主の外交への転換をすすめます。・
米軍のあまりの横暴をただします…米軍に与えられた治外法権的な特権のもとで、米軍機による低空飛行訓練や夜間離着陸訓練など、米本国はもちろん、他のどの同盟国でもやっていない無法な訓練が大手をふっておこなわれています。きぜんとした外交によって、この無法をただします。安保条約上もなんの義務もない、「思いやり予算」はただちにやめさせます。
普天間基地は無条件返還を。基地の新増設は許しません…沖縄県民が強くもとめている米軍普天間基地の返還は、無条件におこなうべきです。日米両国政府は、基地の「移設」と称して、名護市に最新鋭基地を建設し、台湾や朝鮮半島に自力展開できる新型軍用機オスプレイを配備しようとくわだてています。このような新基地をつくることは、絶対に許してはなりません。基地の縮小・撤去にこそ全力をあげます。
七月の沖縄サミットを、「基地のない平和な沖縄」こそ県民共通の願いであることを世界に発信する場とするために力をつくします。
核兵器持ち込みの心配のない日本にします…日本共産党の国会での追及により、核兵器を日本に持ち込む密約の存在があかるみにでました。六〇年に日米安保条約が改定されたとき、“アメリカの核を積んだ軍艦や軍用機が日本の港湾や空港に入るのは自由”だとする、秘密の取り決めがされていたのです。
日本共産党は、政府に密約の真相を公開させ、核持ち込みの心配のない日本にします。
アメリカの戦争への参加押しつけや米軍基地の異常、日本への核持ち込み密約なども、その根源に日米安保条約があります。安保条約をなくすのに、むずかしい手続きはいりません。日本政府がアメリカに廃棄通告をすれば、一年後にはなくなることが条約に明記されています。国民世論が「なくそう」でまとまれば、なくすことができるのです。日本共産党は、この方向で国民世論がひろがるよう全力をつくします。
憲法第九条は、世界でも先駆的なものです。改憲勢力は、「憲法は古くなった。現実とあわなくなった」などといって、第九条をいちばんの標的にして改憲をねらっています。しかし、「紛争は話し合いによって平和的に解決する」というアジアと世界の流れから見ても、国民の平和の願いから見ても、アジアと世界の流れに逆行し、孤立しているのは自公保の政治です。
日本共産党は憲法改悪のくわだてを許さないため、憲法を大切にしたいと願う広範な国民のみなさんとの共同をひろげるため力をつくします。そして、憲法の平和・民主・人権の原則が花開く二十一世紀の日本をめざします。
「次代をになう子どもたちのすこやかな成長をはかる」「食料は自分たちの国土でまかなう」「安心して生きつづけられる環境を残す」「日本社会のおとろえにつながる『少子化』を克服する」――どれも、この国で生きる人びとの未来にかかわる重大問題であり、二十一世紀の政治が避けて通るわけにはゆかない課題です。
「いじめ」や不登校など、子どもと教育をめぐる現状は深刻です。さらには、最近の相次ぐ少年の凶悪犯罪にだれもが胸を痛めています。ところが、こともあろうに森首相がもちだしたのは、教育勅語でした。「命の大切さを教えるため」などといいましたが、教育勅語のどこにも「命の大切さ」などありません。それどころか、「一旦緩急あれば義勇公に奉じ」と、国民を侵略戦争に動員し、天皇のために命をすてよということを、たたきこむためのものでした。
教育といえば、教育勅語の復活しか頭に浮かばないこと自体、教育問題での自民党政治のゆきづまりと貧困、展望のなさを示すものです。
日本共産党は、子どもたちへの道徳教育は必要だと考えています。そして、人間の命の大切さ、暴力やうそ・ごまかしを許さない勇気、自分の責任は自分ではたす自立心などの市民道徳を、子どもたちに豊かに身につけさせようと呼びかけてきました。このことがいま、ますます大事になっているのではないでしょうか。
また、子どもと教育をとりまく危機的状況を解決するための次の提唱をおこなってきました。いまあらためて、この問題での活発な国民的討論をよびかけるものです。
子どもの生活を「受験中心」から抜け出させ、子どもの成長と発達を中心においた教育に改革する…国連・子どもの権利委員会は、日本の競争教育が子どもに強度のストレスをつくりだしていると警告し、その改善を求めています。それほど、いまの受験中心の教育が、子どもの世界や学校を荒廃させています。ものごとの道理を理解し、身体をきたえ、市民道徳を身につけることができる学校教育に改革します。
政治・経済・社会の各分野でモラルを確立し、子どもが将来に確信と展望がもてるようにする…子どもは「社会を映す鏡」です。警察官の不祥事や政治家の汚職・腐敗が横行し、まじめに働いてきた勤労者が簡単にリストラされ、お年寄りが大切にされない政治――子どもたちに、おとなの社会は希望がもてず命が粗末にされる世界と映っているのではないでしょうか。おとな社会のモラルを確立し、この面でも子どもの健全な成長を支えてゆくことが必要です。
子どもたちを有害な情報から守るため、とくにテレビ・雑誌・ゲームなどの文化面で、社会の自主的ルールを確立する…戦争賛美や暴力シーン、ポルノなど、人間を粗末にする映像・出版物がはんらんしています。国連・子どもの権利委員会は、日本ほど暴力や退廃文化に子どもたちが無防備にさらされている国はないと警告しています。子どもたちを守るために、社会全体が自主的ルールを確立すべきです。
多くの国際機関が、二十一世紀には世界的な食料不足になる危険性があると早くから警告してきました。それなのに自民党の政治は、七〇年度にはともかくも六〇%だった食料自給率を、この三十年間に四〇%を割り込むところまで落ち込ませてしまいました。サミット参加国で、こんな国はありません。
国民の六割=七千六百万人分の食料を外国にたよる、農産物の輸入自由化を強行する、家族経営を切り捨てる、農業予算の半分をゼネコン優先の公共事業にあてる――こうして、日本農業をここまで困難にし、食料自給率を主要国のなかで最悪にしてきたのが自民党の農政です。
“家族経営を守れ、食料を輸入自由化からはずせ、各国の食料主権を”はWTO閣僚会議の議論でも示された世界の流れです。家族経営こそ、日本農業の担い手です。食料自給率を引き上げるためにも、家族経営がやっていけるように、減反政策の押しつけをやめ、農業予算を農産物の価格保障と農家の所得保障に優先的にあてます。農産物の輸入自由化反対を世界に向かって強く訴えます。
国民の命と健康を脅かす環境破壊が深刻です。環境保全と両立する生産・流通・消費システムを確立するために、環境破壊の根源にある大企業の製造責任や排出責任をきびしく問うべきです。日本の環境基準やアセスメントが骨抜きになってきた最大の原因は、自民党政治がばく大な企業献金とひきかえに企業責任を免罪してきたことです。
アセスメント、リサイクルなど、環境にかかわるすべての分野で大企業の責任をきびしく問う法制度を確立するなど、経済活動にかかわる環境保全ルールを抜本的に強化します。環境税については、消費者・使用者一般に一方的負担をもとめるような方式はとるべきではありません。汚染の原因となる物質・商品を生産しているメーカーの責任と負担を明確化すべきです。
東海村での核燃料の臨界事故は、原発の「安全神話」の破たんとともに、二十一世紀のエネルギーを原子力にたよることの危険性を白日のもとにさらしました。欧米諸国が断念したプルトニウム循環計画、原発を増設する計画にしがみついているのは日本だけです。原発の「安全神話」と決別して、原発推進機関から独立し、権限も人員も強化した安全委員会を設置します。原発の増設をやめ、プルトニウム循環計画は中止します。
原発依存からぬけだすため、風力・太陽熱・太陽光・地熱・バイオマス(生物資源)・小規模水力など、世界から立ち遅れているクリーンな新エネルギーの開発をすすめます。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、日本の人口は、五十年後にはいまの八割に、百年後には半分の六千七百万人にまで減るという、衝撃的な数字があきらかになっています。この事態を放置していては、日本社会の衰退につながります。
いま出生率は人口を維持する最低水準(二・〇八)を大きく下回る一・三八にまで下がっています。日本社会が子どもを生み育てる力をどんどん失っているということです。「少子化」問題は小手先だけの対応や、まして自民党政治のように、社会保障の切り捨てや国民負担増の口実にするような対応では、取り返しのつかない事態になってしまいます。
「少子化」は、日本社会の未来にかかわる大問題です。日本共産党は、国民のみなさんと力をあわせ、この克服に真正面から取り組んでいきます。
働くことと家庭生活が両立できる社会に…「少子化」の最大の要因は、日本の政治と社会で、子どもを生み育てるという、社会を維持してゆくための基本的な条件と環境があまりにもないがしろにされてきたことにあります。国立社会保障・人口問題研究所の試算でも、仕事と育児を両立させる施策をとっていたら、七〇年代後半からの出生率は一・九八にとどまっていたとしています。
働き続けることと子どもを生み育てることを、きちんと両立できる社会にしていくことが不可欠です。そのためには、男女がともに子育てに責任が果たせるように、職場の労働条件を全体として改善し、子育て世代の場合には、男女ともに、変則勤務や夜間労働、家族と離れて生活する配置転換などがないよう、その条件を整備することが必要です。また、育児休業制度は、賃金保障を六割に引き上げるとともに、元の職場への復帰、育児休業取得による不利益をおこさせないなど、男女ともに取得しやすくしていくべきです。
男女差別・格差をなくし、女性が働きつづけられる社会を…男女の就業機会が平等な国ほど出生率が高くなるのが世界の傾向です。「雇用機会均等法」を抜本的に改正し、男女賃金格差の是正、女性差別の解消など、企業に、雇用に関するすべての面で「男女平等」をつらぬかせるようにします。失業や不安定雇用の拡大は、将来の生活を不安なものにし、子どもを生み育てることへの障害になっています。忙しいときだけ働かせ、いつでも解雇できるという身勝手な「雇用流動化」を規制し、男女ともに安定した雇用を保障することが重要です。・
保育体制の拡充、子育てにたいする負担軽減と支援の充実をはかる…いま保育園の入所待機児童が三万二千人にものぼっています。産休明け・育休明けに機敏に対応できるよう保育体制の拡充をはかります。
教育費や住宅費など、子育てへの重い経済的負担を軽減することも重要な課題です。児童手当は、財政を再建の軌道にのせるなかで、計画的に拡充していきます。
自民党・公明党などは、みずからのゆきづまりや悪政をかくすため、「自公保は安定」「民共は混乱」などと、つくり話をもちだしています。とんでもない話です。自公保の政治のいったいどこが安定でしょうか。失業、倒産、財政危機、社会保障改悪、教育の荒廃と少年の凶悪犯罪、みずからの腐敗や警察の犯罪と不祥事――安定どころか、国民の暮らしと前途に不安をおしつけてきたのが自民党政治ではありませんか。
そして、この年来の自民党の悪政を丸ごと容認し、その忠実な擁護者、推進者になっているのが公明党です。「実績の党」などといっていますが、その中身は、盗聴法や戦争法、「日の丸・君が代」の国旗・国歌化、年金改悪など、憲法の平和の原則や基本的人権、生存権などを根底からおびやかすものがほとんどではありませんか。そのうえ党利党略で、国民に一兆六千億円もの将来負担を残した「地域振興券」、少子化対策といいながら、大多数の子育て家庭に増税をもたらす「児童手当」問題など、“自分の選挙にさえ役立てば、国民がどんなに被害をこうむろうが知ったことではない”とばかりに、自民党の悪政に拍車をかけているのが公明党です。
こんな無責任な政治は許さないという審判を下そうではありませんか。
日本共産党は、自公保の悪政、“数の暴走”と対決するため、野党の共同に真剣に取り組んできました。しかし、率直にいっていまの野党の状況は、「自民党政治をこう変える」という政策の一致点がつくられていないのです。野党第一党の民主党は、自民党との違いを“政権をとってみないとわからない”などとしかいえず、自民党政治に対抗する政策の足場がつくれないでいます。
選挙後に、野党が自民党の政治に対抗する力をしっかりつけるためにも、「自民党政治をこう改革する」という方針をしっかりもった日本共産党を大きく伸ばしてください。
日本共産党は、二十一世紀の早い時期に国民多数の支持をえて、民主連合政府をつくるという大目標をもっています。民主連合政府は、「日本改革」を全面的に実行できる政府です。
もちろん、それ以前にも、自民党の悪政から一歩でも二歩でもぬけだすために、選挙の結果、野党が多数になるなどの条件ができたときには、野党連合政権の協議に積極的に応じる用意があります。
自民党や公明党は、日本共産党が政権に入ると政治が混乱するかのようにいっていますが、国民の暮らしの向上を経済の根本にすえる、自主的な平和の外交をおこなう、憲法を守って政治と社会のゆがみをただす――この政治のどこが混乱でしょうか。自民党政治のゆがみやゆきづまりをただして、「国民が主人公」のあたり前の政治を実現しようというのが、日本共産党です。
国民のみなさん
日本共産党は、党をつくって七十八年。戦前、「戦争反対」とか「主権在民」とかいえば、それだけで過酷な弾圧を受けた時代から、平和と民主主義を主張してがんばってきた政党です。二十世紀の前半はそんな時代でした。しかし、この主張がいまでは憲法にしっかり実っています。日本共産党の歩みは、社会は進歩するもの、着実に前進するものであることの証明ではないでしょうか。
二十一世紀は目前です。こんどの選挙を、二十一世紀に日本社会が大きな進歩をとげてゆく、その貴重な一歩をしるす選挙にするためにも、日本共産党への大きなご支持をかさねて心からお願いいたします。
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