1996年6月11日 日本共産党
一 目的
*この法律は、非営利活動を行う団体に法人格を付与すること等によって、これらの団体が法律上の権利主体としての地位を明確なものとし、もって公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。
二 定義
* 非営利法人は、自発的な意思に基づいて社会活動を行うことを目的とした民間の非営利団体を対象とする。
* 非営利法人は次の要件を備えなければならない。
1. 営利を目的としないこと。
2. 事業活動からの収益は本来の活動目的のみに使用し、組織の成員間での分配をしないこと。
3. 会員が任意に加入し、または退会することができること。
4. 会員の議決権および選挙権は平等であること。
5. いかなる場合においても、国籍、人種、宗教、信条、性別、門地または身分によつて加入を拒否されまたは会員たる資格を奪われないこと。
三 名称の制限
* 非営利法人以外のものは、その名称中に「非営利法人」またはこれに紛らわしい文字を用いてはならない。
四 設立
* 非営利法人を設立しようとするものは、定款その他政令で定める書類を法務局へ届け出、登記を行わなければならない。
* 非営利法人の定款には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
1. 目的および活動内容
2. 名称
3. 主たる事務所の所在地
4. 会員の資格の得喪、権利義務に関する事項
5. 役員の任期、職務権限および員数に関する事項
6. 総会の招集ならびに議決および選挙権に関する事項
7. 予算、決算および会計その他財務に関する事項
8. 定款の変更に関する事項
9. 解散の事由および残余財産の帰属に関する事項
10. 公告の方法
* 非営利法人は設立後2週間以内に、主たる事務所を管轄する非営利法人委員会に、定款および登記謄本を届け出なければならない。
五 役員
* 非営利法人には、役員として理事3人以上および監事1人以上を置かなければならない。
* 理事は、すべて非営利法人の業務について、非営利法人を代表する。ただし、定款をもって、その代表権を制限することができる。
* 監事は、つぎに掲げる職務を行う。
1. 理事の業務執行の状況を監査すること。
2. 非営利法人の財産の状況を監査すること。
3. 前2項の規定による監査の結果、非営利法人の業務または財産に関し不正の行為または定款に違反する重大な事実があることを発見した場合には、これを総会に報告すること。
4. 前項の目的のために総会を招集すること。
5. 非営利法人の業務または財産に関し、理事に意見を述べること。
* 監事は、理事または非営利法人の職員を兼ねることはできない。
* 役員の任期は、2年を越えることはできない。ただし、再任を妨げない。
六 解散
* 非営利法人は次の事由によって解散する。
1. 総会の議決
2. 定款に定めた解散事由の発生
3. 目的たる事業の成功の不能
4. 会員の欠亡
5. 合併
6. 破産
7. 裁判所による解散命令
* 正当な事由なくその設立後1年以内に活動をせず、または引き続き3年以上その活動をしない非営利法人は、解散したものとみなす。
* 解散した非営利法人の財産は、定款をもって非営利法人の目的に類似した目的をもつ非営利法人または公益法人に帰属させることができる。定款にこの旨の定めがないときは、総会において非営利法人の目的に類似した目的をもつ非営利法人または公益法人に帰属させることを決議することができる。以上によって処分されなかった財産は国庫に帰属するものとする。
* 解散した非営利法人は、清算終了時まで清算法人として存続し、清算人を株式会社法類似の方法で選任する。
七 合併
* 非営利法人は、他の非営利法人と合併することができる。
* 非営利法人が合併するには、総会の議決を経なければならない。
* 合併した非営利法人は、設立のさいの手続きに準じて法務局への届出及び非営利法人委員会への書類の提出を行わなければならない。
八 非営利法人委員会
* 非営利法人の活動の援助、情報の収集、その他適切な運営を確保するため、都道府県毎に独立した機関として非営利法人委員会をおく。
* 非営利法人委員会は独立してその職務を行う。
* 非営利法人委員会の定数は委員長および委員5名以上とする。
* 委員は、当該都道府県における非営利法人の推薦する代表(定数の3分の2)と有識者(定数の3の1)で構成し、都道府県知事が任命し議会の承認を得るものとする。
* 委員長は委員が互選する。
* 委員は自己の帰属する非営利法人に関する職務については、これを回避しなければならない。
* 非営利法人委員会の職員は、当該都道府県の職員をもってこれに当てる。
九 情報の開示・公開義務
(1)会員への情報開示
* 非営利法人は請求があったさいには遅滞なく次に掲げる書類を閲覧または謄写させなければならない。
1. 定款
2. 貸借対照表、損益計算書およびその付属明細書
3. 活動報告書
4. 総会議事録
5. 理事会議事録
(2)非営利法人委員会への情報送付
* 非営利法人は、通常総会の承認を受けたときから2週間以内に次に掲げる書類を主たる事務所の所在地を管轄する都道府県の非営利法人委員会に送付しなければならない。
1. 役員名簿
2. 定款または登記事項に変更があった場合には、変更後の定款または登記簿謄本
* 免税非営利法人および特定免税非営利法人は、通常総会の承認を受けたときから2週間以内に次に掲げる書類を主たる事務所の所在地を管轄する都道府県の非営利法人委員会に送付しなければならない。
1. 貸借対照表
2. 損益計算書
3. 活動報告書
4. 役員名簿
5. 定款または登記事項に変更があった場合には、変更後の定款または登記簿謄本
(3)情報公開
* 非営利法人委員会は非営利法人に関わるすべての書類・情報を一般に公開しなければならない。
十 正常な活動遂行の保持と不正の防止
* 非営利法人委員会は、非営利法人の業務の執行につき不正の行為または法令もしくは定款に違反する重大な事実があると疑うべき事由のあるときは、当該法人の業務および財産の状況を調査することができる。
* 非営利法人委員会は、非営利法人の業務の執行につき不正の行為または法令もしくは定款に違反する重大な事実があると認めたときは、当該法人に対し行為の是正その他の必要な措置を勧告することができる。
* 非営利法人委員会は、設立時に送付すべき定款および登記簿ならびに総会承認後送付すべき書類の送付を非営利法人が怠ったときは、これらの書類の提出を要求することができる。
* 裁判所は、非営利法人について次の各号の一つに該当する事由があると認めたときは、会員、債権者、利害関係者もしくは非営利法人委員会の請求により、法律に定める手続きに従って、その解散を命ずることができる。
1. 法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたとき
2. 非営利法人の目的を著しく逸脱した行為をしたとき
十一 税制上の優遇措置
(1)非営利法人
* 非営利法人は、非収益事業からの所得について非課税とする。
* 収益事業に対する法人税は、法人税法第2条8号の人格なき社団などと同様とする。
(2)免税非営利法人
* 非営利法人のうち、政令で規定された要件を満たし、法人として1年以上の活動実績を有するとともに9章A項の2に定めた書類を非営利法人委員会に送付し、非営利法人委員会が認定したものについては免税非営利法人とし、次に掲げる税制上の優遇を受けることができる。
1. 非収益事業からの所得について非課税とする。
2. 本来事業が法人税法施行令第5条に記載された収益業種に該当する場合、非営利法人委員会への申告と審査により、非収益事業と見なすことができる。
3. 収益事業にたいする法人税は27%とする。
4. 収益事業の見なし寄付金の損金算入限度額は50%とする。
(3)特定免税非営利法人
* 免税非営利法人のうち、非営利法人委員会が特に社会的価値を増進させる活動を行っていると認定し、都道府県知事が承認したものについては特定免税非営利法人とし、免税非営利法人への優遇税制に加え、次に掲げる税制上の優遇を受けることができる。
1. 個人の寄付金は、課税対象所得額の50%を限度として課税対象所得額から控除できる。
2. 法人の寄付金は、課税対象所得額の10%を限度として損金に算入できる。
3. 被相続人が特定免税非営利団体に遺贈した相続財産に関しては、相続税を非課税とする。
(4)非営利法人にたいする寄付に関する税制
* 非営利法人の活動への参加に要した経費を寄付金と見なして控除することができる。
* 個人が支出した10万円以下の寄付金については、年末調整でも控除できる。
十二 罰則 (略)
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