日本共産党

2006年7月9日「しんぶん赤旗」日曜版

東大阪で 民主市政復活

51万都市、中小企業の町


くらし圧迫 「行革」、増税に審判

ながお・じゅんぞう=東大阪市生まれ。79年から18年間、東大阪市議。98年から1期4年、同市市長。家族は妻と3男

 「うれしい」「かかげたことをぜひやって」。2日投開票の東大阪市長選挙で4年ぶりに返り咲いた日本共産党員、長尾淳三さん(54)。「明るい東大阪をつくる会」の事務所には連日、市民からお祝いと期待の声が寄せられています。 大阪府・小浜明代記者

 市長選は、長尾さんと現職で自民・公明推薦の松見正宣氏、自民党前府議の西野茂氏との争いでした。

 人口51万人の東大阪市は日本有数の中小企業の町。生活保護世帯の割合が大阪府内でも高く、国保世帯は全世帯の約半分、そのうち約7割は所得100万円以下(賦課標準額)という低所得層です。

 今回の市長選を前に「明るい会」が取り組んだ市民アンケートには1800通を超える回答が寄せられました。「市政に不満」が7割を占め、「ムダづかいをやめてほしい」「高い国保料をなんとかして」「同和行政は許せない」など市政への怒り、願いが切々とつづられました。

 長尾さんはこれをもとに、「くらしの活路をひらく市政を」と国保料や介護保険料の負担軽減、公園・保育所の整備、コミュニティーバス実現などを公約に掲げました。

違いくっきり

 6月に入り、大幅に引き上げられた住民税や国保料の通知が市民の怒りをさらにかきたてました。市役所には最高、1日で千件以上の電話が殺到し、詰めかけた市民が窓口で3時間待たされる状態が続きました。

 市民の窮状を前に、松見氏は「行財政改革を止めるな」、西野氏も「さらなる行革を」と、「行革」を競いあいました。

 「身を粉にしても市民の声にこたえる。体を張って市民を守る」。気迫に満ちた訴えの長尾さん。ほかの2氏との違いは鮮明でした。

 「市民税が10倍になった。死ねということか」「ビラを見た。ここに書いてあることをぜひやってほしい」――長尾さんへの共感が日に日に広がっていきました。

 最終盤、危機感をもった松見陣営は「ふたたび共産市政にするな」と激しい反共攻撃にでましたが、長尾支持の広がりは止まりませんでした。

同和で逆戻り

 同市は8年前、「疑惑のデパート」といわれ、自民、公明、民主が与党の市長(当時)が逮捕され、「清潔・公正、市民のための市政」をかかげた長尾さんが初当選しました。長尾さんは1期4年間で汚職をゼロにし、職員の口利き採用を廃止、同和行政の終結への道筋をつけるなど、公正・清潔な市政へ流れを変えました。

 4年前、激しいデマ攻撃をあびて長尾さんは惜敗。現市政は公募なしの職員採用や部落解放同盟(「解同」)いいなりの同和利権復活、不要不急の上下水道庁舎建設など、長尾さんで変わり始めた市政を逆戻りさせました。

 小泉「構造改革」をそのまま市政に持ち込み、国保料や介護保険料の大幅値上げ、障害者福祉金の廃止など福祉・くらしに大なたをふるう…。こんな市政に市民は「ノー」を突きつけたのです。

相手陣営から

 新日本婦人の会東大阪支部の佐藤千恵子支部長は、「子どもたちのために絶対に勝ちたいと思っていました。みんなの最後のがんばりで競り勝った」と振り返ります。

 共産党の浜正幸市議に、相手陣営の有力者から声がかかりました。「国の税制改正と同和行政があんたとこの風になった」と。マスコミも「『行革』より『暮らしの安定』」(「読売」4日付)と分析しています。

 1期目に変わり始めた市政の流れをさらに前へ進める長尾市政に新たな期待が広がっています。


東大阪市長選の結果

 各候補の得票は次の通りです。

長尾 淳三(54)前 51821

  松見 正宣(63)現 50842

  西野  茂(62)新 38151

  (投票率36.03%)


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