党大会での討論
日本共産党第21回大会
社会的病理現象を打開する運動発展へ
中央 石井 郁子評議員
1997年9月25日付「しんぶん赤旗」
私は、中央委員会報告で解明された決議案第二章第八項での「社会の病理現象にたいする国民の関心と不安に視野をひろげ」、人間をおとしめ、粗末にする風潮とたたかうことの重要性について発言します。
「いじめ」、不登校問題で全国各地を回っています。どこのシンポジウムでも、学校に行きたくてもいけない、苦しい体験が切々と語られます。しいたげられ続け「私って人間なの」とつぶやく子どももいました。苦しむ子どもをそばで見ている親や教師の苦しみは言葉では言いつくせません。このつらさを人前で語るのは本当に勇気がいることですが、多くの人々が、日本共産党のシンポにかけつけ発言されるのです。また、教育長や教育委員、保守層の方がたも参加されました。
いじめへの正確な接近を可能にした
この活動の大きな原動力になったのが、党の提言「いじめ問題克服の道」です。「提言」作成でもっとも心がけた点が、不破委員長が報告で強調した、いじめ、少年犯罪などの問題を誤った教育行政などの悪政の結果だということだけに解消しない、広い視野でとらえることでした。
そのことによって第一に、いじめ問題への正確な接近が可能になりました。「提言」は、人間を大切にするということを中心にすえて、社会の病理の問題としてとらえて、打開していくことをはっきりさせました。社会病理から子どもを守るべき学校でいじめが助長されていることを問題にし、その根底に過度の競争と管理の教育があることを明らかにしました。
同時に大切なことは、その打開策を学校教育の問題だけに解消せず、おとなが襟(えり)を正して、社会の病理現象とたたかうことも解決の道の一つとしてよびかけたことです。
第二に、こういうよびかけだからこそ、人びとに勇気を与え、多くの共感が寄せられたのだと思います。
第三に、こうした道理ある立場が、保守的な方がたとの共同、党への信頼をひろげていることです。
いま、子どもをめぐる事態は「提言」発表のときより、さらに深刻です。不登校児が過去最高の九万四千人となり、校内暴力も年々増加、新たな子どもの「荒れ」が指摘されています。少なくないおとなが、中学生、高校生の性を買うという世界に例のない性的退廃、神戸の異常な事件などの少年犯罪の問題など、社会病理現象の深まりを見るにつけ、決議案の「人間をおとしめ、粗末にする風潮とたたかい、健全な市民道徳を形成する先頭にたつ」という強調は胸に響きます。
社会の病理現象を鋭く告発し、打開策を提案し、国民的な共同を強めていかなければなりません。
橋本首相に「心の教育」いう資格ない
教育のそのもののゆがみをただすことで、とくに強調したいのは、橋本内閣の六大改革のひとつ、「教育改革」が教育予算を大幅に削る一方で、差別・選別の教育と管理主義の強化の教育政策を新たな段階に推し進めようとしていることです。
橋本内閣は「心の教育」をいいますが、こうした政策をうちだし、佐藤孝行のような人物を入閣させる政府に「心の教育」を語る資格はありません。市民道徳をふまえた「心の教育」は橋本首相にこそ必要ではないでしょうか。(笑い、拍手)
教育の分野でも子ども、父母、教職員の我慢は限界にきています。民主的な市民道徳の形成とあわせて、教育のゆがみをただす政策と運動の発展、なによりも人間が人間として尊重される日本にするために、大会決議案と報告の全面実践に全力を尽くすことを表明して発言を終わります。(拍手)
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